松本穂香、監督の母からの手紙を代読し会場感動!『おいしい家族』特別試写会

小説「えん」が第40回すばる文学賞受賞、映像産業振興機構(VIPO)による若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)2015選出など、文学・映像両才能を持ち合わせた新鋭作家ふくだももこの長編初監督作品で、松本穂香、板尾創路、浜野謙太の共演で贈る映画『おいしい家族』が、9月20日より公開される。このほど、8月31日にヒューマントラストシネマ渋谷にてヒット祈願!特別試写会が行われ、松本穂香、板尾創路、浜野謙太、笠松将、ふくだももこ監督が登壇した。

色とりどりの浴衣姿で登場したキャスト陣。本作で主演を務めた松本穂香は「今日皆さんがこの作品を観ていただけたことが本当に嬉しいです」と、本編を鑑賞した観客たちに感謝の気持ちを込めて挨拶をした。

本作はndjc2015で選出されたふくだ監督の短編映画『父の結婚』を長編化した作品。映画化した経緯について、『父の結婚』の舞台挨拶の際に、同作でも同じ役で出演していた板尾が「この映画、良い映画やから長編化にしたいんやけど、映画界のお偉いさん、お金出したってください」という言葉も後押しとなり、本企画が実現したと監督が振り返った。板尾は「短編も非常に面白かったし、長尺で何を描くのか観てみたかった」と監督への当時の期待感を語った。

本作でふくだ組に初参加した松本はふくだ監督の印象について聞かれると、「(現場で)監督が一番楽しんでいた。自信満々に“ええやん、ええやん”と先陣を切ってやってくれたので、私たちも安心して楽しくやれました」と監督への信頼感をのぞかせた。また、本作のロケ地となった伊豆諸島の新島と式根島について「いい意味で周りから遮断されていた場所でした。余計なものがなかったため、私たちも純粋に役に入りこめました」と島での撮影を振り返った。加えて、浜野との共演シーンを回想しながら、「笑いをこらえるのが必死でした」と笑顔で撮影中の裏話も披露した。松本の弟役を演じた笠松は、個性派ぞろいの共演者との撮影について「特になにもしなくても、みんなといるだけで楽しくて」と撮影現場の雰囲気を語った。また、ふくだ監督の印象については「すごくストレートな人で。どんな立場の人でも、みんなに平等で愛のある人だと思った」とした。

キャスト・スタッフともに10日間、島に泊まり込みで撮影が行われた。そのため、共演者との距離が近かったという。板尾は「生活を共にしていて、合宿しているような感じ」と撮影期間を振り返り、「その空気感が映画にもでているんじゃないかな」と現場の良い雰囲気が本編ににじみ出ていることに触れた。

撮影以外のところでどのように過ごしていたかという話題になると、浜野が島に到着した初日に、パートナー役となる板尾とデートしたというエピソードを披露。「“ハマケンいこう”と2人デートに誘ってもらって、自転車を借りて2人で海までツーリングして、2人でセルフィー撮って、波打ち際で…すごく嬉しかったです」とはにかみ、監督や他のキャストだけでなく会場からも黄色い声が上がった。

ここで、本作で長編映画デビューを果たしたふくだ監督に、監督のお母さんからの手紙というサプライズが。生後4カ月で里親となった母親からの愛のこもったメッセージを松本が代読すると、監督も思わず涙。そんな監督を横で見ていた浜野が、自身の浴衣の袖で涙を拭ってあげる一幕も。手紙を読み終えると浜野と共に松本も監督のもとへ駆け寄り、抱擁。ふくだ監督がキャストから非常に愛されていることが垣間見えた。「生まれた時からずっと、いろんな人に優しくしてもらって。だから『おいしい家族』という映画を撮って。いろんなひとに(気持ちを)返していかなきゃ」と声を震わせながら、周囲の人間に対する想いと、本作に込めた想いを吐露した。監督からの「観てくれた人に少しでも想いが伝わっていると嬉しい」と語ると、それに応えるかのように会場からは大きな拍手がおこった。

最後に、“劇中のお母さん”ということで板尾からも監督へメッセージが送られた。「短編から長編にかけて同じ役をやらせていだくことなんて、なかなかないので、縁を感じているし、ふくだももこのパワーみたいなものも感じています」とし、また、「10億くらい行くんじゃないですかね、言うのはタダですからね。次回作もね(笑)」と長編化が決まった経緯になぞって、新たな目標を口にして締めくくり、大盛況のままイベントは幕を閉じた。

『おいしい家族』
9月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
監督・脚本:ふくだももこ
主題歌:yonige「みたいなこと」
出演:松本穂香 板尾創路 浜野謙太 笠松将 モトーラ世理奈 三河悠冴 栁俊太郎
配給:日活

【ストーリー】 橙花(松本穂香)は東京で働くキャリアウーマン。母の三回忌に実家の離島に帰ると、なぜか父・青治(板尾創路)が母の服を着て生活していることを知る。びっくりする橙花を気にせず父は続けて「この人と家族になる」とお調子者の居候・和生(浜野謙太)を紹介。橙花は父を始め、様々な価値観や個性をもった人たちに出会うことで、自分が考える常識から解き放たれ、次第にそれぞれの個性を受け入れると共に、自分らしく生きることの大切さに気付いていく。

©2019「おいしい家族」製作委員会