曹洞宗の高僧・青山俊董「一日生きるだけにどれだけの命を頂戴しているか分からない」『典座 -TENZO-』予告編&本ポスタービジュアル

第72回カンヌ国際映画祭の批評家週間「特別招待部門」に選出された空族・富田克也監督最新作『典座 -TENZO-』が、10月4日より公開される。このほど、本作の予告編と本ポスタービジュアルがお披露目となった。

本作は、福島と山梨に生きる二人の若き僧侶、兄弟子の隆行(リュウギョウ)と弟弟子の智賢(チケン)の苦悩を軸に、3.11(東日本大震災)以降の仏教の意義を紐解く。演じるのは、全国曹洞宗青年会の実際の僧侶たち。映画製作にあたり、彼らが“今、一番話を聞いてみたい曹洞宗の高僧”青山俊董老師の元へ、実際に智賢が訪ね交わされた対話を軸に、福島、山梨、長野、そして中国の自然の中で繰り広げられる、現代日本の僧侶たちの日常を描く。

予告編は、曹洞宗の高僧、青山俊董が「私自身は誰にもこの命にも差し上げていない。その私が一日生きるだけにどれだけの命を頂戴しているか分かりません」と告げるシーンから幕を開け、智賢が、アレルギーで倒れた息子を抱きかかえて病院へ急ぐ姿や、日々の職務に疲れた様子などが描かれる。一方の福島では、隆行が津波によってなぎ倒された墓石の前で読経したり、軽トラックの中で泣く姿が。また、隆行は福島にやってきた智賢に「お前、それをこの福島で言えるか?」と語気強く語る場面も映される。最後は、青山と智賢が緑豊かな庭の縁側で静かに語らうシーンで映像は終わる。

本ポスタービジュアルには、「何の為の信仰か?誰の為に祈るのか?」とキャッチコピーが添えられ、法衣を着た智賢、作業着で手を合わせる倉島、そして中央で青山が静かに微笑んでいる。

『典座 -TENZO-』
10月4日(金)より、アップリンク吉祥寺・渋谷ほか全国順次公開
監督:富田克也
脚本:相澤虎之助 富田克也
音楽:右左口竹の会 Suri Yamuhi And The Babylon Band NORIKIYO
出演:河口智賢 近藤真弘 倉島隆行 青山俊董
配給:空族

【作品概要】 10年前、本山での修行を共にした兄弟子の隆行(リュウギョウ)と弟弟子の智賢(チケン)は福島と山梨のそれぞれのお寺に戻った。智賢は、住職である父と、母、妻、そして重度の食物アレルギーを抱える3歳の息子と共に暮らしている。一方の兄弟子・隆行は福島県沿岸部にあったかつてのお寺も、家族も檀家も、すべてを津波によって流されてしまい、今では瓦礫撤去の作業員として、ひとり仮設住宅に住みながら本堂再建を諦めきれずにいた…。

©全国曹洞宗青年会