MC:間違いなく美しい景色になると思います。ありがとうございます。最後にキャストの皆さんを代表して、ジュリエットさん、永瀬さん、河瀬監督からひと言ずつご挨拶をお願いします。まず、永瀬さんからお願いします。
永瀬:僕はこの河瀬監督が作られた映画の時間の中、ジャンヌを愛して、アキを愛して、鈴を愛して、犬のコウを愛して、たくさんの愛がこの映画に詰まっています。今日観ていただいた方はこの映画を観ていただいた後、愛しい人、会いたい人に会って、思い浮かんで、その愛情をもう一回この劇場に持ってきてもらえればと思います。本日はありがとうございましうた。
MC:ありがとうございます。ジュリエット・ビノシュさん、お願いします。
ビノシュ:この『Vision』という作品ですけれども、おそらく皆んな誰もがいつかなにか自分の中の暗闇であるとか、影の部分というのを、明るくしたい、ポジティブにしたいなと思ってらっしゃると思うんですね。そのためにはやっぱり自分と向き合わなければならないし、その苦しい部分と向き合わなければならない。そうすることによって自分たちがまた成長できるし、変わることができる。そういう意味では、これは大きなひとつの神話のような形で、ビジョンという作品は可能性に関するシンボルじゃないかなと思います。映画にはその力があると思います。
MC:ありがとうございます。それでは最後に河瀬監督、お願いします。
河瀬:はい、6月8日公開ということで、是枝さんの『万引き家族』と同日公開です(笑)。1980年代後半から90年代に日本の映画を作り続けてきて、なにかいつも並走しているような形で映画を撮り続けて、同じ日に公開というのは初めてで。しかも是枝さんは今年、パルムドールを受賞されて。描かれている世界が、日本の社会の見えない部分のことを描かれていて。私も拝見させていただきましたけど、この時代、この世界、私達はこの先の一歩をどう踏み出して行くべきなのか分からない。そのことに対して深く深く考察されているような素晴らしい映画だと思うのですが、私達の『Vision』という作品も今の現代社会からしてみれば、吉野の山の森の深い場所に人が訪れることは、もうほとんどありません。森がそこに築いている時間というものをほとんどの人が知らない。その森にジャンヌはフランスから分け入って来ました。去年のカンヌで、ジュリエット・ビノシュさんは、パルムドールのプレゼンテーターとして現れて、私は永瀬くんと一緒にあの席にいて、ジュリエットが言った言葉を覚えています。「映画は光だ」その光という言葉をすべての言語で彼女は世界中に発信したんです。映画は光。光がなければ私達は存在しない。見ることもできない。色も分からない。その原点に立ち返って、この10作目『Vision』を作り上げました。世界を代表するジュリエット・ビノシュさんをはじめ、日本を代表する素晴らしき俳優陣。そのコラボレーションが、日本の吉野の誰も足を踏み入れない、あの場所で繰り広げられているこの作品。今日、全国で観られている皆さん。今日、ここで観られているほとんどの岩田さんのファンの皆さん(笑)
岩田:そんなことありませんよ(笑)。
河瀬:そんなこと、ありますよ(笑)。ぜひ、その思いをまだ見ぬ世界に、その思いを私達と一歩踏み出して、『万引き家族』も観に行ってください(笑)。そして『Vision』も観に行っていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
MC:ありがとうございます。
『Vision』
6月8日(金)全国ロードショー
監督・脚本:河瀨直美
エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO
プロデューサー:マリアン・スロット 宮崎聡 河瀨直美
出演:ジュリエット・ビノシュ 永瀬正敏 岩田剛典 美波 森山未來 田中泯 夏木マリ
配給:LDH PICTURES
【ストーリー】 世界中を旅しながら紀行文エッセイを執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌ。アシスタントの花と共にとあるリサーチのため奈良の吉野を訪れる。杉の木立が連立する山間で生活をしている山守の男・智(とも)は、ジャンヌが山に入ってくるという老女アキからの予言通り、ジャンヌと出会い、文化の壁を超え、次第に心を通わせていく。智と同様、山守の鈴(りん)、猟師である岳(がく)、源(げん)もまた、山に生き、山を守る。それぞれの運命は思いもよらぬ形で交錯していく…。ジャンヌはなぜ自然豊かな神秘の地を訪れたのか。山とともに生きる智が見た未来とは―。
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