松尾スズキ、LiLiCoの「私も“女の海”に入りたかった!」との願いに「自宅でやってください」とバッサリ!

「大人計画」主宰である松尾スズキが監督・脚本・主演を務める映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』(読み:いちまるはち)が10月25日に公開初日を迎えた。それを記念して、10月26日にTOHOシネマズ 日比谷にて公開記念舞台挨拶が行われ、松尾スズキ、中山美穂、秋山菜津子、岩井秀人、坂井真紀、栗原類、LiLiCoが登壇した。

松尾監督は満員の劇場を見渡し「こんなに大きな映画館でやる映画なんでしょうかね…?という戸惑いを禁じ得ませんが…」と自虐的に語りつつ「たくさんの方に入っていただいて嬉しく思います。日本にあまりないブラックジョークでドタバタコメディの作品を作れたと確信しております」と自信を口にした。

中山は、特に印象深かったシーンとして、自らがヘビになるシーンをあげ「いま思い出しても笑っちゃいます」と楽しそうに振り返る。そんな中山について、松尾監督は「シナリオに惚れこんでくれているというのがビシビシと伝わってきました。プロに徹してクールに各々のシーンをこなしてくださり、さすが芸能人!何十年もこの世界で“番”を張ってきたんだなと」と独特の表現で称え、会場は笑いに包まれた。

松尾演じる海馬五郎の妹を演じた坂井は、印象深い撮影シーンとして、秋山演じる五郎の友人で、すぐにパニックに陥る女優の砂山美津子とのシーンに触れ「秋山さんのシーンはずっと楽しみにしていたんですが、実際の現場も素晴らしくて、ずっと秋山さんを見て楽しんでました」と感嘆。その秋山は撮影について「朝イチで痙攣したり、ホストクラブで吐くのが最後のシーンだったり…(笑)、楽しかったです」と述懐。松尾監督は「秋山さんとはもう30年近く一緒に舞台をやってきて、本当に面白い女優さんだと知っているので、それを映画で知らしめたかったんです。秋山さんの代表作にしていただければ」と語った。

岩井は、クライマックスでローションの中で大勢の男女が入り乱れる“女の海”のシーンに言及。撮影は改修中のある劇場の稽古場で行なわれたが「こんな神聖な畏れ多い場所でこんなことしちゃダメだと思ったけど…。階段にずらっと人が並んでいて、それが前貼りを張ってもらうのを待っている列で、強烈でした。最初は(男女が入り乱れるシーンで)嬉しかったんですが、3時間くらい経つと感覚が麻痺してきて、女の人も隠したりしなくなるんですね。解放されて、糸くずみたいになっていました」とシュールな現場での感覚を明かす。松尾監督はこのシーンでの岩井との思い出として、撮影が終わった直後に「岩井くんが『ぼくの前貼りがない!』と言い出して、『どうしたんだ?』と思ったら、なんでか知らないけど僕が持っていて…。あの混沌の中で咲いた一輪の花でしたね(笑)」と明かし、会場は爆笑に包まれた。

LiLiCoは「私も“女の海”に入りたかった!」と残念そう。松尾監督に「結構です(笑)」とすげなく却下されても「いまからでもできないかと…」と粘るが、松尾監督は「自宅でやってください」とバッサリ。そんなLiLiCoは五郎の前妻を演じ、その2人の息子を栗原が演じているが、LiLiCoは「私はこの国ではお母さん役はできないと思っていましたが、私と松尾さん(が夫婦)で、(その息子が)栗原さんってありえるなと思いました」と嬉しそう。さらに「類くんとは8年ほど前、バラエティに出るようになった時期が同じ頃で、ネガティブ(=栗原)とポジティブ(=LiLiCo)で共演して『親子みたい』と言っていたら、親子が実現できて…」と語り、栗原も「こうなるとは互いに思っていなかったです」と感慨深げにうなずいていた。

最後に松尾監督は「ご覧のように(自身は)内向的な男です。それが笑いを職業にしようとして30年が過ぎようとし、ようやく人前で、笑って、踊って、セックスができるようになりました!北九州で生まれた内向的な男が更生するお話です」とアピールし、笑いと共に舞台挨拶は幕を閉じた。

『108~海馬五郎の復讐と冒険~』
10月25日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
監督・脚本・出演:松尾スズキ
主題歌:星野源「夜のボート」
出演:中山美穂 大東駿介 土居志央梨 栗原類 LiLiCo 福本清三 乾直樹 宍戸美和公 堀田真由 村杉蝉之介 オクイシュージ 岩井秀人 酒井若菜 坂井真紀 秋山菜津子
配給:ファントム・フィルム

【ストーリー】 ある日、脚本家・海馬五郎(松尾スズキ)は、愛する妻・綾子(中山美穂)がSNSに若いコンテンポラリーダンサーへの恋心を綴っているのを知ってしまう。しかもその投稿についた“いいね!”はなんと108。あまりのショックに離婚を考えるが、いま離婚した場合は財産分与で資産2000万円のうち半分の1000万円を綾子に支払わなければならないことを知り大激怒。納得がいかない海馬は、意地でも資産を使い果たすことを決意。ついには投稿についた“いいね!”の数だけ女を抱いて復讐するというとんでもない計画を思いつく。タイムリミットはたった1か月。人智の及ぶあらゆる手を使って財産を減らしていくが、108人への道のりは果てしなく長い。追い込まれた海馬は、やがて想像をはるかに超える“ある方法”で目標をクリアしようとするのだが…。

(C)2019「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会