7キロ減量した笑福亭鶴瓶「今でもサランラップを巻いている」役作りのための減量方法が癖に!

山本周五郎賞を受賞した帚木蓬生(ははきぎほうせい)による累計85万部超のベストセラー小説を、主演に笑福亭鶴瓶、共演に綾野剛、小松菜奈を迎え、平山秀幸監督が映画化した『閉鎖病棟―それぞれの朝―』が、11月1日より公開中。このほど、11月8日に丸の内TOEIにて大ヒット記念イベントが行われ、キャストの笑福亭鶴瓶と平山秀幸監督が登壇した。

平日の朝の上映回にもかかわらず、2階席まで観客で埋め尽くされており、登壇した二人は感激の表情を浮かべた。本作で10年振りの主演を努め、死にそこなった元死刑囚・梶木秀丸役を演じた笑福亭鶴瓶は、落語会で小倉を訪れた際に、北九州の劇場にお忍びで足を運んだというエピソードを明かし、会場を驚かせた。また、その際に本作の2度目の鑑賞を果たしたという鶴瓶は「2回目ですけど、いいですね。感情変わりますね」と、1度目の鑑賞からの心境の変化があったと語った。続いて、帚木蓬生の原作と出会ってから、11年かけて念願の映画化を果たした平山秀幸監督は、「自分の頭の中だけでずっと考えていた企画が、鶴瓶さんを迎えて大きく動き出し、この時間を迎えられてありがとうございました」と心境を吐露した。

公開から1週間経ち、周囲の人から多くの反響をもらったという鶴瓶。「業界の方も多く観てくださっている」と言い、久米宏や古舘伊知郎など大御所の名前を挙げた。「映画好きな人が観てくれて、こっちが忘れていることまで気付く」と、感想をもらって思い出す感情や新たな発見があったことを嬉々として語った。鶴瓶の名演が話題になっていることに触れられると、「平山さんに言われた通りやっているだけ」と謙遜した。本作の撮影にあたり、平山監督からのオーダーで2週間という短い期間で7キロの減量をした鶴瓶は、「今でもサランラップを巻いている。癖になってしまっている」とし、監督からの要望に応える“俳優・鶴瓶”としてのプロ意識の高さがうかがえた。

本作の舞台となったのは、長野県・小諸。本物の精神科病棟の一部施設を借りて撮影したため、別のフロアには入院している患者さんもおり、撮影期間中に交流もあったという。特に綾野剛が交流を深めていた、入院患者の中学3年生の少年が、平山監督が長野県で凱旋舞台挨拶を行った際に会場に来てくれたというエピソードが語られた。監督は「上映後に、(少年から)『良い映画をありがとうございました』と言われて、グッときました」と口にした。

本作が中国アカデミー賞と言われる金鶏百花映画賞の外国語映画部門にノミネートされたことについて、鶴瓶は「日本の映画を観る目は厳しいでしょ。そこで選ばれるのはすごい」とし、「良い映画、作りはりましたで」と監督を称えながら、本作の感動が国境を越えて広まったことに感激の表情を浮かべた。そして鶴瓶は、本イベントのMCを務めた元フジテレビアナウンサー・笠井信輔に「(映画について)どない思ってんの?どこがええの?」と無茶ぶり。笠井が「非常にしんどい物語です。しかし、観終わった後になんて素晴らしい映画だと思える、その転換がすばらしい」と本作の感想を答えると、「これから観るお客さんを前に、最初にしんどいってなんやねん(笑)」とツッコミ、会場の笑いを誘った。

ここで、会場の観客へ抽選でのプレゼント企画が行われた。鶴瓶が演じた秀丸は、陶芸が得意という設定であったため、練習のため実際に作ったという壷がプレゼントとして登場。この壷は秀丸の作品の一つとして、本編にも映る一点もの。作った本人である鶴瓶は、「こんなんいらんやろ」と言うが、会場からは大きな拍手が起こり、これには鶴瓶も思わず照れ笑いした。

イベントが行われた11月8日は、商売繁盛を願うとされる酉の市。それにちなんで、“幸運金運をかきこむ縁起物”とされる熊手が登場。鶴瓶が拍子木をうちあわせて、本作のさらなるヒットを祈願。そして、またお忍びで劇場に観に行くとし、「全国行きますから」と宣言。「こんなん珍しいですけど、2回目も素晴らしいんですよ。皆さんも2回目も観てください。良い映画なので」と本作への溢れる作品愛を語り、大盛況のままイベントは幕を閉じた。

『閉鎖病棟―それぞれの朝―』
11月1日(金)より全国ロードショー中
監督・脚本:平山秀幸
原作:帚木蓬生「閉鎖病棟」(新潮文庫刊)
出演:笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松菜奈 坂東龍汰 平岩紙 綾田俊樹 森下能幸 水澤紳吾 駒木根隆介 大窪人衛 北村早樹子 大方斐紗子 村木仁 片岡礼子 山中崇 根岸季衣 ベンガル 高橋和也 木野花 渋川清彦 小林聡美
配給:東映

【ストーリー】 長野県のとある精神科病院。それぞれの過去を背負った患者たちがいる。母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、死刑執行が失敗し生き永らえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れ出すようになり、妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。不登校が原因で通院してくる女子高生、由紀(小松菜奈)。彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。加害者は秀丸。彼を犯行に駆り立てた理由とは…。

©2019「閉鎖病棟」製作委員会