第1回WOWOW新人シナリオ大賞を受賞した圓岡由紀恵の同名シナリオを、伊藤淳史主演、木南晴夏共演で映像化した「ドラマW 今日、帰ります。」が、3月10日にWOWOWプライムにて放送される。このほど、2月18日にWOWOW本社にて、トークイベント付き特別試写会が行われ、伊藤淳史、夏木マリ、藤井道人監督が登壇した。
妻子と別居1年目を迎える銀行マン・森田克博役の伊藤は、「森田克博は特別な人間という感覚がなくて、よくいる普通の青年という印象。家族のために人生計画を立てたりしているので、問題ある男なのか?という思いがあった」というも、「目に見えているものを大切にし過ぎて、家族との触れ合いなど目に見えない大切なものが欠けてしまった」と役柄分析。自身も一児の父親だけに、「同じ父親という立場から、家族との目に見えない絆なども大切にしていかなければと気付かされた」とシミジミと語った。
続いて、銀行の担当者を困らせることから“厄介なおばあさん”と呼ばれながらも、克博の人生の指南役となる近藤波子役の夏木は、本作がWOWOWドラマ初出演。もともとWOWOWドラマのファンだそうで「台本をもらったときに、WOWOWらしくない本だと新鮮に感じた。WOWOWといえばドキドキするドラマが多いけれど、今作は心がキュンとするような家族の話。WOWOWデビューとして新鮮」と喜んだ。
伊藤と夏木は意外なことに初共演。伊藤が「大先輩なので怖いのかな?と思った」と印象を口にすると、すかさず夏木が「いやいや!キャリア的には(伊藤の方が)先輩!伊藤さんは昔からテレビで拝見していたので、どのようなお芝居をするのかファン心理で見ていました。まさに現実にいそうな銀行員を素晴らしい演技力で演じていた」と子役デビューの伊藤をリスペクト。それに「超幸せ!早く帰ってお酒を飲みたい!」と大喜びの伊藤は、「夏木さんは先輩感もなく、気さくでフレンドリー。朝いちばんの撮影でも明るく、現場にエネルギーを注いでくれた。自分もこういう人になりたいと思わされた」と返礼していた。
伊藤演じた森田克博は虫嫌いという設定だが、伊藤、夏木、藤井監督も実は虫嫌い。伊藤は「バッタ、コオロギなど…撮影は本当に過酷。虫を掴むシーンは本当に持たなければいけないのか!?とソワソワ」と苦笑いで、夏木も「私はカマキリとかグリーンなものがダメ。でも役の設定として虫に馴染んでいなければいけないので大変でした。台本をもらったときに『私、虫はダメよ!』と伝えたくらい」と告白。藤井監督も「お二人が虫に驚くシーンで僕自身も一緒に驚いた」と打ち明けると、伊藤は「虫嫌いたちが虫を克服するドラマを作る、というのも凄い!」と笑わせた。
また、「家族とは何か?」と問われた伊藤は、「身をもって感じるのは、当たり前にいるというのが意外と奇跡ということ。普通に生活できているという、当たり前のことがありがたい。仕事で忙しくて会えないときも、子供の寝顔を見るだけで疲れが吹き飛んだりする。子供は休みの時も僕に“父親”という仕事を与えてくれる存在」と実感を込めて「娘には毎日『大好き!』と言っています。娘も『大好き!』と返してくれるけれど、それもいつまで言ってくれるのか…」と優しいパパの顔つきになっていた。
ドラマには、これから挑戦したいことが書かれたビギニングノートが登場するが、藤井監督は「病弱で体調をよく崩すので、健康になりたい。スポーツをやったり、食生活を改善していきたい」と自身のビギニングノートに記す予定。夏木は「2019年は一日一回は必ず笑うことを心掛けたい。笑顔は素敵。それも健康にいい」と力説。伊藤は「虫が苦手で自然以上に人工物が好き。でも今回の山梨での撮影を通して、それも少し変わった。子供のために自分から虫や植物などに触れられるようになったので、まずは人に勧められたグランピングから始めたい」と誓いを立てていた。
最後に、藤井監督は「この撮影を通して、西岡徳馬さんがトマトを食べられるようになりました。そういう姿を見ると、作品作りっていいなぁと改めて感じる。それを見られた瞬間も幸せ。このドラマを通して、沢山の人に幸せを味わってほしい」とメッセージ。夏木は「私はどこの場面も一枚の美しい絵のように撮る藤井監督の大ファン。WOWOWとは思えないベーシックなドラマとしての新鮮さを楽しんで」とアピール。伊藤も「最近は人と会わずしてもやり取りができる便利な世の中になっているけれど、家族や信頼する友人に対して、大切に思っているということを口にしないことも多くなっている。このドラマを通して大切な人やその存在を感じてほしい」と思いを込めた。
「ドラマW 今日、帰ります。」
3月10日(日)夜10時、WOWOWプライムにて放送
監督・脚本協力:藤井道人
脚本:圓岡由紀恵
音楽:岩本裕司
出演:伊藤淳史 木南晴夏 小林未来 河野うさぎ 笠松将 戸田昌宏 西岡德馬 夏木マリ
【ストーリー】 安定した収入、安定した生活…。東京の銀行で働く森田克博(伊藤淳史)は、家族のために毎日黙々と仕事に励んでいた。しかしある日突然、妻の千佳(木南晴夏)が息子を連れて家を出て、山梨にある千佳の実家へと帰ってしまう。それから別居生活一年。克博は山梨の家に月一回通っていたが、千佳からは「山梨で一緒に暮らしてほしい」と言われて困惑する。そんな中、克博は、毎日何回も連絡してきては担当者を困らせることで有名な“厄介なおばあさん”、近藤波子(夏木マリ)の担当に。克博の身の上を知った波子は、「離婚一歩手前だ」と克博にキツい言葉を浴びせるが、週末だけでも山梨で義父の田端恒三(西岡德馬)が営む農業を手伝うよう提案。さらに“エンディングノート”ならぬ“ビギニングノート”を克博に手渡す。ノートには、克博が“家族と一緒に暮らすためにやるべきこと”が書かれており、克博は半信半疑ながらも課題を一つずつクリアしていく。