【全起こし】福山雅治「コンマ何秒かの一枚一枚の画を美しく撮って積み重ねていく」ジョン・ウー アクション美の神髄を知る『マンハント』ジャパンプレミア 舞台挨拶 全文掲載

MC:ありがとうございます。桜庭ななみさんは中国語が堪能でいらっしゃって。

桜庭:勉強しています。

MC:今回のジョン・ウー監督の現場、さらには福山さんの相棒役はいかがでしたか?

桜庭:まず、ジョン・ウー監督の作品に出演できたことがすごく嬉しくて、監督は現場ですごくあたたかくて、現場を見守るような、監督のおかげですごく明るい現場になったんじゃないかなと思います。そして、福山さんとのシーンはたくさんあったんですけれども、今回は私が何度も何度も失敗してしまって。でも福山さんがそれをカバーしてくださって、控え室に来てくださって「失敗しても気にしないで。どんどん失敗して。思い切りやったら大丈夫だから!」って言ってくださって、もうその言葉ですごく救われました。ありがとうございます。

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MC:福山さん、そんな撮影秘話があったんですか?

福山:ななみちゃんが失敗してくれたら俺も失敗しやすくなるから(笑)。

桜庭:でも、福山さんは全然失敗しないんです(笑)。

福山:すごく誠実にお芝居される方なので、すごかったですよ。感情表現で涙を流さなければならないシーンもあるんですけれど、カッ!と集中してその瞬間に入り込んで、すごいなぁと感動しました。

桜庭:ありがとうございます。

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MC:そして、TAOさんはハリウッドの映画にも出演していらっしゃいますが、今回のジョン・ウー監督の現場はいかがでしたか?

TAO:ハリウッドでも大先輩のジョン・ウー監督なので、あんまりアジアの映画だからとか、ハリウッドの映画だからという差は感じずにすごく臨場感があって、皆さんの緊張感が高まっている現場でした。監督は本当にジェントルマンで、役者さんとの距離をリスペクトされているなという印象があったんですけど、私もちょっとだけ、皆さんと比べてほんとにちょっとだけアクションシーンがあったんですけど、そのときは監督が自らこういうふうにやって、ああいうふうにやってと見せてくださって、静かな熱を感じてすごく素敵な人だなと思って。池内さんもさっきおっしゃっていましたけど、その1日の終わりに握手してくださって、「本当に素晴らしい演技をありがとう」なんて言ってくださって、「明日も頑張ろう」と毎日励まされて楽しくやりましたね。

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MC:福山さん、ジョン・ウー監督のアクションといえば、二丁拳銃だったりアクロバティックな銃撃戦だったり、あとは白い鳩だったりとか、本作でもそういうシーンがありますが、実際の撮影現場はどうだったんでしょうか?

福山:今登壇されている皆さんのコメントを聞いてもわかる通り、監督は本当に穏やかなんですよ。

MC:怒ったり、「だめだ!」という感じはないんですね。

福山:ないですね。基本的に「どうぞ。皆さん、やってみてください」と言って、俳優部のお芝居をまず見てくださって、「僕はいいと思います。皆さん、それでよければやりましょう」という監督なんです。役者が現場で何かクリエイティブにしたいと思っていることに対して理解をいつも持ってくださっていて、まず「どうぞ、ご自身がやってみてください」という空気を作ってくださるんですよ。そういう監督の撮影現場における佇まいに、もちろん我々も最初から監督のファンであることは間違いないんですけど、実際に監督の映画作り、もの作りの現場にいると、ジョン・ウーさんの求めていらっしゃる画作りやお芝居に、さっき倉田さんがおっしゃっていましたけど、「自分ができることは全力でやっていこう、全力以上でやっていこう」というふうにどんどんどんどんさせてくださるんですよね。それは俳優部、カメラ、照明、セット、全ての美術部も含めてスタッフ全員がそうだと思うんですけど、そういう求心力がすごくあって、みんなが「監督のために」と言って、言葉もスタッフも俳優部も国が違ったりするんですけど、映画という共通言語、ジョン・ウーさんという共通言語で一つになっていた現場でした。こう穏やかな感じなので、アクションシーンって熱と力が入りすぎちゃって結構危ないことってやっぱりよくあるんですよ、どうしても。そこで監督までヒートアップしちゃったらますます現場が混乱するんだと思うんだけど、監督を中心に、静かな台風の目というか、監督が穏やかに佇んでくださっているので、アクションシーンも熱を込めながら、かつ監督が見てくださっているという安心感を持ってできるという現場だったと思います。

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MC:そしてついに今回、鳩と共演しましたね!

福山:はい!

MC:このフレーズだと変に聞こえますけど…。

福山:いやいや!あの瞬間は…。撮ったテープをチェックするんですけど、そのチェックしている画面を写メしましたもん!

(会場爆笑)

福山:「これは撮ろう!」と、「申し訳ないけど、これは撮らせていただきます!」と(笑)。

MC:斎藤さんのこと笑えないじゃないですか(笑)。

福山:いやいや、まぁ、そうなんだけど(笑)、あれは嬉しかったですねぇ。アクションということでいうと、監督はアクションを40年以上撮っていらっしゃるので、僕はすごく自信がなくて不安だったんですけれども、一つの画郭であったりとか、コンマ何秒しかないような、一発銃をバーン!と打つシーンでも10カット、15カット撮られるんですよ。それは、もちろん僕がいけてなかったという部分もあるかもしれないんですけれども、「次はこの軌道で銃を出してください」とか「この角度で顔を下向けて」「次はライトを変えてみましょう」「次はカメラのアングルを変えてみましょう」と、ものすごく一枚一枚の画を美しくずっと撮られるんですね。これが監督のアクションの美しさなのかと。多くの銃弾が飛んだり、多くの血が流れたりする場面もあるんだけれども、どこか美しさを感じさせる監督のアクションの表現というのは、このコンマ何秒かの一枚一枚の画を美しく撮っていって、それを積み重ねていくことで、監督のアクションの美しさが表現されているのだということを知ることができたのはすごくうれしかったですね。

MC:ダブル主演のチャン・ハンユーさんとの共演はいかがでしたか?

福山:チャンさんは来られなくて残念なんですけど、チャンさんってすごく力強いんですよ。まさに男って感じの、女性にこれ言ったらわかるのかなぁ…何にも訓練してないのに喧嘩が強いタイプっているんですけど、そういうタイプね。ゴツゴツしてるんです。だから、(チャンさんと劇中で)手錠で繋がれていますけど、もう痛いんですよ(笑)。たぶんチャンさんなりに手加減していらっしゃるんだと思うんだけど、地肩が強いタイプなので、結構僕はチャンさんに鍛えられましたね(笑)。

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