【対談】松岡昌宏「『なぜ俺にシ村役がきたんだ?』って謎でした(笑)」「死役所」松岡昌宏 × 原作・あずみきし

累計300万部(電子書籍含む)を超える、あずみきしによる大ベストセラー漫画を、主演に松岡昌宏を迎えて映像化するドラマ「死役所」が、10月16日よりテレビ東京にて放送開始される。このほど、第1話放送スタートに先駆け、主演の松岡昌宏と原作のあずみきしの対談が行われ、その内容の一部が披露された。

Q:これまで映像化は困難と言われてきたあずみ先生の「死役所」が、松岡昌宏さん主演でドラマ化ですね。

あずみ:ありがたいことに、これまでドラマ化のお話を本当にたくさん頂きまして。要となるシ村役のキャストの方のお名前を聞いて、「ちょっと違うなぁ」と思うこともあったんですけど、今回は「主演は松岡さんで」とお伺いして、「行けるな」と思いました。

松岡:本当ですか?ありがとうございます。俺は、原作を読んで、「なぜ俺にシ村がきたんだろう?」って謎でしたけどね(笑)。

あずみ:読者の方は、肯定派も否定派ももちろんいると思いますけど、単純に私は「見たい!」って思いました。

松岡:良かった。そう言って頂けるのは、役者冥利に尽きるので。

あずみ:私のいきつけの美容師さんも「ドラマ全部観ているファンですが、シ村にぴったりですって言っておいて」って(笑)。

松岡:その方に「あなた様は仏様です」って言っておいて下さい(笑)。

Q:松岡さんはシ村をどう演じるか固まるまで、かなり試行錯誤されたそうですね。

松岡:僕はいつも役のバックボーンを設定するんですけど、シ村の場合、以前実際に起きた、痛ましい事件をふと思い出して。もしかしたら、シ村はそういう悲劇を経験した人なのかもしれないと思った。その悲しみや痛みを想像しながらもう一回台本を読み直したら、人間性がしっくりイメージできるようになりましたね。

あずみ:はぁー、バックボーンを考えるなんて、すごいですねぇ…!

松岡:小説をドラマ化するときは、僕らが絵コンテを作るので、いろんなことができるんですが、漫画原作はすでに絵コンテのようなもの。原作の雰囲気を守りながら、リアリティーある色付けをするかが重要ですからね。

あずみ:なるほど。

Q:松岡さんは先生に何か聞きたいことはありますか?

松岡:もう漫画の結末は、決まっているんですか?

あずみ:まだ決まってないんですよ。

松岡:僕も読んでいて思いました。まだこれどうにでも転がせるから、今結末を決めたらもったいないだろうなと。最終回を決めたら、編集者が「先生、もうちょっと続けてみましょう」って言うでしょうね(笑)。

あずみ:そうですね。厳しい担当さんがついているんで(笑)。まだまだ描きたいものはたくさんあって、何パターンか考えていますから。いくらでも描けると思っています。

松岡:それは助かった!先生の中でオチが決まっていると、結末に合わせて僕の芝居も変えなきゃいけない。完璧に決まっていたら、シ村のキャラの方向性が微妙に違ってくることもあるので、ほっとしました。

あずみ:はい。そこはどう転んでも大丈夫なように演じて頂ければ。

松岡:もし決まったなら、教えて下さいね。

あずみ:あはは。しばらく決まらないです。

Q:松岡さんはドラマ版の「死役所」を通して、視聴者にどんなメッセージを伝えたいですか?

松岡:死の世界って、遠い世界のことのように思う方も多いかもしれませんが、現実的なものだと思うんです。僕は、子供の頃から人はいつか死ぬものだということを念頭に置いて生きてきて、「今日死んでもいいように」ってことを考えて生きてきましたからね。そういう考えを持っているので、死の世界をリアリティーがあるものとして表現したいです。放送する水曜深夜のドラマ枠は新設枠なんですよ。監督やカメラマンは何人かいるんですが、女性スタッフが多いですし、若い子も多い現場。新しい挑戦が詰まったドラマで「死役所」の世界観をリアリティーたっぷりにお届けします。

本対談の完全版は、10月21日発売「月刊コミックバンチ 2019年12月号」に掲載される。

「死役所」
10月16日よりテレビ東京ほかにて放送スタート 毎週水曜日 深夜0時12分~0時52分
監督:湯浅弘章 棚澤孝義 酒井麻衣 松本花奈 蔵方政俊
脚本:政池洋佑 三浦希紗 烏丸棗
原作:あずみきし「死役所」(新潮社バンチコミックス刊)
出演:松岡昌宏 黒島結菜 清原翔 余貴美子 松本まりか でんでん 織山尚大(少年忍者/ジャニーズJr.)(第1話) 酒井若菜 野間口徹(以上、第2話) 三浦貴大(第3話) 豊嶋花(第4話)

【第1話ストーリー】 目を覚ました三樹ミチル(黒島結菜)は、見知らぬ場所にいた。ここはどこなのか?戸惑うミチルに声をかけたのは、総合案内係として働くシ村(松岡昌宏)だった。シ村の言葉で殺されたことを思い出したミチルは、他殺課でイシ間(でんでん)に「どうすればあの女に復讐できるのか」と訴える…。その頃、シ村はベンチに座る中学3年生の鹿野太一(織山尚大)に声をかけていた。シ村は、曲がった脚を見て、自殺課へ連れていく。成仏するには、成仏許可申請書に具体的な自殺理由を書かねばならない。ためらいながらも書き始める太一だったが、自殺の要因となった陰湿ないじめ、無関心な両親など嫌な過去が蘇り錯乱してしまう。そんな中、太一はシ役所である人物と遭遇する…。

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