革命のミューズとしてヌーヴェル・ヴァーグのアイコンとなり、2019年12月14日にパリで逝去した女優アンナ・カリーナへの万感の思いを込めて、パートナーであるデニス・ベリー監督がアンナの人生に迫ったドキュメンタリー『アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい』が、6月13日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。
アンナ・カリーナは、1940年9月22日デンマークのコペンハーゲンで、遠洋航路船長の父と19歳の母との間に誕生。17歳の時、パリでココ・シャネルに出会い、アンナ・カリーナと命名される。トップモデルとなった彼女を見初めたのがジャン=リュック・ゴダール。『女は女である』『女と男のいる舗道』そして『気狂いピエロ』…時代を画したヌーヴェル・ヴァーグのアイコンとなったコンビの誕生と別れ。音楽界の寵児ゲンズブールもミュージカル映画『アンナ』のために14曲を提供。1972年、彼女は完全な男社会のフランス映画界を飛び出し、自ら製作・脚本・監督・出演した作品をNYで撮影する。さらに歌手としての活動を開始し、フランスやヨーロッパだけでなく日本でもツアーを行った。
予告編は、まるでアンナが隣にいて、あの大きな瞳でこちらを見つめるようなシーンから始まる。パリの町なかの映画館カルチエラタンに来たアンナは、何に心を動かし、どんな風に変わってきたか、映画史そのものである自分の人生を振り返る。永遠のフランスのファッションアイコンらしく、茶のコートとハット、黒のトップスという、すっきりした出で立ち。過去に演じてきた役柄が次々と映し出され、ココ・シャネルの映像では「アンヌ・カリーヌ・ベイヤーだと伝えると、シャネルはそれを繰り返して、“だめね。アンナ・カリーナにしなさい”と言った」という、運命的な出会いを語る。また、ゴダールから手渡されたメモには「愛しています。真夜中。カフェ・ド・ラぺ」という告白があった事を語る。セルジュ・ゲンズブールは、アンナの声と歌い方は強烈な個性があると称え、その後に続く映像では、アンナはその独特な歌声を披露している。数々の名作の中に、アンナの人生が映る。しかし実際の彼女の人生の方が、映画よりもっとドラマチックで運命的だったかもしれない、そんな思いに駆られる映像に仕上がっている。
『アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい』
6月13日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国順次公開
監督:デニス・ベリー
出演:アンナ・カリーナ ココ・シャネル ジャン=リュック・ゴダール セルジュ・ゲンズブール
配給:オンリー・ハーツ
© Les Films du Sillage – ARTE France – Ina 2017