本屋の娘である林真理子がイギリス本屋映画に感動のエール!『マイ・ブックショップ』トークイベント付披露試写会レポート

ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの小説を、『死ぬまでにしたい10のこと』のイザベル・コイシェ監督がエミリー・モーティマー主演で映画化し、第32回ゴヤ賞で主要3冠に輝いた『マイ・ブックショップ』が3月9日より公開される。このほど、3月1日にシネスイッチ銀座にてトークイベント付披露試写会が行われ、作家の林真理子が登壇した。

「実は私は本屋の娘なんです。本屋の娘だったら、何か感じるだろうっていうことで今回声をかけていただいたんです」と林。山梨出身の林の実家は、母親が開業した本屋だった。「映画の中では、女性主人公が美しい本を棚に並べてるシーンがあるけど、本屋ってホントは重労働なの。本って重いから。それでうちの母親は腰を悪くしたくらい」。重い本を駅まで取りに行ったり、雑誌の付録を挟む作業はとても大変だったと当時を振り返り、さらに「そのうえ“本屋とタバコ屋は儲からない”って母は言ってたけど、粗利(利益)がないのよ!」と、リアルな苦労話を披露して観客を一気にひきこむと、その後も、それでも本屋が好き、本が好きという「愛情」に支えられた毒舌&暴露(?)の縦横無尽トークで観客を魅了した。

「Amazonもいいけど、「これあなた好きでしょ」なんて薦められるとね〜、やっぱり本屋さん、本屋大賞は素晴らしいけどそれはそれ、文学賞の直木賞とは違うでしょ」と楽しいトークの数々で時間が経つのもあっという間のトークだった。そして本作について「この映画で一番感動したのは<受け継がれる>ということ。本っていうものへの情熱を継いでくれる人が必ず現れるんだと思うと、ちょっと涙が出てきてしまって、本当に良い映画だなと思いました」「本屋の娘ということで、一日店長とかいろんなことをやって、どうにかしてもっと本を読んで欲しいとやってきたけど、万策尽き果てた感じ。でも、こんな素敵な、本を愛する気持ちが詰まった映画があると、本当にたくさんの人に見て欲しいと思いますね」「映画の冒頭で、本を読むことでその物語の住人になれると言っているんですけど、これは本当に素晴らしいことだと思います」と本作の魅力もたっぷりと語り、映画にエール。そして好きな本屋さんについて聞かれると「私が行くのは小さい本屋さんか逆にものすごく大きな本屋だけ。だって、大きな本屋なら私の本が何冊かはきっとあるだろうし、小さな本屋なら置いてなくても仕方ないって諦められるでしょ。だから中規模の本屋には精神衛生上のために行かないようにしています(笑)」と会場の笑いを誘った。

『マイ・ブックショップ』
3月9日 シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:イザベル・コイシェ
原作:ペネロピ・フィッツジェラルド「The Bookshop」(ハーパーコリンズ・ジャパン2月刊行予定)
出演:エミリー・モーティマー ビル・ナイ パトリシア・クラークソン
配給:ココロヲ・動かす・映画社 ◯

【ストーリー】 1959年、イギリスの海岸地方の町。戦争で夫を亡くした女性フローレンス(エミリー・モーティマー)は、書店が1軒もなかった町で、夫との夢だった書店を開業しようとする。だが女性の開業がまだ一般的ではなかった保守的な地方の町で、フローレンスの行動は住民たちに冷淡に迎えられる。ある日、彼女は、40年以上も邸宅に引きこもり、ただ本を読むだけの毎日を過ごしていた老紳士(ビル・ナイ)と出会う。フローレンスは、読書の情熱を共有するその老紳士に支えられ、書店を軌道に乗せるのだが、彼女をよく思わない地元の有力者夫人(パトリシア・クラークソン)は書店をつぶそうと画策する。

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