「大丈夫じゃないけど生きていく」死者の視線で語られる、人々の再生の物語『パラダイス・ロスト』予告編

詩人・映画監督として活躍する福間健二の、『あるいは佐々木ユキ』(2013)、『秋の理由』(2017)に続く長編劇映画第6弾『パラダイス・ロスト』が、3月20日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

心臓発作で死んだ山口慎也の妻・亜矢子は、彼の死後、夢で慎也に会い、彼の残したノートの言葉を読み、ときには彼がまだそばにいると感じる。一年が経過し、亜矢子のまわりには、友人の佐々木ユキ、その恋人の川村講平、慎也の母、信代と異父弟の翔がいる。本作は、パラダイスへの夢を失ったこの世界にどう生きるのか、どう希望をとりかえすのかを、夫を失ったひとりの女性と彼女をとりまく人々に問いかける。

予告編では、冒頭で「ここはパラダイスなんかじゃないけど、人々はへこたれずに生きている」と亜矢子(和田光沙)のモノローグが入り、夫・慎也(江藤修平)を亡くした亜矢子の日常が映し出される。そして登場人物たちがカメラ目線で見つめるショットが複数挿入される。福間監督は本作を「死者の見る世界を映画のなかに入れたかった」と語っており、それらのショットは、死者の存在を感じた登場人物たちの姿であることがわかる。中盤では、今作が映画初出演となる慎也の父違いの弟・翔(我妻天湖)が、死者である慎也にむかって「ぼく、亜矢子さんのこと、好きだ!」と叫びボールを投げるシーンがあり、終盤には見つめあう亜矢子と翔のカットも収められる。そのほか、小原早織、木村文洋、森羅万象、宇野祥平、佐々木ユメカ、スズキジュンゾ演じる人物たちが亜矢子のまわりにいる生者として登場。後半で流れる、音楽バンド「メノウ」による楽曲「メリダ」も印象的だ。

併せて披露された場面写真は、慎也と亜矢子が手を繋ぐ、亜矢子の夢と思しきカットと、慎也亡き後に、翔の傍らで亜矢子が微笑むショット。

『パラダイス・ロスト』
3月20日(金)よりアップリンク吉祥寺にてロードショー、以後全国順次公開
監督・脚本:福間健二
出演:和田光沙 我妻天湖 江藤修平 小原早織 木村文洋 森羅万象 宇野祥平 佐々木ユメカ スズキジュンゾ 松本桂 岡田潔 グラシアス小林 郷津晴彦 外山将平 吉野晶 室野井洋子
配給:tough mama

【ストーリー】 東京郊外の人気のない場所。心臓発作で倒れたひとりの男が死ぬ。彼は山口慎也(江藤修平)。仕事はネットの古本屋で、原民喜の小説と木下夕爾の詩が好きだった。妻の亜矢子(和田光沙)は、彼の死後、夢で慎也に会い、彼の残したノートの言葉を読み、ときには彼がまだそばにいると感じる。一年が経過。亜矢子のまわりには、友人の佐々木ユキ(小原早織)、その恋人の川村講平(木村文洋)、慎也の母、信代と異父弟の翔がいる。パラダイスへの夢を失ったこの世界にどう生きるのか。どう希望をとりかえすのか。夫を失ったひとりの女性と彼女をとりまく人々に問いかける。

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