町田樹、令和のスター・フィギュアスケーターの条件は「AIに支配されない演技」映画『氷上の王、ジョン・カリー』ジャパンプレミアイベントレポート

伝説の男子フィギュアスケート金メダリスト、ジョン・カリーの知られざる人生を描いたドキュメンタリー映画『氷上の王、ジョン・カリー』が、5月31日より公開される。このほど、5月9日に新宿ピカデリーにてジャパンプレミアイベントが開催され、フィギュア元日本代表の町田樹と、振付師として活躍する宮本賢二が登壇した。

2018年のプロスケーター引退後、研究者の道へ進んだ町田は、ジョン・カリーについて「スケート靴を履いた人間が、美しく映える身体のフォルムを熟知した人」と表現。また、本作では字幕監修と学術協力もしている町田は、その経緯について「かつて雑誌で良質なフィギュアスケートを批評する連載を持っていた」そうで、「その記念すべき第一回目にジョン・カリーのことを書いたんですが、本作を配給する会社が注目してくださって、声をかけてもらった」ことを明かした。

ジュニア時代に初めて優勝したのが「ジョン・カリーメモリアルという大会」だったという町田。「私とジョン・カリーの縁はそこから始まる」という驚きの実績も明かし、「今日のこの日を心待ちにしていました!」と満面の笑顔を見せた。

ジョン・カリーが金メダルを獲得した『ドンキホーテ』という作品について、町田は「もちろんオリンピックでもノーミスなんですけど、伝記によると一ヶ月間の練習期間、ずっとノーミスなんです」とコメント。町田いわく、これは「ロト6を当てるぐらい難しい!」そうで、「練習に裏打ちされた結果と美である」ことを説明した。

令和になり、フィギュアスケートの未来を聞かれたゲスト陣。振付師の宮本は「4回転反、5回転とかが来ると思う。また難しくなるのでは」とコメント。「間違いなくAIが関与してくる」という町田は、「AIが好む演技は機械的な演技。令和のスター・フィギュアスケーターの条件は、AIに支配されない演技」だと語っていた。

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『氷上の王、ジョン・カリー』
5月31日(金)より、新宿ピカデリー、東劇、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督:ジェイムス・エルスキン
ナレーション:フレディ・フォックス
出演:ジョン・カリー ディック・バトン ロビン・カズンズ ジョニー・ウィアー イアン・ロレッロ
配給:アップリンク

【作品概要】 アイススケートをメジャースポーツへと押し上げ、さらに芸術の領域にまで昇華させた伝説の英国人スケーター、ジョン・カリーの、アスリートとしての姿だけでなく、栄光の裏にあった深い孤独、自ら立ち上げたカンパニーでの新たな挑戦、そして彼を蝕んでいく病魔AIDSとの闘いを、貴重なパフォーマンス映像と、本人、家族や友人、スケート関係者へのインタビューで明らかにしていく。

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