MC：ありがとうございます。東出さん、そして監督、柴崎さんからのコメントを聞いていかがですか？

濱口：ありがとうございます。始まりとして、本当におもしろい、本当に素晴らしい小説があって、その原作を読んだ時から映画化したいと思っていた小説で、こうやって初日に柴崎さんに檀に上がっていただいて一緒に並べるというのは本当に嬉しいことだなと思います。ありがとうございます。

柴崎：ありがとうございます。

東出：今監督がおっしゃった通りで、本当に感謝の念しかないです。この作品を生んでくださってありがとうございます。実は、ネタバレというか、柴崎さんはこの劇中にちょっと参加していて。「んなわけあるかい！」の岡崎、あの焼肉屋の裏で食事をしているという、後ろ姿。

柴崎：はい。実はちょっと後ろの方に映っているんですよね。

濱口：結構映っているんですけどね。ちゃんと映っているんです。ピントがちょっとずれてはいますが、かなりちゃんと映っています。

柴崎：はい。よく見たら結構ちゃんと映っているんですよね。撮影にも何回が伺って、本当に楽しかったです。

MC：どうでした？東出さんやキャストの演技を間近で見ていたわけじゃないですか。

柴崎：見ている間はとても不思議な感覚で、もともとは自分の中で生まれてきた登場人物たちが目の前で実在していてしゃべっているというのは、見ている時は不思議な気分でしたね。でも完成した映画を初めて観た時に、「あ、こういう映画になったのか」と、（現場に）見に行っていてもどういうふうな映画になるのかっていうのは想像つかなかったので、出来上がった時に、こういう映画になってこの世界があると、それぞれの人たちが本当に生きているように感じられて、とても嬉しかったです。

東出：ありがとうございます。

MC：どうもありがとうございました。それでは、舞台挨拶が最後になるので、代表して主演の東出昌大さん、ご来場の皆さんにメッセージをお願いいたします。

東出：登場人物たちの行動には賛否があると思います。その賛否が僕は大変嬉しく思います。起承転結がはっきりしていて、困難を乗り越えて必ず幸せになる二人という、すごいわかりやすいという映画ではないと思います。ラブストーリーといっても難解な要素も含まれている映画になっていると思います。ただ、この映画の根底に流れ続けている“愛しさ”、“慈しみ”みたいな気持ちには嘘はないですし、現場で起きた本当に素晴らしい奇跡の連続がこの映画になったと思うので、皆様、この余韻を噛みしめながら、またこの映画のことを帰り道に考えていただけると幸いです。今後とも『寝ても覚めても』、応援のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

MC：ありがとうございました。以上をもちまして、『寝ても覚めても』初日舞台挨拶を終了いたします。皆様、どうもありがとうございました！

『寝ても覚めても』
9月1日（土）よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中
監督：濱口竜介
原作：柴崎友香「寝ても覚めても」（河出書房新社刊）
音楽：tofubeats
主題歌：tofubeats「River」（unBORDE／ワーナーミュージック・ジャパン）
出演：東出昌大　唐田えりか　瀬戸康史　山下リオ　伊藤沙莉　渡辺大知　仲本工事　田中美佐子
配給：ビターズ・エンド、エレファントハウス

【ストーリー】　東京。カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先の会社で亮平と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に戸惑いながらも朝子は惹かれていき、ふたりは仲を深めていく。しかし、朝子には亮平には告げていない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦（バク）に顔がそっくりだったのだー。

©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS