【全起こし】河瀨直美「全く違う岩田くんが観られます」岩田剛典「同じくそう思います(笑)」映画『Vision』公開記念イベントレポート 全文掲載

MC:ありがとうございます。のちほどじっくりお話いただければと思います。そして美波さん。ビノシュさんとは通訳という役柄で、劇中でもそうですし、それ以外のところでもお話する機会はたくさんあったかと思うんですけど、どのようなお話をされていたんでしょか?

美波:ジュリエットさんの前で言うのは辛いんだけど、おこがましいんだけど、今回現場にはいる時に、彼女の役作りとか、役者のスタイルを徹底的に盗もうと思って来たんですね、ただそれを全然越えて、自分の役以上に日本のことを、日本の神道のこと、古事記のこと、空海のことを徹底的に勉強されてこられて、たくさん聞かれても私が答えられないので、日本人なのに答えられないなんて恥ずかしいと思うくらい、ものすごく深く土地のことを知ろうとしていて。ジュリエットさんは役者としてなのか、人間として興味があったのか分からないんですけど、自分の想像よりはるか深くに日本というものを知ろうとするパッションを感じました。お寺の宿坊という形でずっと滞在していたんですけど、たぶん合計で四回ぐらい瞑想されているんですよ。お経の後ろで。違う文化を深く理解しようと、最終的に日本の文化とフランスの文化が溶け込んでいく過程がゾクゾクしましたね。

河瀬:私が現場で印象的だったジュリエットの話しなんですけど、一流というのはどういうことか。努力していると言ってました。

MC:ジュリエットさんがおっしゃられていた「お勉強」も努力のひとつだと思うんですが、どのようなお気持ちで日本のことについてたくさんお勉強なさったんですか?

ビノシュ:私の人生の中でとても大切にしているのは、シェアをするということなんですね。シェアするということは、私の知らない文化、どう人々が生きているのか、どういったことを考えているのか。それを私がシェアしたいという思いがあるんです。そして私がそれを誰と一緒にシェアするのかということも、とても大切なことです。ですから、今回映画の撮影を通して、日本という国を深く知ることができて、なんて特権的なことなんだろうと。そしてとても温かさに包まれていました。本当に忘れられないことです。シェアをできた場所でもありましたし、すごく幸せなことでしたし、先ほどから涙の話をされてますけど、あれは幸せから流れた涙なんです。

MC:ありがとうございます。今回もですね、フランスから駆けつけてくれましたジュリエット・ビノシュさんに、キャストの皆さん、そしてスタッフを代表して永瀬さんからサプライズのプレゼントをお渡しいただきたいと思うのですが。

※『Vision』というタイトルが描かれた和傘がプレゼントされる。

ビノシュ:ありがとう(笑)。(全員とハグする)

河瀬:ここに到着したのがギリギリなんで、会場でハグしております。

永瀬:劇中でご覧になった方は分かると思うんですけど、夏木さん演じられたアキが、晴れているのに「雨が降る」みたいなセリフがあるんですけど、本当に監督が脚本を書かれていて。本当に降ったんですね。雨を降らしたわけじゃなくて。監督はちょっとそういうところがあるんですよね(笑)。その雨が、のちのちVisionになる。彼女が来るということで、そいうこともあって皆んなで和傘をプレゼントすることにしまして。

MC:ビノシュさん、和傘は初めて手にされましたか?

ビノシュ:スゴク、アリガトウゴザイマス(笑)。恐らく世界でひとつの和傘をパリでさす勇気があるかなと思いながら(笑)、やってみようかな(笑)。お気持ちが嬉しいです、ありがとうございます。