桜井日奈子「自分のエゴサはしないけど、この作品のエゴサはして感想を見ています!」

重版10刷を突破した、新世代のSNS漫画家・世紀末による人気同名4コマ漫画を、間宮祥太朗、桜井日奈子のダブル主演で実写化する映画『殺さない彼と死なない彼女』が、11月15日より公開される。このほど、11月7日にスペースFS汐留にてハンカチ付き号泣試写会舞台挨拶が行われ、キャストの桜井日奈子、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろう、音楽・主題歌を担当した奥華子、小林啓一監督が登壇した。

はじめに、桜井は「初めての上映後の舞台挨拶ということで、皆さんの感想を直接お聞きできるのを楽しみにしています」、堀田は「皆さんのお顔をみると、涙を流されたんじゃないかなと思われる方もいらっしゃって、この映画の伝えたいことが伝わったんじゃないかなと思います」と挨拶した。

本作は、すでに何回か実施された試写会でアンケートを取ったところ、「泣きすぎて明日学校に行けない」「マスクで顔を隠して帰ります」などの意見が続出し、「泣いた!」との回答が91%に達している。本イベントでも、「泣きましたか?」との質問になんと会場の約9割が手を挙げた。本作がこのように観客の感情を揺さぶる理由について、桜井は「自分のエゴサはしないんですが、この作品のエゴサはして感想を見ています」と明かし、「私もなるほどと思ったのですが、自然光ですべて撮っているので、皆さんの日常の空気感に近く、作品の世界観に入りやすりのではないかと」と分析。堀田は「キャラクターそれぞれに人間味があって、本当に生きているなと感じるところが揺さぶられる理由かなと思います」、箭内は「普段は本を読まないんですが、原作は一気に読んでしまい、観てくださった方も同じように気付いたら涙が出ているという形かもしれません」、ゆうたろうは「原作の4コマ漫画が2時間の映画になったときに、こうつながってくるんだ!とやられました。自分のシーン以外は初めて試写で観て、小坂(間宮祥太朗)と鹿野(桜井日奈子)のシーンは泣かずにはいられなくなりましたが、耐えなきゃと耐えました。リアルな人間に近く、人に寄り添ってくれる作品になっているからでは」と熱弁した。

続いて、本イベントが初の“上映後”舞台挨拶のため、観客とキャストとのQ&Aを実施。最初の質問者が、涙声で本編ラストの小坂と鹿野が歩くシーンの意味を尋ねたが、途中でそのシーンを思い出しさらに号泣してしまい、キャストも思わず涙ぐむことに。桜井もすでに鑑賞した父親から同じ質問をされたと言い、小林監督も観客の解釈に同意していた。そのシーン以外にも細かいこだわりがあり、堀田演じる“きゃぴ子”のうさぎのスマホケースの変化についても話が及んだ。次に、好きなセリフを尋ねられ、箭内が「八千代くん、好き!」をあげると、その台詞を繰り返すシーンについてほかのキャストから大絶賛され、ゆうたろうが、「あれは、ぼくのですから!とらないでください!」と言い張る場面も。そして最後の質問で、きゃぴ子役の堀田は「きゃぴ子が今後、どんな風に変化していくと思うか」と尋ねられ、「多くの人に愛されたいというのは本当だと思います。でも寄り添ってくれる人が隣にいるだけで世界は成立すると思うので、地味子ちゃん(恒松祐里)との仲は永遠だと思うし、ほかのキャラクターもそうだと思います」と回答。小林監督が「みんなに幸せになってほしいよね」と言うと、みんなの数年後をまた描いてほしいと、キャスト・観客全員が合意した。

ここで、スペシャルゲストとして、音楽と主題歌を担当した奥華子が登場。主題歌について、「主題歌は3つ作ったのですが、すべて鹿野ななに感情移入し過ぎていて、監督からNGになってしまいました」と振り返り、すべての登場人物に寄り添える歌が出来上がった経緯を話した。また、映画音楽も、映画について「きれいな水」と感想を送ったところ担当することが決まったことが明かされ、キャスト陣は「音楽の入るタイミングが緻密で繊細」と感心しきりだった。そして、奥が主題歌「はなびら」を生歌唱。舞台を降りて歌を聴いていたキャスト陣は、再度舞台に上がるのをためらうほど号泣。桜井が「控えめに言って最高です。浄化されました。“はなびらが散るようにそばにいてくれた”という歌詞に…最高です。嬉しいです」、堀田は「パンフレットで楽曲に込められた意味を読ませていただいて、こんなに時間をかけて思いを込めて作られているんだといろいろ思うとずるいなと思いました」 と感動を口にした。

『殺さない彼と死なない彼女』
11月15日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督・脚本:小林啓一
原作:世紀末「殺さない彼と死なない彼女」
音楽:奥華子
主題歌:奥華子「はなびら」
出演:間宮祥太朗 桜井日奈子 恒松祐里 堀田真由 箭内夢菜 ゆうたろう 金子大地 中尾暢樹 佐藤玲 佐津川愛美 森口瑤子
配給:KADOKAWA ポニーキャニオン

【ストーリー】 何にも興味が持てず、退屈な高校生活を送っていた少年・小坂れい(間宮祥太朗)は、リストカット常習者で“死にたがり”の少女・鹿野なな(桜井日奈子)に出会う。それまで周囲から孤立していた二人は、“ハチの埋葬”をきっかけに同じ時間をともに過ごすようになる。不器用なやりとりを繰り返しながらも、自分を受け入れ、そばに寄り添ってくれるあたたかな存在…。そんな相手との出会いは、互いの心の傷を癒し、二人は前を向いて歩み出していくのだが…。

©2019映画『殺さない彼と死なない彼女』製作委員会