佐藤健が飛び入り参加!白石監督との次なるタッグは時代劇!?「いつかやりたいと現場で仰っていましたよね?」

鶴屋南北戯曲賞、読売文学賞戯曲・シナリオ賞などを受賞した注目の劇作家・桑原裕子率いる劇団KAKUTAの代表舞台作品「ひとよ」を、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子の豪華共演で、白石和彌監督が実写映画化した『ひとよ』が、11月8日より公開中。このほど、11月17日にTOHOシネマズ 日比谷にてティーチイン・イベントが行われ、白石和彌監督と、飛び入りで佐藤健が登壇した。

観客との質疑応答を1問終えた白石監督は、おもむろに「誰か来られないか?とTwitterでつぶやいたら、音尾琢真君がすぐに『行けない』と返答してきた」とジョークで笑わせつつ、なんと稲村家の次男・雄二を演じた佐藤を会場に呼び込んだ。この粋なサプライズに観客は大興奮し、Q&Aも熱を帯びたものとなった。

カットされて残念だったシーンの話になり、佐藤は「カットされることに関して僕は前向き。残念には思わない。良くなかったからカットされたわけで、カットされてありがとうぐらいに思う役者です」と俳優としてのポリシーを告白。劇中、稲村家の長男・大樹を演じた鈴木亮平と、大樹の別居中の妻を演じたMEGUMIが激しく口論するシーンがカットされたというが、これについて白石監督は「いいシーンだったけれど、それがあると長男のシーンが続きすぎて、長男の映画になり過ぎると思った」と映画全体のバランスを考慮してのカットだったことを打ち明けた。

次に、感情を揺さぶるラストシーンの秘話を求められた佐藤は、「監督が急にバナナを持ってきて驚いた」と口にすると、白石監督は「筑前煮も撮影場所のタクシー会社の方々が出してくれたもので、とても美味しくて。それもその場の判断で雄二に持って行かせようと思った。田舎って何かをお土産に持って行かせようとすることってありますよね」と細部にもリアリティを追求したという。稲村家の家族写真にもこだわりがあり、佐藤は「もらったバナナを持って写真に写ろうとか、(稲村家の長女・園子役の)松岡茉優さんがはじけたバージョンとか、数パターンを撮影したけれど、使用されたのは全員が真面目な顔の写真でした」と舞台裏を語った。

ラストの車中のシーンは2テイク撮影したという。白石監督は「使用したのはファーストテイク。健君の目に涙が溜まっている感じがよかった」と採用理由を明かし、「実はそのシーンでは、僕が健君の横でヤドカリみたいに小さく丸まって隠れていました。現場は結構グチャグチャでしたよね」と静けさとは真逆の撮影状況を回想していた。

続いて白石監督は好きなシーンについて、意外なことに役者陣との絡みのシーンではなく「太陽」と返答。「急に撮りたいと思って。映画『太陽を盗んだ男』みたいなものを撮りに行こうと意気込んだら、一発で撮れた。日の出って実は撮るのが難しい。だからなんでこんなところで俺は運を使ってしまうのか…と思った」と苦笑いするも、思い入れの深いカットになったという。

初タッグとなった本作を通して、白石監督に全幅の信頼を寄せる佐藤は、次なるタッグに向けて「色々なアイデアがあります。一つには絞れない」と構想を練っているようで「いつか時代劇をやりたいと白石監督は現場で仰っていましたよね?」と確認。それに白石監督は「まだ一度も時代劇はやったことがないので。アクションものの時代劇もいいかも」と佐藤との第2作になるかどうかは不明だが、新境地開拓に意欲を見せた。

最後に、白石監督は「沢山の方々に映画を観て頂けているけれど、まだまだ観てほしいので応援宜しくお願いいたします」、佐藤は「映画界を成長させていくには、作品を観る側のみなさんの力も必要です。ぜひ一緒に映画界を盛り上げていきましょう」とコメントし、本イベントは幕を閉じた。

『ひとよ』
11月8日(金)より全国ロードショー中
監督:白石和彌
原作:桑原裕子「ひとよ」
脚本:髙橋泉
出演:佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優 音尾琢真 筒井真理子 浅利陽介 韓英恵 MEGUMI 大悟(千鳥) 佐々木蔵之介 田中裕子
配給:日活

【ストーリー】 どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った。たった一晩で、その後の家族の運命を変えてしまった夜から、時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えたこころの傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。15年前、母の切なる決断と残された子どもたち。皆が願った将来とは違ってしまった今、再会を果たした彼らが辿り着く先とは…。

©2019「ひとよ」製作委員会