ナチスに弾圧され奪われた美術品と、それに関わる人々の運命に迫る名画ミステリー『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』が4月19日より公開される。このほど、本作の予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
1933年から45年にかけて、ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、戦後70年以上経った今でも10万点が行方不明と言われている。本作では、欧米で活躍する歴史家や美術研究家を始め、略奪された美術品の相続人や奪還運動に携わる関係者の証言をもとに、ヒトラーの思想の背景と略奪された美術品が辿った闇の美術史に迫る。
ナチス・ドイツはふたつの手段で芸術を支配した。ひとつはピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、シャガール、クレーらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押しそれらを貶め、一方で、純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。同時に、青年時代に画家志望だったヒトラーは、故郷近くのリンツに“総統美術館”を建設する野望を抱き、右腕的存在のゲーリング国家元帥や息のかかった画商を通じて、ユダヤ人富裕層が所有する古典美術の名品を次々と没収した。オランダ、フランスなど周辺国を占領するとその勢いと大胆さは加速し、かのルーブル美術館やパリ在住のユダヤ人美術収集家から、問答無用で憧れの名品や価値ある退廃美術の略奪を繰り返した。
ナチス・ドイツによる美術史上最悪の略奪と、今なお続く美術品の奪還を巡る相続人たちの粘り強い戦いを案内するのは、『グレート・ビューティ/追憶のローマ』(2014)や『修道士は沈黙する』(2018)など、イタリア映画界が誇る名優トニ・セルヴィッロ。字幕監修は、大ベストセラー「怖い絵」シリーズ著者で、68万人を動員した「怖い絵展」監修も務めた作家・独文学者の中野京子が担当する。中野は本作について「数々の名画が映し出すのは、美術と恐怖の物語」と語る。
ポスタービジュアルにはゴッホ、フェルメール、ブリューゲル、ロートレックなど、日本でもよく知られる名画の数々を背景に、ヒトラーを模した人物が不気味に配されている。
『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』
4月19日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
監督:クラウディオ・ポリ
原案:ディディ・ニョッキ
出演:トニ・セルヴィッロ
配給:クロックワークス アルバトロス・フィルム
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