2018年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門にて審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞し、第76回ゴールデン・グローブ賞ならびに第91回アカデミー賞の外国語映画賞にレバノン代表でノミネートされたナディーン・ラバキー監督による映画『カペナウム』(原題)が、邦題『存在のない子供たち』として、7月より公開されることが決定した。
中東の貧困、移民などの社会問題を描き、世界を揺るがした本作。わずか12歳で、裁判を起こしたゼインが訴えた相手は、自分の両親。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、法的には社会に存在すらしていない。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、大人たちが作ったさらに過酷な“現実”だった。
監督を務めるのは、『キャラメル』で監督・脚本・主演の一人三役を果たし、カンヌ国際映画祭の初上映で話題をよび多くの映画賞を受賞したナディーン・ラバキー。リサーチ期間に3年を費やし、主人公ゼインをはじめとした出演者のほとんどは、似た境遇にある素人を集めた。感情を「ありのまま」に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出するという手法をとり、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる“物語の強さ”を観る者の心に深く刻み込む。
ラバキー監督は、女優としても活躍しており、5月14日より開催される本年度のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」の審査員長も務めることが先日発表された。
『存在のない子供たち』
7月 シネスイッチ銀座ほか全国公開
監督・脚本・出演:ナディーン・ラバキー
出演:ゼイン・アル・ハッジ ヨルダノス・シフェラウ ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
配給:キノフィルムズ 木下グループ
【ストーリー】 わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン(ゼイン・アル・ハッジ)。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされている。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、大人たちが作ったさらに過酷な“現実”だった―。
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