桜田ひより、加藤清史郎とのアフレコを通して「感情の出し方が変わっていった」『薄暮』昌平高校 舞台挨拶付き特別鑑賞会レポート

山本寛監督が贈る、東日本大震災・復興プロジェクト「東北三部作」最終章である『薄暮』が、5月24日より福島県にて先行公開、6月21日より全国順次公開される。このほど、6月6日に福島県にある東日本国際大学付属昌平高校にて舞台挨拶付き特別鑑賞会が開催され、桜田ひより、赤池紗也加、広江美奈、山本寛監督が登壇した。

主演の桜田は、「映画のモデルの高校に今日こうして戻ってこれて、学校の下の坂道など何回もみた景色なので、『帰ってきたなあ』となつかしい感じがします。こうして生徒のみなさんが同じ制服をきている姿をみると『青春をしているなあ』と感慨深いです」と語り、「声優は初挑戦でしたので、初めての経験で緊張が大きかったです。台本のページを音をたてずにめくることが難しく、家で何度も練習をしました。ひとりでアフレコをしている時は、ボールの壁打ちをしているような感じがしていましたが、祐介役の加藤清史郎さんと二人でアフレコをしてみると、加藤さんのセリフひとつひとつに想いがこもっているので、私もセリフの受け止め方も返し方も感情の出し方も変わり違っていったので、すごく助けられました」とアフレコの様子を振り返った。

山本監督は、「昌平高校には2年前くらいから通っており、映画の中でありとあらゆる昌平高校の映像をおさめられたと思います。桜田さんが話していた台本の紙のめくりは、プロでも音をだしてテイクNGをだしてしまうことが多いので、大変だったと思います。そして、桜田さんの相手役の加藤さんも、桜田さんと演じ合うことで、役者としてのいい影響や刺激を受けていたようでした」と話し、続けて、「『薄暮』という福島を舞台にした作品は、震災をきっかけに立ち上げて手がけてきた映画シリーズの最後の作品です。今回、福島を美しく描くことに専念しました。この映画を通して、県内、県外、世界の方々に福島を感じてもらい、遊びにきていただけたらと思います」と映画への想いを語った。

赤池は、「私にとっての声優デビュー作となりました。その作品を、皆様に観ていただけて本当に嬉しいです。アニメ映画の文化のひとつともなっています『聖地巡礼』の現象がありますが、今日、こうして舞台となった高校に足を運べ、生の高校生活を体感できたことは貴重な経験です。そして、主演の桜田さんは初めてお会いしましたが、純粋無垢で、すっごくカワイイです!」と声優デビューとなった本作品への想いを明かした。

広江は、「体育館のステージの上で登壇させていただくのは初めての経験です。とっても有難いです。私は主役の佐智が乗り降りしている湯本駅前にあるワイワイショップの店員を演じましたが、皆さんが知っていて愛されている店員のお姉さんを演じることができて楽しかったです」と実在の人物を演じたことへの想いを口にし、「皆さんの制服、そして皆さんの学校が舞台になっている映画が誕生しましたので、宜しくお願いします!」と、映画応援要請をした。

最後に桜田は、「昌平高校の皆さんと同じ制服を着ながら、映画の主題歌『とおく』のミュージックビデオ撮影をいわきでできたこと、そして、声優初挑戦となった『薄暮』という映画に携わること、それが私の中でとても貴重で宝物な経験となりました。私も皆さんと同じ高校生なので、一緒に高校生活をこれからも楽しみましょう!」と映画のアピールをしながら締めくくった。

『薄暮』
5月24日(金)より福島県先行 全国順次公開
監督・原作・脚本・音響監督:山本寛
主題歌:AZUMA HITOMI「とおく」
声の出演:桜田ひより 加藤清史郎 下野紘 島本須美 福原香織 雨宮天 佐倉綾音 花澤香菜
配給:プレシディオ

【ストーリー】 福島県いわき市の女子高校生・佐智(声:桜田ひより)は、2011年3月11日に起きた東日本大震災で心に傷を持ち、それ以来、友達や家族とどこか距離をおきながら、人にも恋にも無関心に生きていた。幼い頃からヴァイオリンを続け、高校で音楽部に所属しながら文化祭で四重奏を披露するため、日々練習に追われている。同じ頃、震災で実家が帰宅困難地域となりいわきに避難してきた男子高校生・祐介(声:加藤清史郎)は、当たり前の景色が失われてしまう現実を目の当たりにし、“美しい今”を絵画として残すため描きはじめる。展覧会に出品する夕景画を描くため田園風景を訪れた祐介は、夕映えの中、佐智と出会い心の交流を続けていく。やがて、二人の淡い想いは「恋」へと発展し…。

©Yutaka Yamamoto/Project Twilight