MC:ありがとうございます。美波さん、お願いいたします。
美波:ボンジュール。美波です。梅雨が始まりました。深い深い森の中に皆さんも迷い込んだのではないでしょうか?私は今日、ここに来れて本当に本当に嬉しいです。また皆さんとこうして会えて、たくさんの人に観てもらえて、日本全体がこの吉野の森に包まれて素敵な現象が起こるんじゃないかなと期待してます。今日はよろしくお願いします。
MC:ありがとうございます。河瀬監督、お願いします。
河瀬:はい、私の作品では初めてですが、この舞台の映像が130館の映画館と結ばれてライブビューイングされているということで、全国の皆さん!今日は『Vision』の上映に立ち会っていただきまして、ありがとうございます!本当は、私たち一人ひとりが全国130館に出向いて、ご挨拶をしたいんですけど、このような形で申し訳ございません。でも、思いは皆んなと一緒にいます。この深い森の中で、人々の出会い。本当の絆、そういったものを皆さんに届けたくて来ました。よろしくお願いします。
MC:ありがとうございます。昨日からいよいよ公開となりしました。昨日は関西で舞台挨拶に行かれていたということなんですが、反響と感想など届いていますでしょうか?
河瀬:そうですね、平日だったんですけど、ご当地ならではで、たくさんの方に足を運んでいただいて、この映画の誕生を一緒に祝っていただきました。大阪含めて、京都など4カ所をまわらせていただいたんですけど、どこの場所でも、特に映画を観終わった後の人たちが、私たちと一体となってくれて。ジャンヌが近鉄電車に乗ってトンネルを越えて吉野にやってくるシーンで、シナリオには涙を流すとは書いてなかったんです。なかったのに、ジュリエットはジャンヌとして、あのトンネルを抜けた瞬間に、涙を流した。そのことの意味を皆んなで共有しあって、とても心が震えるような気持ちになりました。彼女は、本当に日本の文化を、森の奥にある日本の文化を愛してくれていて、自分自身も抱えた傷というものを、そこでどうにか扉を開きたいと思っていて、智に出会ったり、鈴に出会ったり、花に出会ったり、そしてアキに出会ったりして、やっと会えたなという感じで、皆んながひとつひとつ絆を結んでいく。そういう共有を皆んなですることができて、感動しました。
MC:ありがとうございます。フランスからジュリエット・ビノシュさんが来日してくださって。昨日は関西で舞台挨拶だったそうですが、皆さんの反応はいかがでしたか?
ビノシュ:本当に素晴らしい体験をさせていただきました。いつも私が日本に来ると、東京、大阪、京都という都会が多いのですが、今回は日本の奥深い吉野という森に招待される形で入っていくことができました。そこで私は本当に大切なものをシェアしたんですね。詩人だと感じている河瀬監督を初め、私の俳優仲間の人たち、そしてスタッフと地元の人たちと、皆んなでシェアして喜びを体験しました。だから、あの時の涙はシェアできたことの嬉しい涙だったのかもしれません。