サービス提供開始から3周年を迎え、全世界で900万DLを突破した本格タクティクスシミュレーションRPG「誰ガ為のアルケミスト」をアニメ映画化した『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』が、6月14日より公開される。このほど、5月24日にTOHOシネマズ 新宿にて本作の完成披露プレミア上映会が行われ、水瀬いのり、逢坂良太、河森正治総監督、高橋正典監督、原作、プロデューサーを務める今泉潤、主題歌を担当する石崎ひゅーいが登壇した。
出来立てホヤホヤの本作の完成を祝い、水瀬は第一声に「自信を持てる芝居をアフレコでできたと思います!」と自信をのぞかせ、河森総監督は「本当に完成したばかりなので、皆さんに観ていただくのが楽しみです」と挨拶し舞台挨拶はスタート。水瀬は、カスミを演じるにあたってスタッフと事前に打ち合わせを行ったことを明かし、「初めてタガタメの世界に加わりましたが、アフレコ時に不安はなく挑むことができました」とコメントし、河森総監督は「アフレコ当日、水瀬さんの声を聴いて『これでイケる』とカスミの姿が見えた。地味でも、暗くもない、普通の女の子を見事に演じてくれた」と水瀬を絶賛。また、水瀬は河森総監督から「普通の女の子で演じてください」という話があったそうで、「初めてみる方と同じ目線でいられるよう、一つ一つ新鮮なリアクションで、人間味のある女の子を演じるよう心掛けました」と言及した。
続いて、逢坂はゲーム版から長年務めるエドガー役について「まさかこんなメインキャラになるとは思ってなくて…ゲームのビジュアルだと、上の方にポツンと一番小さいんですよ!(笑)」と話し、劇中ではゲームのストーリーから2年後の世界を描いていることもあり、ゲーム版からのエドガーの変化について、「ゲームの時とは違い、『ナチュラルに演じてほしい』とリクエストをいただきました。なので、第一声が難しくて…何度かリテイクしました」と苦労を明かした。そんなエドガーについて水瀬は「劇中では結構二人がメインのシーンも多いので、カスミにしか見せないエドガーの表情がすごくいいんです!ぜひ皆さんの知らないエドガーを見てほしいです!」とカスミならではの見どころを語った。
「本作がちょうど河森さんの40周年の節目だそうで…」と敬意を表しながらも、「ゲームのキャラを守りつつ、河森さんの世界にうまく融合できるよう、設定を一緒に作り上げていきました」と話した今泉。河森総監督が今回劇場版をつくるにあたって、「もともとゲームのOPに関わっていたのが大きかった」と口にすると、今泉は「当時、OPを作っていただ時、ゲームをリリースする前だったので河森さんが作った技をゲームに取り込んだり、という逆輸入もあったんです」と意外なゲームの制作秘話を明かした。すると河森総監督は「異質のもの同士があわさって、新しいものが生まれると思う」と持論を語り、「自分自身の作品でさえ変えてしまうので…でも、闇雲に変えているわけでないですよ(笑)。それぞれTVと映画館だとスクリーンのサイズが違うので、メディアにあわせて変えているんです!」と力説しながらも、「でも、本作では高橋監督に助けられています(笑)」とコメント。それに対して高橋監督は「ゲームの良いところと、河森さんの色のバランスを取るのが大変でした(笑)」と本音を漏らしつつ、「ゲーム原作という芯があるので、ブレることはなかったです。河森さんのオーダーを活かしつつ、しっかり今泉さんの監修があり。特にバトルシーンは河森さんらしい、力強い画面に仕上がっています」と自信を見せた。
カスミやエドガーのキャラクターとの共通点を尋ねられた水瀬は「カスミはホニャララが好きって言っても大丈夫ですか…?」と河森総監督にひそひそと尋ね、「実は、カスミと自分に重なるところがあって…特に幼少期に起こる出来事が、まさに自分も子供のころ同じ体験をしていたんです!私小さい頃、じゃじゃ馬だったので…(笑)」と告白。「台本を読んだ時、もしや“Special Thanks to 母親”ってサプライズがあるのか!?って思っちゃいました。台本読みながら、古傷が痛みました(笑)」と可愛らしい一面を披露し会場は笑いに包まれた。一方、逢坂は「女子にアプローチとか、ないです!(笑)」と笑いつつ、「僕は人見知りなので…エドガーのやさぐれた時に人を信用しなくなるところは似てます(笑)」と本音を明かした。河森総監督は「逢坂さんがエドガーの変化した部分をうまく演じてくれた。彼の秘めた想いが伝わると思う」と口にし、逢坂は「エドガーとカスミの雨のシーンが好きなんです。普段見ることのない、エドガーの意外なビジュアルが見れるので、そこもぜひ注目して欲しい」と見どころを語った。
最後に、逢坂は「全力で長時間にわたって収録して、良い演技ができていると思います。昨日ギリギリまでつくっていたと伺ったので…最後まで楽しんでください!」、水瀬は「私のように初めてタガタメに触れる方はこの作品を通して、個性的なキャラクターたちを愛してあげてください。ゲームをプレイして既にご存じの方は、新しいキャラクターのカスミを愛していただけたら嬉しいです。約2時間とボリューミーですが、一瞬一瞬を見逃さずに、この大スクリーンで堪能してください!」と本作をアピールし、本舞台挨拶は終了、本編上映へと移った。
本編上映後にはアフタートークが実施され、大きな拍手とともに河森総監督、高橋監督、今泉、そして、主題歌とエンディングソングを書きおろした石崎が登壇した。石崎は「アニメーションとどう絡むのか楽しみで、いい経験になりました」、「オファーを受けた時、アニメは初だったので、僕でいいのか不安でした。でも、アニメが寄り添ってくれた気がします。作品からものすごいパワーを感じました」とコメント。河森総監督は「楽曲を初めて聴いた時、作ろうとしていた映像が浮かび上がりました。楽曲が素晴らしくて、少し編集も変えたりして…とてもその編集が楽しかったんです!」と笑顔で語った。
石崎は河森総監督と事前に話したことで、「お話を伺った後、カスミの心情やどんな子なのか、頭に入ってきました。カスミの感情が高まって、感情が溢れるシーンが浮かんで…それをもとに作成しました」と明かすと、今泉は「石崎ひゅーいさんはメッセージを共有しながら楽曲を作成してくださると伺って、依頼させていただいたんですが、もう…めっちゃいい!!ってなりました」と興奮をみせ、河森総監督も「みんなでライブへお邪魔させていただいたんですが、本当に最高でした!」と石崎を大絶賛。高橋監督も「アニメを先にイメージしてくださったというのが、とてもわかります。こちらのイメージを進化させてくれる、素晴らしいものを届けてくれました」と感謝を述べた。
石崎は作品をみて「自分の曲が流れるシーンで嗚咽が止まらないほど泣きました(笑)。実写と違い、アニメだと命を吹き込んでいる気がして、新しい刺激になりました」と話し、今泉は「本当に楽曲が素晴らしくて…生で聞きたい…僕が歌っちゃいたいです!」と本音をもらした。すると、「実は…偶然ギターを持ってきているんですよ…!」と石崎。「この作品がなければ、この歌は生まれなかったので、感謝を込めて歌います」の一言とともに、主題歌「Namida」を語り弾きでサプライズ披露。心のこもった歌声に聴き入り、まだ余韻が残っている中、河森総監督は「生で聴けるの最高だった!観客半分以上、ファンになってる!!」と興奮を隠しきれない様子だった。
最後に、石崎は「アニメのパワーが加わって、本当に心揺さぶられる作品。そこに僕も参加させていただきました。ぜひ感想をひろめて、何年も語り継がれる作品となってほしいです」とコメントし、今泉プロデューサーは「河森さんの魂の作品にしてくれと依頼したところから始まった作品です。映画でやる意味、河森さんの40周年という節目を考え、ただのファンムービーでなく、メッセージがちゃんと込めた作品を目指しました。普遍性のあるメッセージも込められているので、皆さんに伝わるといいなって思います。“全部抱きしめて!”ってカスミのセリフもあるので!(笑)“河森正治全部入り”の作品です!河森さんの40年越しの錬金術が完成したと思いますので、ぜひ楽しんでください!」と締めくくった。
『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』
6月14日(金)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー
総監督:河森正治
監督:高橋正典
原作:今泉潤/FgG
脚本:根元歳三
音楽:AkiyoshiYasuda(★STARGUiTAR)
主題歌・エンディングソング:石崎ひゅーい「Namida」「あの夏の日の魔法」(EPICレコードジャパン)
声の出演:水瀬いのり 逢坂良太 降幡愛 花江夏樹 石川界人 堀江由衣 生天目仁美 内田雄馬 今井麻美 早見沙織 江口拓也 Lynn 福山潤
配給:アスミック・エース
【ストーリー】 演劇部に所属する自分に自信の持てない女子高生カスミ(声:水瀬いのり)は、ある日、不思議な声に導かれて異世界バベル大陸へと召喚される。そこは、伝説の存在・暗黒竜デストルークにより、錬金術も魔法も封じられ、“闇の魔人”が跋扈する世界だった。カスミは、彼女を召喚した魔法使いのリズ、ガンナーのエドガーと出会い行動を共にする。“闇の魔人”の魔の手はレジスタンスの村へと迫る。絶望を目前にしたカスミの脳裏に、意外なビジョンがふと浮かび上がる。それは、カスミの中に眠る彼女の“本当の強さ”が目覚めようとしている兆しだった―。「お願い、届いて、私の中に力があるなら…」
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