綾野剛、劇中で壊れていく佐藤浩市をイジリ倒す「浩市さん、ほぼ自然体。本領発揮」

『悪人』、『怒り』など多数の著書が映像化されるベストセラー作家・吉田修一による傑作短編集「犯罪小説集」を、主演に綾野剛、共演に杉咲花、佐藤浩市を迎えて『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化した『楽園』が10月18日に公開初日を迎え、TOHOシネマズ 日比谷にて行われた初日舞台挨拶に、キャストの綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、村上虹郎、劇伴作曲者のユップ・ベヴィン、瀬々敬久監督が登壇した。

本作の劇中曲の作曲者、ユップ・ベヴィンによるピアノの生演奏で始まった本イベント。厳かな雰囲気の中に登場した綾野は、上映後の観客を前にして「体調は大丈夫ですか?(映画に)心をえぐられていると思うので、少しでも癒せたら」と優しい気遣いを見せた。

「いつもお三方が黒い服を着て宣伝をしているイメージ」だったという村上。「僕は明るくする担当なのかなと思って来たら…」と、真っ赤なスーツに金髪で登壇した綾野を見つつ「今日はライブですか?」とあきれ顔で質問し、会場から笑いが。苦笑いの綾野は「言うと記事になるから言わないけど、だいたい金髪で赤のスーツと言ったら…」と、お笑いコンビであるメイプル超合金のカズレーザーを想起させつつ口ごもり、「映画を観た人が僕たちのことを心配になると思うので、全く別人だと思ってくれたらいいなと、今思いついたこじつけ(笑)」だと、笑いながら答えた。

「撮影中は本当に苦しかった」という杉咲は、ユップ・ベヴィンの生演奏を聴いて「その日々が走馬灯のように蘇ってきて、自分にとってトラウマのような時間でもあった」ことを告白。綾野は「我々がトラウマを作ってしまいましたか!?」と質問すると、手を振って「違うんです(笑)」と否定した杉咲は「私はこの映画を観て、自分自身が救われたので、一人でも多くの方々に観ていただけたら」と今の心境を語った。

イベントの後半には、観客からの質問コーナーも。劇中で徐々に壊れていく田中を演じた佐藤に魅力を感じたという観客に、役作りについて質問されると、即座に綾野が「浩市さん、ほぼ自然体ですよ(笑)」と指摘。佐藤も劇中と同じような感じで「普段から現場に行っている」と冗談を飛ばすと、綾野は「本領発揮というところでしょうか(笑)」と佐藤をイジりまくって会場を笑わせていた。

『楽園』
10月18日(金)全国公開
監督・脚本:瀬々敬久
原作:吉田修一「犯罪小説集」
主題歌:上白石萌音「一縷」 作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
出演:綾野剛 杉咲花 村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明 佐藤浩市
配給:KADOKAWA

【ストーリー】 あるY字路で起こった少女失踪事件。未解決のまま、家族や周辺住民に深い影を落とし、直前まで一緒にいた少女の親友・紡(杉咲花)は罪悪感を抱えたまま成長する。12年後、またそこで少女が姿を消し、町営住宅で暮らす青年・中村豪士(綾野剛)が容疑者として疑われた。互いの不遇に共感しあっていた豪士を犯人とは信じ難い紡だったが、住民の疑念が一気に暴発し、追い詰められた豪士は街へと逃れ、思いもよらぬ自体に発展する。その惨事を目撃していた田中善次郎(佐藤浩市)は、Y字路に続く集落で、亡き妻を想いながら、愛犬・レオと暮らしていた。しかし、養蜂での村おこしの計画がこじれ、村人から拒絶され孤立を深めていく。次第に正気は失われ、想像もつかなかった事件が巻き起こる。Y字路から起こった二つの事件、そして3人の運命の結末は…?

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