古舘佑太郎、キャラ作りの参考に「何度も『101回目のプロポーズ』を見た(笑)」『いちごの唄』公開記念舞台挨拶レポート

銀杏BOYZ(峯田和伸)がこの世界へ産み落とした名曲の数々にインスパイアされた脚本家・岡田惠和が、古舘佑太郎と石橋静河のダブル主演で映画化した『いちごの唄』が7月5日より公開される。このほど、7月6日に新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が行われ、古舘佑太郎、石橋静河、光石研、蒔田彩珠、峯田和伸、宮本信子、菅原伸太郎監督が登壇した。

主人公コウタを演じた古舘は、登壇前に共演者たちから「今日も爆発して、コウタでいけ!」と言われたと明かしつつ「案外、僕は真面目でまともな人間なのですが…(苦笑)」と役柄と自身との違いを強調。「あのキャラクターは、監督と一緒に作り上げていったものです。去年の夏、監督と2人で悶々としながら何度も『101回目のプロポーズ』を見返して…(笑)。最終リハーサルでは2人とも悩みすぎて『今日はもうやめよう』と頓挫しかけたこともありました。こうして完成して、みなさんにお届けすることができて、今から思うとあの日々も愛おしいです」と公開を迎えた喜びを口にした。

原作、主題歌、音楽を担った峯田は「出産を終えた気持ち」と公開を迎えた心境を明かし「高校の時、好きな映画が地元でやっていて、好きな人と見に行きたくてチケットを2枚買ったのですが、誘えなくてひとりで見に行きました。その映画がすごく良かったのです。何十年も経って、どこが良かったとか思い出せませんが『すごいものを見た』と覚えていて…。この映画もそういう映画になれば良いなと思います」と語った。

トークではキャスト陣が、お勧めのシーンや忘れられないシーンを語り合った。宮本演じる孤児院の園長先生と石橋が演じる千日が喫茶店で会話をするシーンについて、多くの観客から「泣いた」という声があがっている。宮本は「大事なシーンでした」とうなずき、石橋は「一番忘れられないシーンです。今までお芝居をしてきた中でも、本当に忘れられない時間でした」と語る。

一方、コウタの父親を演じた光石は「一番お勧めしたいのは(コウタと千日が年に一度歩く)環七通り!こんなに色っぽくセクシーに、天の川のように環七を撮った映画は他にないのではと思います。僕もいつも通っていますが、素っ気なく混雑した道なんです。それが別物のように映っています」と熱く語り、会場からは拍手が沸き起こった。峯田も「実際、フラれてへこんだり、彼女とケンカして『うわっ、これはもう別れるわ…』と思ったときに、夜の環七を新曲の歌詞を考えながら歩いたことがあります。そういう報われなかった気持ちが、映画のキレイなシーンになっているようで、ついに自分の気持ちも報われたんだと感じます」と感慨深げ。宮本が峯田に「(映画を観て)泣けてきたの?」と尋ねると峯田は「初めて付き合った人が(映画の中でコウタと千日が毎年七夕に再会する)高円寺に住んでいました。『手をつないだな』とか…、見ていてキツかったです」と明かした。

また、この日は、コウタと千日が年に一度会う約束をする七夕の前日。年に一度しか会えない主人公二人の設定にちなみ「もし好きな人と一年に一度しか会えないなら、何をしたいか?」という質問がキャスト陣に投げかけられた。古舘は「また来年、会えるかどうか分からない状況ですよね?区役所に婚姻届けを出したら、また来年も会えるかな…?と思うので、区役所デートでその日一日、(結婚を)説得したいです!」とコウタさながらのコメントで会場は笑いに包まれた。光石は「とりあえず焼肉を食べとこう。食べてから考えよう(笑)」と語り、峯田は「いやらしい話じゃなく…やることは決まってますね!」と語り会場を沸かせた。

一方で女性陣の石橋は「(年に一度しか会えないと)日常の生活を一緒に過ごせないので、ほのぼのと普通の生活を過ごしたいです」。蒔田は「すごく静かな公園で、『バイバイ』するまでずっとしゃべっていたいです」と語り、宮本は「いっぱいおしゃべりして、つい眠くなって寝てしまい、ハッと目が覚めたら『あぁ、いい夢だったな』と思うのがいいかしら」と温かく優しい口調で語り、これには登壇陣一同、心打たれたようで、しみじみとうなずいていた。

最後に、古舘が「青春がこれから始まる人、青春真っただ中の人、思い出している人…あらゆる人たちに観ていただき、甘酸っぱい、淡い気持ちになっていただけたら、この1年間の全てが報われる気がします」と語り、菅原監督は「もう一度、最初から観ていただくと、また印象が変わると思います。観終わって感想を語り合っていただければ」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。

『いちごの唄』
7月5日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー中
監督:菅原伸太郎
原作・脚本:岡田惠和
原作:峯田和伸(朝日新聞出版)
音楽:世武裕子 銀杏BOYZ
出演:古舘佑太郎 石橋静河 和久井映見 光石研 清原果耶 小林喜日 大西利空 泉澤祐希 恒松祐里 しゅはまはるみ 渡辺道子 ポール・マグサリン 山﨑光 蒔田彩珠 吉村界人 岸井ゆきの 峯田和伸 宮本信子
配給:ファントム・フィルム

【ストーリー】 コウタ(古舘佑太郎)はバカで不器用だけど優しい心を持つ青年。唯一の親友だった伸二(小林喜日)は、中学生の頃2人が“天の川の女神”と崇めていたクラスメイトのあーちゃん/天野千日(石橋静河)を交通事故から守り亡くなった。10年後の七夕、伸二の命日。コウタと千日は偶然高円寺で再会し環七通りを散歩する。「また会えないかな」「そうしよう。今日会ったところで、来年の今日…また。」コウタはカレンダーに印をつけ、この日だけを楽しみに一年を過ごす。次の年も、その次の年もふたりは会い、他愛ない話で笑いながら環七通りを散歩する。あーちゃんは笑うととてもきれいだ、いつまでもふたりで散歩していたい…。しかしある年、千日は自分と伸二の過去の秘密を語り「もう会うのは終わりにしよう」と告げる。

©2019『いちごの唄』製作委員会