辻美優「世界の現状を知ってほしい。私自身の成長に繋がった」『セカイイチオイシイ水』

日本とフィリピン両国のボランティアたちの献身により、戦争の傷を乗り越え9年もの歳月を費やし完成したフィリピン・パンダンの水道建設工事にまつわる実話を映画化した『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』が、9月21日に公開初日を迎えた。それを記念し、同日に渋谷・ユーロスペースにて初日舞台挨拶が行われ、キャストの辻美優、新井裕介、花房里枝、目黒啓太監督が登壇した。

映画初主演の辻美優は「日本では蛇口をひねれば美味しい水が出るのは当たり前ですが、フィリピンの撮影現場に行ったらお手洗いがなかったり、水道が遠かったり。そんな現状を目の当たりにして自分の中の当たり前が変わりました」とシミジミ。映画を通して「世界では年間100万人以上の子供が亡くなっているという現状を知ってほしい」と訴えた。

ボロボロのジープで登場する新井は「あのジープは撮影用に汚しているけれど、その汚れを取っても実際にボロボロです!初めて見たときに『これマジか!』と声に出たくらい」と笑わせて、「撮影中も実際に故障して止まりましたから」とハプニングを告白。辻美優が演じる主人公・明日香の親友役を演じた花房は「さりげない一言をきっかけに映画のストーリーが動き出すという役柄を演じることができて嬉しかった」とキーパーソン役に喜色満面で、「現実にも周囲の人の何気ない一言で行動に移すことってあると思います。この映画を観ていただき、観客の皆さんにもきっかけはすぐそこにあるものだと感じてほしいです」と思いを込めた。

最後に主演の辻は「綺麗な水が飲めないという現状が世界にあることを知らず、撮影を進めながらその現状を知ることができたのは、私自身の成長にも繋がりました」と実感を込め、「世界には私たちが知らない現実が沢山あります。この映画を通して水の大切さ、命の大切さを感じていただき、心に響いてもらえたならば嬉しいですし、幸せです」と初日を迎えた喜びと、映画に込めたメッセージを言葉にしていた。

『セカイイチオイシイ水~マロンパティの涙~』
9月21日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開中
監督・脚本:目黒啓太
原作:小嶋忠良(PHP研究所)「マロンパティの精水 いのちの水の物語」
原案:湯川剛
主題歌:elfin’「アンルート」(EXIT TUNES)
出演:辻美優(elfin’) 赤井英和 前川泰之 新井裕介 花房里枝(elfin’) 岡千絵 橋本マナミ 蝶野正洋 角田信朗 篠原信一 森次晃嗣 ボング・カブレラ スー・プラド ミエル・エスピノーザ エーミー・コンセプション
配給:太秦

【ストーリー】 フィリピンの首都マニラから300キロ南にあるパナイ島の田舎町パンダン。海水混じりの井戸水しかないパンダンでは、多くの村人が腎臓病などに悩まされていた。友人に誘われ軽い気持ちで、パンダン水道建設工事プロジェクトにボランティアとして参加した女子大生・明日香(辻美優)。だが戦争の禍根から日本人に反発する現地の人々、灼熱の中での作業など、多くの困難が待ち受けていた。そんな中、明日香を優しく迎え入れてくれたのは、5歳の少女アミー(ミエル・エスピノーザ)。二人は絵本と折り紙を通して仲良くなっていく。しかし、アミーも重い腎臓病に蝕まれていた…。

©セカイイチオイシイ水製作委員会