渡辺謙はハクション大俳優「呼ばれたら飛び出てジャジャジャジャーン!」

ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーに輝くベストセラー小説を、ジュリアン・ムーア、渡辺謙、加瀬亮の共演で映画化した『ベル・カント とらわれのアリア』が、11月15日より公開される。このほど、10月9日にTOHOシネマズ 日本橋にてジャパンプレミアが開催され、キャストの渡辺謙、加瀬亮が登壇した。

本作は、1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件からヒントを得て、テロリストと人質の予期せぬ交流を描いた作家アン・パチェットの小説「ベル・カント」を映画化。

劇中でジュリアン・ムーア演じるオペラ歌手ロクサーヌ・コスの大ファンであり、南米某国の副大統領邸でのパーティーに招かれた、実業家ホソカワ役を演じた渡辺。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の直後に本作のオファーを受けたそうで「9.11の直後にテロリストを題材にした映画はどうなのか」と、出演を見送っていたという。その後に、ポール・ワイツ監督から直々にオファーがあったことと、渡辺自身が実際にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件と間接的に関わったこともあり「この映画をやるのは宿命。やらないと先に進めない」と思い、作品への出演を決めたという。

ホソカワの通訳を務める聡明で沈着冷静な男ゲン役の加瀬。「何ヶ国語も話せる通訳の役だったので、無理だと思った」そうだが、「台本がとても良かったので、オーディションまでの一週間でセリフを一生懸命勉強して」役をつかみ取ったという。

フランス語とドイツ語とロシア語のセリフがあったという加瀬は「演技云々の前に語学の勉強をやっていた」と、撮影での苦労を告白。外国語のセリフに悩まされる加瀬を近くで見ていた渡辺は、「目が三角になってました(笑)。『気分転換に飯に行くか?』も、言えないぐらいの感じだった」と、当時の加瀬の状態を説明し、「たまにおにぎりを差し入れ」して、後輩の頑張りを陰ながら支えていたことを明かした。

海外の作品に出る意味を聞かれた渡辺。「生意気な言い方になるかもしれないけど、あまり関係ない。おもしろい作品であれば日本であろうが、海外だろうが、アジアのどこでも行くつもり」と述べ、「呼ばれたら飛び出てジャジャジャジャーンみたいな。ハクション大俳優みたいな感じで頑張ってます(笑)」と笑い、会場の空気を和ませていた。

『ベル・カント とらわれのアリア』
11月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ポール・ワイツ
原作:アン・パチェット/山本やよい訳「ベル・カント」(早川書房より10月下旬刊行予定)
出演:ジュリアン・ムーア 渡辺謙 セバスチャン・コッホ クリストファー・ランバート 加瀬亮
配給:キノフィルムズ 木下グループ

【ストーリー】 実業家のホソカワ(渡辺謙)は通訳のゲン(加瀬亮)と共に招かれた、南米某国の副大統領邸でのパーティーを心待ちにしていた。ホソカワの会社の工場誘致を目論む主催者が、彼が愛してやまないソプラノ歌手のロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)のサロンコンサートを企画したのだ。現地の名士や各国の大使も集まり、女神のようなロクサーヌの歌声が流れたその時、突然テロリストたちがなだれ込み副大統領邸を占拠する。収監中の同志の解放を求める彼らは、赤十字のメスネル(セバスチャン・コッホ)を介して政府と交渉するが平行線が続く。そんな中、ロクサーヌの歌をきっかけに、貧しく教育など受けられるはずもなかったテロリストたちと、教養に溢れた人質たちの間に、親子や師弟のような交流が生まれ始める。しかし、かりそめの楽園に終わりの時が近づいていた…。

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