安田:木野先輩のことを僕は不器用だなんて言えないですけれども、かといって僕のことを初対面で不器用だなんて(笑)。もうわかっているんでしょうね!「あたしたちみたいな不器用な人間はさぁ、やっぱさぁ、追い込まないとさぁ!」っていう(笑)。
木野:不器用じゃないの!?
安田:不器用ですよ!!
(会場爆笑)
安田:初日でいきなりもう見抜かれたっていう、さすがだなぁ!って思って。
木野:私は(安田の)舞台は拝見しているので、大好きなんですよ。その不器用さ加減とか、愛すべき不器用さがあって、でも妙なところが器用だなぁというか(笑)。
安田:妙なところが器用(笑)。
木野:すごく魅力的な役者さんだなって前から思っていて、だからすごく楽しみだったんですけど、もう結構役に入り込んでいて。私、一緒の絡みの場面がそんなになかったんですよね。たまに会うと相当に大変なシーンを今演じているんだなぁと思って。ぺちゃくちゃ話しかけてごめんね(笑)。
安田:とんでもないです!僕、すごい嬉しかったのが、大先輩じゃないですか、その方と一緒にロケバスに乗っている時に、ぼーっとしているんですよ、スッと振り向いて、ロケで何日か経った時に、「一本通ったでしょ?」とおっしゃって。「一本通ったでしょ?」って木野さんがおっしゃったんです。「はい!」って。「何でわかるんだろう?」って思うよね。いきなり「あたしたちみたいな不器用な人間はさぁ」って…たしかに通ったなって時があって、別に画で見てないですよ、「一本通った顔してる」って。すごい…。(木野に対して)そんなこと言ったっけって(笑)。
木野:もう忘れてますねぇ(笑)。
安田:そうですね、じゃあ僕の空耳かもしれないです(笑)。
(会場爆笑)
MC:母と息子のような会話ですね(笑)。
安田:こんな明るい母と息子でいたかったなぁ!ははは!(笑)。
MC:ナッツさんはそんな岩男のことをチャーミングにかわいらしく愛しているというのがすごく魅力的だったんですけれども、安田顕さんを愛するという役柄はどうでしたか?
ナッツ:岩男ですか?それとも、安田さんですか?(笑)。岩男はミステリアスで無口なキャラクターです。大抵多くの女性は、ミステリアスなタイプの男性に惹かれますが、岩男はそんなキャラクターです。
MC:安田さんはどうですか?
ナッツ:安田さんは岩男に似ています。とても静か!(笑)。
(会場爆笑)
ナッツ:でも、とてもプロフェッショナルな俳優で、常に現場で撮影に備えていますし…とてもミステリアス。(日本語で)かっこいい!ジェントルマン!
MC:(安田に対して)ニコニコしていらっしゃいますが(笑)。そんな安田顕さん、出来上がった作品をご覧になって、どんな感想をお持ちになりましたか?
安田:最初の試写が観られなくて、木野さんと同じタイミングで拝見したんですけれども、なんだろう(笑)、ゴツンと鈍器で殴られたような感覚があって、「うわ、席立てねぇってこういうことか」と。立ち上がって後ろの木野さんの顔を見たら、「疲れたぁ~」って顔をしていて(笑)。言葉にならないというか、その後、吉田恵輔監督とプロデューサーさんとお会いした時に、田中要次さんもいらっしゃっていて…何だこれはというものがあったんですけど、とにかく観た時に疲れて、それは130分という尺だけじゃなくて、畳みかけられたもの、突きつけられたものだったのかなと思います。「…とりあえず、何か言わなきゃ」って時に、「番宣頑張ります」って(笑)。それぐらい、すごい衝撃がありました。
MC:安田顕さんにとっても特別な作品になったんじゃないかと私は勝手に思いました。
安田:そうですね!作品自体を拝見した時に、そういう衝撃を受けるものがはっきりとあったのでよかったなぁと。今、このタイミングで40代でよかったなぁと本当に思いました。たぶん違う人がやっていたらものすごい嫉妬したと思います。それぐらい吉田恵輔監督に脱帽しましたし、夏のロケが終わった時に、帰って奥さんに「どうだった?」って言われた時に、「うーん、代表作かも!」って言ったかなぁ…覚えはあります。でもそればっかりはこれから次第っていうのもあるけど(笑)、はっきりと自分の中に、自分の今がいるという毎日の中に楔を打ってくださった作品だと思います。