MC:どうもありがとうございました。初日も満席状態でおめでとうございます!私も最初にこの作品を知ったのが、5月のカンヌ国際映画祭のコンペティションで大絶賛を受けていたということからスタートしているんですよね。名だたる映画人の人たちが審査員にいたという状況で素晴らしい称賛を浴びたと聞いているんですけれども、その時の印象も伺いたいと思います。まずは東出さんから、カンヌのジャーナリストの皆さんからの感想というのが非常におもしろかったと聞いたんですけれども。
東出:そうですね。フランス人のジャーナリストの方が、お国柄というか文化の違いなのか、婚約者に…もちろんご覧いただいたからあれだと思うんですけれども、婚約中の状態になっている女性がとある行動をとって、「男はあんなに怒るのか?」みたいな。「フランスだったら別にあれぐらいで怒んないだろ」って。いやいやいや!っていう(笑)。そのお国柄の違いはありました(笑)。あと、お国柄って一言で言うのもあれなんですけれども、それがおもしろかったのと、「この映画はホラーなのか?」っていう。それで監督が「たしかに愛というのは一種の狂気だから、その狂気性が描かれていてホラーのように映ったのなら、それはそれでもちろん光栄です」とおっしゃっていて。あぁ、素晴らしいことをおっしゃるなぁと横で聞いていました。
MC:新しいジャンルがプラスされるほどの話題だったということですよね、監督。
濱口:そうですね。ラブホラー的なものが生まれたと(笑)。あとは「ゴーストストーリーなのか?」と言われたりとか、そう見えるのかっていうのはいろいろ驚きましたけれども。
MC:そうなんですね。この『寝ても覚めても』は、観た人たちみんなが今までの自分の恋愛、過去の恋愛を思い出すとか、そういうコメントがすごく多くて、ある意味、非常に自分に共感しやすいテーマだったんだなと私は思うんですけれども、そこは男性陣の皆様はどういうふうにお考えなのか、まずは監督から聞いてみたいと思います。
濱口:今日は両親が来ているんです。
キャスト:おぉー!!
濱口:そんな、両親の前で恋愛観を語れというのは…(笑)。でも原作が素晴らしいんですよね。原作の朝子の行動、賛否両論はもちろんあると思うんですけども、僕は原作を読んでいて、すがすがしい思いがするというか、人を愛しているという確信があるとき、このような行動というのは当然生まれるものなんじゃないかという、そういう説得力が原作にはあったので。原作から愛を教わり、そしてこんな映画を作ってみたということなので(笑)。(MCとキャストを見ながら)それがどういうふうに広がっていくのか…。
瀬戸:(濱口監督の両親がいるから)ちゃんと前見て!前!
(会場爆笑)
濱口:楽しみにしています!(笑)。ありがとうございます。
MC:原作から愛を教わったと監督はおしゃっていますけど、渡辺大知さんはいかがでしょうか?
渡辺:今回、顔が同じだということで、そんな恋愛はしたことはないんですけど(笑)、同じ顔の人と出会うということはないんですけど、その感覚ってすごくあるというか、自分の幻影のような、自分の好きという気持ちを投影した幻影のようなものを追っている感覚というものは日頃あるなぁと思うんですよね。顔じゃなくても、何かこの人のこの感じが忘れられないみたいな、匂いだったりとか、そういうものを知らず知らず追っているようなところが男はあるんじゃないかなぁと思いまして…。あとは何でしょうね、照れくさいですね。お母さんは僕、来てないんですけど(笑)。
(会場爆笑)
渡辺:恋愛観って照れくさいですね(笑)。でも、すごく今回は考えさせられる映画だなぁと思いました。
MC:ちなみに渡辺大知さんは忘れられない恋愛はあったりするんですか?
東出:突っ込みますね!(笑)。
渡辺:僕のファンですか?(笑)。
MC:ある意味ファンです(笑)。
渡辺:あの…ありますねぇ。でも、誰でしたっけ?最近携帯で流れてきて、寺山修司の詩がありまして、「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」というのを見まして。忘れられないとか言ってたらだめだなと思いましたね。
東出:お疲れ様です!
渡辺:お疲れ様です!(笑)。
(会場爆笑)
MC:そういうこともあったというね。ありがとうございます。では瀬戸康史さんはいかがでしょうか?
瀬戸:難しいですね…。僕は朝ちゃんの行動は、理解はできなかったんですよ。だからこそ、過去の自分の恋愛から共通点みたいなところを探して思い出す、みたいなことなのかなぁとは思いますけど。でも、いくら過去を振り返ってもなかなかなくて、そこはすごくもどかしかったというか、悔しかったというか。でも、今は理性で抑えられちゃう世の中で、ああやって本能の赴くまま突き進むって、今の時代、大切なのかなぁと思ったりはしますね。
MC:瀬戸さんは失恋したことがないんじゃないですか?
瀬戸:いやいやいや…(笑)。
MC:そう思いますよね?皆さん。
瀬戸:ありますよ!それこそ、初めてお付き合いした彼女。中学2年生から高校1年生まで。その彼女はですね、本能の赴くままに行動した結果、僕は振られまして。その日に壁を叩いて、「神様~!」って言ってたので(笑)。「なぜこんな仕打ちを~!」って言って叩いた経験はありますね。
MC:それは朝子の気持ちには共感できなくなりますね。
瀬戸:そう。やっぱ怖いですよ。ピュアって怖いですねぇ、でもね。…お疲れ様です!
東出:お疲れ様です!(笑)。