松本穂香「ダサくても痛くてもいい」地方で生きる少女たちの青春『君が世界のはじまり』今夏公開!

ふくだももこの小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を、ふくだ自身が監督を務め、主演に松本穂香を迎えて映画化する『君が世界のはじまり』が、今夏に公開されることが決定した。併せて、イメージクリップ、ティザービジュアル、場面写真がお披露目となった。

本作は、ふくだももこのデビュー作ながらすばる文学賞佳作を受賞した小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を、自身が監督を務めて映画化する青春映画。『リンダリンダリンダ』、『聖の青春』、『愚行録』など数々の話題作を手掛けた脚本家・向井康介が一つの物語に再編し、ふくだが描いた若者たちの危うい魅力を一切損なうことなく、オリジナリティ溢れる物語へと昇華させた。

主演を務めるのは、『おいしい家族』以来、ふくだ監督と2度目のタッグとなる松本穂香。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で主人公の同僚・澄子役を演じ、注目を浴びて以降、『わたしは光をにぎっている』や『酔うと化け物になる父がつらい』といった主演作が続くほか、CM「意識高すぎ!高杉くん」シリーズにも出演。若手最注目株の一人として活躍の幅を広げる彼女が、閉鎖された地方に生きる高校生2年生の少女・えんを等身大の魅力で演じる。

■松本穂香(えん役) コメント
青春時代って、一瞬すぎるからなのか、どこか記憶がぼんやりしている。大切な瞬間が溢れてたはずなのに、記憶が抜け落ちてる。だけど、多分、その時感じた切なさやあたたかさは、ずっとずっと心の中に感触として残ってるんだと思う。恥ずかしいぐらいまっすぐだった私たち。過去があって、今がある。私たちはずっと、何かに向き合いながら、苦しみながら生きてきた。そんな当たり前のことに救われる気がする。だから大丈夫。私たちは大丈夫。ダサくても痛くてもいい。だから伝わるものがある。そんな気持ちでこの作品に挑みました。

■ふくだももこ(監督・原作) コメント
「君が世界のはじまり」のもとになった小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」は、私にとって、どうしようもなく特別な物語だ。“青春”という箱の中に入れられるのを嫌悪していたあの頃の、胸を突き抜けて飛び出しそうなエネルギーが、すべての登場人物に詰まっている。この映画が、どこへも行けない、何にもなれない、そんな風に思っている誰かの、はじまりのきっかけになればいいと願っています。私が書いた、ゴツゴツトゲトゲした岩のような小説を切り取り、石にして世に出してくれた人がいて、手に持てるよう丁寧に削ってくれた向井康介さんの脚本があって、一緒に磨いてくれた素晴らしいスタッフと、松本穂香をはじめとする、才能ある俳優たちがいる。すべての人の力を合わせて『君が世界のはじまり』は、誰も見たことのない、燦然と輝くたったひとつの宝石になった。どうかこのきらめきが、あなたの心を照らしますように。

■向井康介(脚本) コメント
40歳を越えて、もう青春映画を書くことはないと決めていた矢先に、佐々木史朗さんとの出会いがあり、“ふくだももこ”という若い作家の短編小説を知りました。二十代の書く文章に自分はもうついていけないだろうと思っていたのに、驚くほど心の中に入ってくる。なぜなのだろう?そんな疑問から、僕の中でこの企画は始まりました。「ふくだ、君が晩年になって、人が作品を振り返ったときに『ふくだももこの初期の代表作と言ったらこれしかないよね』とみんなが肯くような映画にしよう」何度目かの打ち合わせのあと、居酒屋で僕はふくだにそう言ったのを覚えています。とても小さな物語だけれど、この映画が生まれる一助を担った一人として、本当にそんなふうに語り継がれるような作品になってくれたら嬉しいです。

イメージクリップには、「自分だけ自由になりたいなんて、そんなんで人にやさしくなれるのかな」という少年の意味深な言葉とともに、何か言いたげな表情で正面を見据える少女・えん(松本穂香)の姿が収められる。

フィルムで撮影されたティザービジュアルと場面写真では、穏やかに差し込む光が、ティーンエイジャーならではの危うさと儚さを見事に表現している。

『君が世界のはじまり』
今夏 テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・原作:ふくだももこ
脚本:向井康介
出演:松本穂香
配給:バンダイナムコアーツ

【ストーリー】 大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害される。犯人は高校生だった。この町の高校2年生のえん(松本穂香)は、彼氏をころころ変える親友の琴子と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ君に一目惚れしたことで、二人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通うジュンは、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾と会い、求めるものもわからぬまま体を交わすようになる。偶然ナリヒラ君の秘密を知るえん。急接近した二人を見て見ぬふりをする琴子。琴子に思いを寄せる、サッカー部キャプテンの岡田。思いの捌け口を見つけられないジュン。田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。変わらない町…。そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕され…。郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語は疾走していく。

©2020『君が世界のはじまり』製作委員会