“ボサノヴァの神様”と称されるブラジルの伝説的ミュージシャン、ジョアン・ジルベルトの行方を追ったドキュメンタリー映画『ジョアン・ジルベルトを探して』が、8月24日より公開される。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメント、そしてジョアン追悼の声が寄せられた。
「イパネマの娘」、「想いあふれて」など、ボサノヴァファンでなくとも誰もが耳にしたことのあるこれらの名曲の数々は、その類稀なるギター演奏と甘美な歌声によって世界中にその名を知らしめた、“ボサノヴァの神様”と称される伝説的ミュージシャン、ジョアン・ジルベルトによって生み出された。2003年に初の日本公演を実現し、その後も2004年、2006年と来日を重ね、日本でも多くのファンを持つジョアン。しかし、2008年8月26日にリオ・デ・ジャネイロで開催されたボサノヴァ誕生50周年記念コンサートへの出演を最後に、公の場に姿を現すことのないまま10年以上もの時が経った。
▼著名人 絶賛コメント
■伊藤ゴロー(作曲家/ギタリスト)
日本でジョアンの公演を担当したケンテックの近藤さんに「ブラジルのツアーの件でジョアンから話があるって、もう24時間スカイプつなぎっぱなしよ~」と聞いて笑ったことがあった。世界中にいるジョアンの音楽の虜になった人たち。ジョアンの音楽は本当に素晴らしい!僕もこんな旅がしたかったな。
■伊藤亮介(大洋レコード)
世界中のボサ・ノヴァに魅せられた人たちは皆、図らずも“神様”の手のひらで踊らされているかのよう。憧れと向き合う覚悟と勇気、本気、そして美しいブラジルの風景を見せてもらえるロード・ムービー。Viva, João!
■大貫妙子(音楽家)
太陽の下の樹木、その下に落ちる陰の中に佇む記憶の残像。1994年ブラジルでのスタジオ作業を終えレブロン地区にあるミウシャのアパートを訪ねた。リオの街が見渡せる眺めの良い広いテラスに立ち振り返ると、ミウシャは満面の笑みでウイスキーとグラスを二つ抱えていた。そして彼女は自宅録音されたたくさんのカセットの山からIZAURAをかけた。そこには確かにジョアンがいて月の下の終わらない宴は音の宝石となって昇華し、滴り落ちる美しい水のように魂を潤している、今も永遠に。
■小野リサ(ボサノバ歌手)
陽だまりの中でも、沈む夕陽の中でも、賑やかな折々の中でも、優しく私の心を喜びへと穏やかに包み込む。オバララ。悲しみのページをめくると微笑みの天使がそこにいて。私の心の中に生き続けるジョアン。ボサノバは大切な大切なジョアンからの贈り物。
■小堺一機
探していたジョアンが…。突然天国に行ってしまった…。でも、これでジョアンはみんなの心に居てくれる様になったのかも知れない。もう探さなくてもいいんだね!ジョアン!ありがとう!
■小沼純一(音楽・文化批評家)
音楽に、音楽を奏でる人に、わたしは距離がある。距離が憧れになる。JGを、JGの音楽を、JGを求めるドイツの作家を、スイスの映画作家がおもう。歩く。その二重の、三重の憧れが、ブラジルの景色の、生きものの、人の、建物の、空気の美しさ、はかなさをとらえる。JGのうたとともに。
■桑原茂→(初代選曲家)
「ジョアン・ジルベルトが誰よりも退屈に思えてきた」。これは監督の台詞です。Why?は観てのお楽しみ。あなただけのジョアンを映画館へお連れください。
■ゴンザレス三上(ゴンチチ)
ジョアン・ジルベルトの横顔の、その輪郭を辿るような不思議な旅。彼が放つブラックホールのような強烈な磁場の周りを巡る、縁ある人々の生活。どのシーンも見所ですが、天才マルコス・ヴァーリとのエピソードは必見。
■サエキけんぞう(作詞家・アーティスト)
推理小説のように色んな角度から「ジョアンの音楽」が聴こえてくる!理解が、愛が深まる!監督がえらい目にあいながら描くホラーあり、楽園あり、の極上エンターテイメント・ドキュメントなのだ。
■高橋芳朗(音楽ジャーナリスト)
まるで「ジョアン 声とギター」を映像化したような111分。暗闇の向こうに確かにジョアンはいる。でも、彼の姿は見えない。映画鑑賞後、改めて「ジョアン 声とギター」を聴く。やはりジョアンはいる。だが、闇はさらに濃く深くなった。
■タクシーサウダージ(ボサノバ歌手)
ジョアンがここで毎日何時間もギターと歌を練習していたと言う、かつてジョアンのお姉さんが暮らしていた家のバスルームの、便座が置かれた地味な空間が映し出された…。ここから雲間を抜けて現れた青空のようなボサノバが生み出されたのかと、感動を突き抜け沈黙。
■チチ松村(ゴンチチ)
この映画が面白いのは、ジョアンがまるで滅多に遭遇できない絶滅危惧種の幻の生物みたいに思えてくることだ。但し一つ言えることは、ジョアンは種ではなく唯一無二の存在であった。
■堀内隆志(café vivement dimanche)
ジョアン・ジルベルトが本当に神様だったのではないかという関係者が明かすエピソードの数々は、まさに神話そのもの。初めて知るジョアン増が劇中で多く語られています。ボサノヴァファンはもちろんですが、何か熱中するものを見つけられていない人にも観て欲しい映画です。会いたいという熱量が様々な人を動かしていく展開はワクワクしました。
■中原仁(J-WAVE「サウージ!サウダージ…」プロデューサー)
ジョアン・ジルベルトが本当にいなくなってしまった今、この映画を見ると特別な喪失感に襲われる。しかし、生前のジョアンが残してくれた音楽の豊かな記憶は、人々の心の中に永遠に生き続ける。
■名越康文(精神科医)
独りトイレに篭り、そこで生まれた音楽で世界を変えてしまった男。それは奇跡のようにみえて、一つの法則のようにもみえる。つまり人は“独り”を知ると、宇宙と繋がるのだ。
■宮沢和史(シンガーソングライター)
日本での公開前に、ジョアンというオブジェクトはこの惑星を去ってしまった…。もうこの地上で彼を探し出すことはできない…。しかし、ジョアンが発明した音楽、愛した歌たち、は永久にこの惑星を漂い続ける。いつも私達のそばにいてくれる。
■ヤマザキマリ(漫画家・随筆家)
姿は見えないのに、ジョアン・ジルベルトがいつも傍にいるような映像だった。ジョアンがリオの街や海、そして友人たちの中に、ボサノヴァの歌声とともに染み込んでいる証拠だろう。彼は神話の神様みたいなものなのだ。
©ヤマザキマリ
『ジョアン・ジルベルトを探して』
8月24日(土)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ジョルジュ・ガショ
出演:ミウシャ ジョアン・ドナート ホベルト・メネスカル マルコス・ヴァーリ
配給:ミモザフィルムズ
【作品概要】 その類稀なるギター演奏と甘美な歌声で、世界を魅了したボサノヴァの神様、ジョアン・ジルベルト。10年以上、公の場に姿を現していない彼に会いたい一心で、ドイツ人作家とフランス人監督が時空を超えてリオの街をさまよい歩く。果たしてジョアンは姿を現してくれるのだろうか…?
©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018