【全文掲載】北村匠海「真っ先に消す」中川大志が「見返すと初心に帰る写真」に異論!

MC:まず役柄について順に伺っていこうと思います。北村さんは“僕”役を演じられて、どんなことを感じていらっしゃいました?

北村:“僕”という名前の役を演じることは、おそらく3回目ぐらいなんですよ。その度に思うんですけど、すごく俯瞰的な感覚を持ってないといけないなっていうところもあり、今回、大志の演じるユウスケと、僕が演じる“僕”という2つの色に分かれていると思うんですけど、“僕”と“私”の世界がすごく抽象的でありながら、すごくグロテスクであり、そしてすごいファンタジーでありリアリティで、いろんな要素の詰まったフワフワした世界なんですけど、その中で観てくれる皆さんにどう寄り添えるか、そしてこれは自分自身でもあり、きっと清水監督でもあるんだろうなっていう瞬間がいっぱいある役だったので、現場で監督と喋りながら作っていった感じはしますね。あがり症の清水監督、汗かいてますけども(笑)。

清水:ちょっとヤバすぎるね(笑)。

北村:監督は裏で説明を受けてる時に、「あ…真っ白だ…」って言ってて(笑)。頭真っ白になってるらしいので、皆さんお手柔らかにどうぞよろしくお願いします(笑)。

MC:清水監督もご自身の欠片を“僕”には投影していたような感じですか?

清水:そういう意味で言うと、“僕”だけじゃなくて、ユウスケや“私”っていうところにも、自分が今まで生活してきた中で見つけた人だったりとか、自分自身の事っていうのを思い入れとして入れているというか。なのでどの役も大好きですね。

MC:ユウスケと“僕”はある意味、対照的な役柄でしたが中川さん、演じていっていかがでした?

中川:テレビ局で働いている男で、周りには一見すごいたくさん人がいて、女性関係も結構派手なような男なんですけども、本当の意味ですがれる人物が気づいたら周りにいないということに気づいてしまうというか。姿形は“僕”とユウスケって違う人物なんですけども、内側で抱えているものが繋がる部分があって、同じ人物を2つに分けたような、そんな僕とユウスケは違うようで同じつながる部分はたくさんあるキャラクターなのかなと思って。菜穂ちゃんとも出会って、自分と向き合っていくというそんなキャラクターですね。

MC:中川さんがこれまで演じてきた役柄とガラッと違いますよね。

中川:そうですね。でも、自問自答している時間が結構多いキャラクターだったので、意外と派手に見えて、ものすごく孤独で繊細な男だったなと思ってますね。

MC:そして菜穂を演じられた松岡さんは、この役柄に関して演じてみていかがでした?

松岡:菜穂さんは、自分の中でいろんなリミットを決めてて、本当のリミットも存在はするんだと思うんだけど、それがとっても視野が狭くなってしまっていて。だから菜穂さんみたいな言い方をしちゃう人に対して、なんでこんな言い方するんだろうって思ったことがある人も多いような役柄なんですけど、でもその彼女を今作では拒絶するんじゃなくて、彼女自身の生きてきたものとか、焦ってるものとか、本当の気持ちとかを監督がすごく大切に描いてくださったので、菜穂さんも救いたいし菜穂さんのことをちょっと分かるなっていう人たちにも温かく降り注いでほしいと思って。だから悲しい女の子ではあるんですけど、悪い子じゃないんですよね。だからこの4人のキャラクターに、自分は誰が当てはまってるかなっていうよりは、周りにいるそういう人の本当の気持ちが全部描かれてるので、この人ってこう考えてたのかもなって、ちょっと考えられる作品なのかなと思ってますけど、監督。

清水:いや、もうおっしゃる通りですね。あんまり良いこといっぱい言うと、僕が喋ることがなくなるので(笑)。

MC:古川さんは“私”を演じていかがでしたか?

古川:“私”という役は、演じながら自分のメンター的な存在になる役だったなと思っていて、というのも“僕”が書く文章に勇気をもらって、自分らしく生きる術っていうのを見つけていく役だと思うんですけれど、その自分らしさっていうのをちゃんと分かるってすごいことだなと思っていて、今ってやっぱり簡単に人と比べることもできるし、人のことを簡単に覗けてしまう時代だから、本当に自分が心を動かすものを分かっている人は強いなというふうに思っていて、そういう生き方をしようとしているのが“私”っていう存在なんじゃないかなと思っていたので、演じながら“私”のパワーをお裾分けしてもらってました。