昨年の第71回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」でグランプリを受賞した北欧ミステリー『ボーダー 二つの世界』が10月11日より公開される。このほど、人気イラストレーター・藤田新策が本作の主人公ティーナを描き下ろしたイラストがお披露目となり、併せて、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
藤田新策は、スティーヴン・キング作品の日本版カバーデザインをはじめ、国内の数々の一流作家達による作品の表紙イラストが飾ってきた、一貫した幻想的かつ印象的な作風ゆえ多くの熱狂的なファンを持つイラストレーター。本作の原作者であるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが持つ“スウェーデンのスティーヴン・キング”という異名にちなんでコラボレーションが実現した。イラストは、森に激しい雷が落ち動物達が騒ぎ立つ中、静かに波打つ湖面に顔を出す主人公ティーナの姿を捉えた、想像力を掻き立てられる印象的な1枚となっている。
藤田は「小説と言うのは読者それぞれが文字を追いながら情景などをを想像するメディアです。そこには音も映像も無いわけですから主人公のルックスだって10人の読者がいれば10人の主人公の姿が脳内再生されるかと思います。ただ、映画というのは視覚表現なのでポスターなども登場人物の姿がどんと配置されるのが常かと思います。ここが小説と映画の決定的な違いですね。ただ、今回の映画『ボーダー 二つの世界』は主人公ティーナの様子をあえて謎っぽくした方が良いのではという事で、横顔も逆光にし視線を背後の空や森の動物達にさまよわせる様に演出してみました」と作画のポイントを明かす。本イラストは、9月下旬より上映劇場などに順次設置予定のコメントチラシの表紙に使用される。
▼著名人 絶賛コメント
■乙一(作家)
主人公の人物造形の圧倒的な完成度。とにかく彼女が魅力的で、その生き方から、目が離せない。
■島田荘司(作家)
こんな映画、観たことない。前代未聞!
■小島秀夫(ゲームクリエイター)
これまでの概念、美意識、価値観、倫理観、偏見、そしてジャンル映画の“ボーダー”さえも超えて、破壊する。決して、北欧ならではの御伽話では終わらせない。この分断格差社会に警鐘を鳴らし、世の真意を嗅ぎ分ける、ポジティブなる異形への賛歌。私たちの“ボーダー”が試され、自身の“ボーダー”を超えられるかが問われる。
■近藤史恵(作家)
幻想的な物語だが、そこにある痛みは、あまりにもリアルで生々しく、息を呑んでしまう。
■畠中恵(作家)
恐ろしくも、胸をざわつかせるファンタジー。日本に伝わる伝承が思い浮かんだ。
■坂木司(作家)
「なんだ、やっぱり同じところあるよね?」という甘い共感を打ち砕く物語。安心させてくれない美。最高だ。
■深緑野分(作家)
森の匂い。獣の息づかい。苔の下の幼虫の蠢き。一呼吸ごとに人間の鎧が脱げ、魂の双子を求める。境界線が分けるもの、それは性別でも血でもなく、心の形の違い。
■有栖川有栖(小説家)
いたるところで亀裂が走り、“われら”と“やつら”に分断が進む世界を、この映画は正気に押し戻そうとする。
■井上雅彦(小説家)
原初のメルヘンの衝撃。僕らが痛みに慣れきった現代の傷口を照らし出す閃光。この映画は魔術的な落雷だ。
■倉地淳(ミステリー作家)
黒いファンタジーはこれほどまでに残酷で哀切だ。
■三津田信三(作家)
この作品には、グロテスクな謎、グロテスクな恐怖、グロテスクな美、そしてグロテスクな驚愕がある。
■三辺律子(翻訳家)
生半可でない、究極の「違い」を受け入れられるか。ルッキズム、身体、ジェンダー、異能、習慣、文化、歴史…。
■東雅夫(アンソロジスト/幻想文学評論家)
ひそやかに境界(ボーダー)を出で入るモノたちの悲哀と絶望と歓喜。誰も知らない北欧の神秘(ミステリー)が、あなたの胸奥を直撃する。
『ボーダー 二つの世界』
10月11日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開
監督・脚本:アリ・アッバシ
原作・脚本:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 税関職員のティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける特殊能力を持っていた。ある日、彼女は勤務中に奇妙な旅行者ヴォーレと出会う。ヴォーレを見て本能的に何かを感じたティーナは、後日、彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にヴォーレに惹かれていくティーナ。しかし、彼にはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった。
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