山本周五郎賞を受賞した帚木蓬生(ははきぎほうせい)による累計85万部超のベストセラー小説を、主演に笑福亭鶴瓶、共演に綾野剛、小松菜奈を迎え、平山秀幸監督が映画化する『閉鎖病棟―それぞれの朝―』が、11月1日に公開初日を迎えた。このほど、同日に丸の内TOEIにて初日舞台挨拶が行われ、キャストの笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈、坂東龍汰、渋川清彦、小林聡美、平山秀幸監督が登壇した。
10年ぶりに主演を務めた鶴瓶は、本作で生きながらえた死刑囚を熱演。公開初日を迎え、「大阪から来まして、初日の舞台挨拶は本当に緊張します」と述べ、友人から「ぎょうさんメールが返ってきまして。『今日は朝から行きました』とたくさん来て本当に嬉しかったです」と大きな反響があったと語った。綾野から「“それぞれの朝”ということで、今日の朝は何をしたんですか?」と聞かれると、鶴瓶は「スムージーを飲んで…起きるという選択しかないやろ!」と食い気味に答え、軽快なトークを繰り広げた。
綾野は会場からの多くの声援を受け止め、「ようやく公開されて、たくさんの優しさを受け止めていただけたら」と挨拶。「今日の朝はブロッコリーをゆでて、ささみをゆでて…」と公開初日はシンプルな朝を迎えたようだった。小松は「数日前に海外から帰ってきて時差ボケがすごくて、起きるのが辛い。8時にアラームをセットしたんですけど、起きたのが12時ぐらい(笑)」と笑いながら答えていた。
本作の撮影のために減量したことが話題となった鶴瓶。MCから現在の体重について問われると「今日のこのスーツ、スッと履こう思ったら、ズボン入らんと(笑)。ハムみたいになってます。ちょっと太りましたね」と報告。「1.4キロ太っただけ」と明かし、「舞台挨拶まで痩せたままをお見せしたいと思ったんですけど、今、落語のツアーをやっていて、打ち上げばかりやって飲んでいるので」と理由も付け加え、MCに「あかんの?」と詰め寄っていた。
幻聴に苦しむ元サラリーマンを演じた綾野は「この作品を観た友人からは、初めは『重い映画なんじゃないか』『不安定な映画なんじゃないか』と言われて、どうしてもビビットなイメージをもたれてしまうんですけど、『こんなに優しい映画だとは思っていなかった』と、普段泣かない友人がすごく泣いていた。『デトックスになったよ。スッキリした』と言われて、そういう意味ではデトックス効果がある映画なのかな」とコメント。「どちらかというと、鶴瓶さんはデトックスではなく(体重が)増えたということで」と続けると、鶴瓶に「なんでこんなにイジられなあかんの!?俺、主役やで!?」とツッコまれていた。
小松はDVを受ける女子高校生を演じ「一人のシーンが多かったので、孤独な時間が多かった」とのこと。「この役を演じ切ろうという気持ちと、怖いなと背を向けてしまう気持ちが両方あった」そうだが、「愛のある現場で、恵まれていてよかったです」と周囲に支えられながら役に挑んだと語った。
最後に、原作に惚れ込んだ平山監督が11年越しで映画化を実現させた本作の公開を、鏡開きでお祝い。酒樽の中には、本編にも登場することから“特大きんつば”が入っており、キャストと監督で本作のヒットを祈願した。
『閉鎖病棟―それぞれの朝―』
11月1日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:平山秀幸
原作:帚木蓬生「閉鎖病棟」
出演:笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松菜奈 坂東龍汰 平岩紙 綾田俊樹 森下能幸 水澤紳吾 駒木根隆介 大窪人衛 北村早樹子 大方斐紗子 村木仁 片岡礼子 山中崇 根岸季衣 ベンガル 高橋和也 木野花 渋川清彦 小林聡美
配給:東映
【ストーリー】 長野県のとある精神科病院。それぞれの過去を背負った患者たちがいる。母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、死刑執行が失敗し生き永らえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れ出すようになり、妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。不登校が原因で通院してくる女子高生、由紀(小松菜奈)。彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。加害者は秀丸。彼を犯行に駆り立てた理由とは…。
©2019「閉鎖病棟」製作委員会