毎熊克哉が母校に凱旋、学生にエールを贈る!『轢き逃げ -最高の最悪な日-』ティーチインイベント レポート

水谷豊が『TAP -THE LAST SHOW-』(2017)に続きメガホンをとり、脚本と出演を兼ねる監督2作目となる最新作『轢き逃げ -最高の最悪な日-』が、5月10日より公開される。このほど、4月28日に東京映画・俳優&放送芸術専門学校にてティーチインイベントが行われ、同校出身の毎熊克哉と、本作の撮影監督の会田正裕が登壇した。

毎熊:今は役者をやっていますが、学生のときは撮影・照明を最初は学び、のちに監督専攻になり、色々やっていました。当時はうだつも上がらずだったのですが(笑)、続けてやってきて、こうして母校に戻ってくることが出来て良かったなと思っています。自分はまだ俳優としても10年ほどのキャリアしかありませんが、水谷監督は、監督自身が役者としてのものすごいキャリアをお持ちです。僕たちよりずっと、細かいイメージもあり、役者にしかわからない微妙なニュアンス、イメージがあるのですが、それが明確で具体的で、やり易かったです。

会田:こうやって毎熊さんの母校でイベントをするというのは不思議な気持ちですね。水谷監督は、「相棒」で杉下右京を演じている時に、先頭に出て長台詞を言いながら、後ろの役者さんの動きもしっかり理解している方。現場でのスタッフの団結力はすさまじく、段取りなどに手を抜くスタッフも別の作品だと見受けられることもあるのですが、この作品では本当にそれがなかった。毎熊さんは、人間としてとにかく性格がいい。こういう役者さんは愛されると思います。そして、対応力も素晴らしい。

▼以下は学生とのティーチイン内容
Q:毎熊さんは役作りをされるうえで心がけていることはありますか?
毎熊:同じ方法で役作りをしない様には心がけています。自分にとって足りないもの、既にあるものは役ごとに違ってくると思うので、そこは同じやり方はしないように。なるべく同じ入口を作らないようにしています。

Q:撮影している時に、イメージ通りの映像を撮るために心がけていることはどんなことですか?
会田:映画は皆で作るものなので、まずは水谷監督がどのような映像を欲しているのか、話し合いをとにかくしました。撮影だけでなく、美術、音響、照明、皆で作り上げなくてはならず、具体的にどうしたら毎日失敗せずにイメージを具体に出来るのか、考え、共有しています。

Q:在学中は監督を志されていたそうですが、俳優になられたきっかけや経緯を教えてください。
毎熊:元々は映画監督というより、映画を作りたいという思いが強かったです。それでこの学校へ入学しました。「役者をやろう!」というよりは、芝居とは何だろうという事に興味が出て、これからもずっと続けたいと思うに至ったという感じでしょうか。

Q:さまざまな作品に出演され、スケジュールもお忙しい中どのように仕事に向き合われていますか?
毎熊:今、ありがたいことに仕事を頂けています。今後ずっと、役者の仕事がある保証もないですし、これが最後の仕事かもしれないと、どの作品をやるときも思っています。仕事として「はい、仕事」とやってしまうとつまらなくなってしまいますよね。毎度、これが「最後かも」と思って取り組んでおります。

Q:人と人の思いが交差する作品だと思いました。どんなことに気を付けて撮影されましたか?
会田:リアルに感じてもらえたほうが、この作品は伝わるのかなと思いました。サスペンスタッチで、緊張した状態で話を引っ張っていかねばなりませんが、あまりサスペンスすぎる、わざとらしい映像にならないように、陰影の固さが偏らないようにしました。光を使ってコントラストを柔らかくしてオーバーになり過ぎないように、ナチュラルな映像を提案しました。

Q:これから、面白い役、悪い人の役等何でもできる俳優になりたいのですが、どうしたらいいですか?
毎熊:自分にとっていいことも、悪いことも、自分の中からしか出てこないのではと思っています。自分は、嫌いな人ともわざわざ飲みにいったりします(笑)。そういう時の感情は、経験してみないと芽生えませんから、そういうことを積み重ねて頑張ってもらえたらと思います。

Q:映像のお芝居と舞台のお芝居、それぞれ違うと思うのですが、どのように気をつけていますか?
毎熊:5月下旬から舞台に出ますので、良かったら是非見てください(笑)。舞台はそんなにたくさんの経験があるというわけではないのですが、舞台の場合、カット割りはお客様が決めると思うんですね。全身が見られるというところを気にしなくてはいけませんよね。映像は、最初にセリフをもらえた時に、目が動きすぎると何度も怒られました。そんなに動かしたつもりなくても、見てみると本当に目に出るんです。目に嘘が出ないように、注意を払っていますね。

『轢き逃げ -最高の最悪な日-』
5月10日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:水谷豊
音楽:佐藤準
テーマソング:手嶌葵「こころをこめて」(ビクターエンタテインメント)
出演:中山麻聖 石田法嗣 小林涼子 毎熊克哉 水谷豊 檀ふみ 岸部一徳
配給:東映

【ストーリー】 ある地方都市で起きた交通事故。一人の女性が命を落とし、轢き逃げ事件へと変わる。車を運転していた青年・宗方秀一(中山麻聖)、助手席に乗っていた親友・森田輝(石田法嗣)。二人は秀一の結婚式の打ち合わせに急いでいた。婚約者は大手ゼネコン副社長の娘・白河早苗(小林涼子)。悲しみにくれる被害者の両親、時山光央(水谷豊)と千鶴子(檀ふみ)。その事件を担当するベテラン刑事・柳公三郎(岸部一徳)と新米刑事・前田俊(毎熊克哉)。平穏な日常から否応なく事件に巻き込まれ、それぞれの人生が複雑に絡み合い、抱える心情が浮き彫りになっていく。彼らの心の奥底に何があったのか?何が生まれたのか?その悲劇の先に、彼らは何を見つけられるのか?

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