構想30年を掛け、9回も企画が頓挫し、映画史上最も呪われた企画と謳われる『THE MAN WHO KILLED DON QUIXOTE』(原題)が、邦題『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』として2020年1月24日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。
企画頓挫をするあまり、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』としてその過程をドキュメンタリー映画として上映するほどにもなった異色の本作。スランプに陥ったCM監督トビーは、10年前に撮影した映画『ドン・キホーテを殺した男』でドン・キホーテ役に抜擢した老人ハビエルと再会したことで、奇怪な旅路に巻き込まれていく。
1989年構想開始から約30年をかけて数々の障害を乗り越えて本作を完成に導いたのは、モンティ・パイソンのメンバーとしても知られる鬼才テリー・ギリアム。2000年にスペイン・マドリードで撮影が始まるが、撮影現場周辺を軍用戦闘機が飛び交い、あえなく中断。さらに鉄砲水に襲われ撮影機材が流出し、景色も様変わりしてしまう悲劇に見舞われる。なんとか撮影を続けようと試みるが、ドン・キホーテ役のジャン・ロシュフォールが腰痛を訴え、歩くことも不可能になり企画が頓挫。その後も資金繰りやキャスティング、権利関係の問題により幾度と企画が頓挫しては、不屈の精神で再び立ち上がり、ついに劇場公開にたどり着いた。
ジョニー・デップやユアン・マクレガーなど錚々たる俳優たちが決定しては消えた主人公トビー役を最終的に射止めたのは、『パターソン』、『ブラック・クランズマン』、そして新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』など話題作に出演し活躍が著しいアダム・ドライバー。また、自身をドン・キホーテと信じる老人ハビエル役を、大人気TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」に出演し、テリー・ギリアムとは『未来世紀ブラジル』など4度目のタッグとなる大ベテラン俳優ジョナサン・プライスが熱演する。さらに、トビーのボス役を『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『アベンジャーズ』の名優ステラン・スカルスガルド、ボスの妻でトビーを誘惑するジャッキ役を『007/慰めの報酬』、『オブリビオン』のオルガ・キュリレンコが演じる。そのほか、ジョアナ・リベイロ、オスカル・ハナエダ、セルジ・ロペスら期待の若手俳優から実力派ベテラン俳優までが顔を揃えた。
ポスタービジュアルでは、1本の映画により人生が大きく変わってしまったハビエル(ジョナサン・プライス)やトビー(アダム・ドライバー)だけでなく、幾度となく企画が頓挫し、人生が狂わされたテリー・ギリアム自身をも暗示するかのような「映画が、全てを狂わせる」というキャッチコピーが印象的。そしてドン・キホーテが木馬にまたがり、空に剣を掲げている姿が神々しく描かれ、彼の夢想の象徴ともいえる風車と巨人や、巨大な掌に立ちすくむトビーの姿など、夢と現実が混在するテリー・ギリアムらしい世界観が現れたビジュアルとなっている。ドン・キホーテとトビーの旅路で一体何が起こるのか?
『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』
2020年1月24日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:テリー・ギリアム
脚本:トニー・グリゾーニ
出演:アダム・ドライバー ジョナサン・プライス ステラン・スカルスガルド オルガ・キュリレンコ ジョアナ・リベイロ オスカル・ハエナダ ジェイソン・ワトキンス セルジ・ロペス ロッシ・デ・パルマ ホヴィク・ケウチケリアン ジョルディ・モリャ
配給:ショウゲート
【ストーリー】 仕事への情熱を失くしたCM監督のトビー(アダム・ドライバー)は、スペインの田舎で撮影中のある日、謎めいた男からDVDを渡される。偶然か運命か、それはトビーが学生時代に監督し、賞に輝いた映画『ドン・キホーテを殺した男』だった。舞台となった村が程近いと知ったトビーはバイクを飛ばすが、映画のせいで人々は変わり果てていた。ドン・キホーテを演じた靴職人の老人ハビエル(ジョナサン・プライス)は、自分は本物の騎士だと信じ込み、清楚な少女だったアンジェリカは女優になると村を飛び出したのだ。トビーのことを忠実な従者のサンチョだと思い込んだハビエルは、無理やりトビーを引き連れて、大冒険の旅へと出発するのだが…。
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