【全文掲載】岡田准一「男同士の愛というか…、深いところを触り合っている感じ」映画『ヘルドッグス』テーマは“愛”だった!

MC:まずは岡田さん、今回の兼高はこれまで岡田さんが演じられてきた様々な役柄とは一線を画すような闇堕ちした、とてもダークなキャラでした。演じる上で気をつけたこと意識したことは、どんなことだったんですか?

岡田:ピュアすぎて、ひっくり返ってる人なんで。監督がフィルムノワールを意識されていて、モノクロの時代に男の人がとてもセクシーな映り方をする映画があるんですけど、そのジャパニーズフィルムノワールというか、皆さんが思っている所謂やくざ映画というカテゴリーではない、やくざ映画をセクシーに撮りあげるというものだったので、「セクシーさってなんだろう?」みたいなことを、ずっと考えてた記憶がありますかね。あとアクションの構築とかもやらせてもらっていたので、そういうことを監督の事務所に行って打ち合わせをさせてもらったりしながら、いろいろ勉強させてもらった感じがありますね。

MC:監督、今回の岡田さんは熱かったですね。

原田:いつも熱いですしね、今回、特に時代劇じゃないから。むしろ楽だったんじゃない?

岡田:そうですね…、楽だったかなあ…?(笑)。なんか監督との作品は、撮ってるときもずっと監督にプレゼンしながら、「あのシーンは、あのシーンは」って言って、ずっと話し合いながら作らせてもらってる感じがあるので。教えてもらいながらの感じがありますよね。監督がこういうのを見せたいというのを探しながらやっていく感じでしたね。

原田:でも今回は、共演者の健太郎もそうだし、ルカ役(最強の殺し屋)の中島亜梨沙も、訓練して、あそこまで鍛え上げたっていう鬼軍曹的な役目があったからね。

岡田:ムチャブリするんですよ。この映画もコロナで延期があったりしたんですよね。で、「ルカ役の女性をこの子にするから、鍛えといて」って言われるんですよ(笑)。「動けるようにしといて」って言われて。で、ずっと一年半ぐらい教えるのかな?その女性と戦うシーンがあるんですけど、そのためにずっと彼女は稽古したりとかしながらやってたんですよね。

MC:そして、バディを組む坂口さん。相性98%、最強狂犬コンビなりますが、坂口さんとの共演、そして実際にバディを組んでみていかがでしたか?

岡田:めちゃくちゃ素敵なんですよね。

坂口:(ニンマリ)

MC:嬉しそうだ(笑)。

岡田:否定しないですよね(笑)。めちゃくちゃ素敵だったですね。なんかピュア?バランスよく現場にいらっしゃるんですよね。役者さんのお芝居の脳とアクションをやる脳ってバラバラなんですけど、お芝居は本当にわがままにやったほうがめちゃくちゃ良くて、周りのこと考えないでわがままにやったほうが良くて。でもアクションってわがままにやると怪我をさせたり、自分が怪我したり。画の効果が狙えなかったりするから、結構冷静じゃなきゃいけなくて。そういうのを役者さんに言う時はすごい気にするんですよ。入りこむ方だから優しくとか、さりげなく言っていかなきゃなとか、色々あるんですけど、坂口くんは本当にバランス良く色んな方向にいけるっていう。僕もアクションをやるか、芝居をやるか、どっち脳でやるかっていうのは永遠のテーマなんですけど、それをさっと結構やられるっていうのが羨ましかったですね。すごいなあと思いながら。

MC:坂口さん、とにかく今むちゃくちゃ褒められました。

坂口:…うれしいですね(笑)。

岡田:めっちゃ噛み締めてるね(笑)。

坂口:三回目の噛み締めです(笑)。

MC:坂口さんから見て、岡田さんとのバディは今回どうだったんですか?

坂口:アクションのシーンで言うと、例えば今回って別々の行動をとる時もあったんですね。そこで僕がある人と戦っているシーンとかでも、岡田さんが全くまだ自分が出るシーンの前なんですけど、監督と一緒にモニターをチェックしながら、すぐそばにいてくれるというか。で、もちろんいろんな訓練をしてアクションができるようになりました。でも、いざカメラが入った時に、ある種ちょっとカメラが、第三者の目だったりする時があるんですけど、その時にも動きができてるけど、例えばこういうふうにやってみたら、もうちょっとキャラクターが出たりとか、個性的なことがでたりとか。それこそ室岡のちょっとした強さが一瞬でも見えたりするっていうのを、カットがかかって、その間に岡田さんが来てくれて、色々教えてくださるんですね。で、今回の作品の中でも僕は“兄貴”って慕っているんですけど、訓練をしていく中で、勝手になんとなくこのカメラが回ってないときにも、そういう関係性にいつの間にかなっていたというか。だからカットがかかって、監督のオッケーが出て、岡田さんから「今、良かったよ」って言ってもらうことにグッときてしまう自分がいたりもして、すごく心強い存在でいてくれたっていうのはすごく覚えてますね。

MC:坂口さんが岡田さんに学んだことは、どんなことがありました?

坂口:ちょっと話が重なっちゃうんですけど、第三の目じゃないですけど、その視点もそうだし。あと、アクションシーンで頭の分離がなかなかできなかったんですね。人を攻撃するシーンだったら、そんな気持ちにもなってきてしまうというか。でもアクションでそれをやってしまうと、やっぱり怪我をさせてしまったりとか、すごく冷静でいなきゃいけない。でもお芝居としての感情は高ぶらなければいけない。その乖離がとっても難しくて。でもそれをこの現場で岡田さんから言われたことで冷静になれた自分もいたりとか。そういうところは本当に学ばせてもらったなという感覚がありますね。

MC:監督から見たこの二人は、バランスは最高だったんですか。

原田:すごく良かったですね。導入部で兼高が室岡を訓練してるところありますけど、あれは現場でね。二人の雰囲気がいいから実際にやってきたことをやってみようよって、アドリブでやってもらったりとか。そういうところもすごく柔軟性を持って対応してくれてますね。

岡田:そうですね。現場でも想定していたものと、監督が現場で生まれてくるものを撮りたいっていうものと、監督って演出部分とドキュメンタリー部分の両方を狙われる方なので、空白のアクションをつけてても、空白の部分とかにされるんですよ。決めさせてくれたりとか。そういう意味では、前半も僕たちのそういう関係性みたいな部分は、初めにパルクールみたいなのをやろうよって言ってた部分は、監督から逃げられて決めさせてくれないみたいな(笑)。その中で現場で「じゃあ、これできるか?」みたいなことを試していくみたいな、多分もう転がされてっていうか、そういうのが撮りたいっていうのを決められていて、転がされていたのかなっていうのは結構ありましたけどね。

MC:続いて松岡さんに伺いますけれども、今回、刺激大好きな妖艶な女性を演じたわけですけども、演じられていかがだったでしょうか?

松岡:私も少しだけアクションシーンをやらせていただいたんですけど、その時に感じたのが、体も強くなくちゃいけないけど、心も強くなくちゃいけないなと思って。私とアクションする相手の方が、半年ぐらい夢に出てきて…、こう(襲ってくる)来る瞬間が。だから、私向いてないなと思いました(笑)。怖かったです。でも、さっきのお二人の話しを伺ってたら、そこを切り離すっていう手段もあったんだなあと。私は多分100%、今までやってきたお芝居の脳でやってしまったから夢にまで出てきてしまったんだなって。だからきっとこの後ご覧になって、あーこの人が夢に出てきてたんだって分かると思うんですけど(笑)。なので、アクションをされる俳優さんたちはみんな心もとても鍛えてらっしゃるんだろうなと、今回で感じました。

MC:ビジュアルもすごく印象的でしたが?

松岡:監督に「緑色どうですか?」って聞いたら、「いいよ、オッケー」っておっしゃって。

原田:衣装もグリーンが多くて。

松岡:そうですよね。なんとなくイメージカラーをみんなで決めた形ですね。

MC:続いてMIYAVIさん。新しいタイプのトップ像というか、カリスマ性もあって、めちゃくちゃかっこよかったです。ついて行きたくなる気持ちがわかるというか。一方、岡田さんと坂口さん演じる最強バディに守られる側でもありました。演じてみて、そしてお二人との共演もいかがだったでしょうか?

MIYAVI:そもそもやくざの親分感があんまり無いじゃないですか。なので、自分がどういった要素を持ち込めるのかって、すごく考えて臨ませてもらいました。その上で現場でも役のスイッチを切り替えられる方じゃないので、お二人は結構和気あいあいと現場でやっていたのを見て、すごいいいなと思いながら。(坂口に)普通に筋トレとかさせられてましたよね(笑)?

MC:岡田さん?筋トレさせたんですね。

岡田:いや、僕、トライストーンの人には筋トレをさせるって決めてるんですよね(笑)。「パンプアップの仕方を教えてください」みたいに言われたので、最初は腕立てしてたんですけど、「それじゃあパンプアップにならないよ」って言って、二人でパンプアップして。

坂口:やりましたね。僕の体が見えるカットがあって、その時に、強い役だし、きゃしゃだと説得力もないなって。鍛えてはいたんですけど、そのカットの直前にちょっとドンとでかくしようと、ひとりで腕立てしてたら、「それは違う」と(笑)。

MIYAVI:「それは違う」って、ずっとやらされてました(笑)。

MC:MIYAVIさんもそれを見ながら、一緒にやるみたいな?

MIYAVI:いや、俺は距離を置いてました(笑)。一応ボスなんで。岡田くんはこう見えて、俳優の皮を被った武術家ですから。

岡田:今回ね、いろいろアクションをやらせていただいて(笑)。

MIYAVI:監督から兼高と十朱のクライマックスは、すごい重要に描きたいと言われてて、そのシーンがあるんですけど、リハでは「軽くいきますんで」言われたんですけど、全然締まってましたから(笑)。

岡田:難しいですよね(笑)。難しいですよ。いいところを持っちゃうと、結構締まっちゃったりして(笑)。

MIYAVI:全然軽くないんですけどって(笑)。

岡田:気をつけます(笑)。

MC:続いて北村さん。最強コンビのボスでもあったんですが、演じてみていかがだったでしょうか?また、特に印象に残るようなお気に入りのキャラクターって誰かいたりしましたか?

北村:台本を読んで、個性豊かなキャラクターが揃ってるんですけども、僕の土岐という役は一本筋が通ってるというか、男気溢れると言うか、読んでいても同性としてかっこいいなと思える感じで、すごく気に入ってます。みんなすごいなと思いましたよね。個人的に、MIYAVIくんのキャラっていうのは、やっぱり新しくて斬新で、すごくカリスマ性というのかな?やっぱり本人の持ってるイメージというか、うん。すごく魅力的に演じてていいなあと思いましたし、もちろんこの二人のコンビもすごく熱くて、やっぱすごいなあっていうか、男性は好きな感じですよね。二人で鍛えてるって今みたいな話を聞いてて、やっぱり凄かったんだなあと。ときどき急にわけわからないLINEが来たりしたんですよ。健太郎からこんな(筋肉を強調した)ポーズの写真が、裸の写真が送られてきて、文章も何もないんですよ。きっと「筋肉ついたよ」っていうことなんでしょうけども、意味がわからないLINEが来て、ほっときましたけど(笑)。でも頑張ってんだなあと思って。そういう意味で、いろいろみんなが意見を出しながらやってるところで、全員がやっぱり素敵だったし、僕は松岡さんとのシーンがすごく多かったんですけれども、すごく良かったです。いいなあと思いながら、楽しんでやってました。

MIYAVI:北村さん、ヌルヌルでした(笑)。

北村:ヌルヌル(笑)。観ていただくとわかるんですが、ヌルヌルで。監督がやれって言うんですよね。

原田:でもビキニパンツを選んでもらったよね?

北村:僕、台本見た時に、「これ本当ですか?」と確認したんですよ(笑)。パンツなんですよ。で、赤か青かすごく悩むんですけど、正直どっちでもよかったですよ。ビキニかあと思いながら、松岡さんと初対面で会うときに僕、ビキニで。すごい恥ずかしくて。

松岡:花柄の(笑)。かなり面積の狭い。女性でも抵抗のあるサイズでした(笑)。

北村:だから映画を観ていろいろな意見があると思うけど、そこはあまり触れてほしくない。僕にだって人生があるで(笑)。

MIYAVI:しかもめっちゃNG出てたっていう(笑)。

北村:(笑)。まあ、でも本当にみんなそれぞれ素敵で、今日ここに居ない、キャストの方でも本当にかっこいい素敵な役の方がいっぱいいますし、僕は男として男の熱い魅力的な人間が集まってるっていう感じがします。

MC:では、大竹さんに伺います。今回、表の顔はマッサージ師、裏の顔は潜入者への情報伝達係という役柄で、重い過去を背負った中で信念を貫いていく女性を演じられました。役作りで意識されたことはどんなことだったんでしょうか?後、岡田さんと久々の共演なんですよね?

大竹:何10年ぶりですかね。まだ若かりしことです、私が20歳ぐらいのときで、蜷川幸雄さんのお芝居を一緒にやっていて、その時にもやっぱり二の腕が細くなる体操を教えてくれた(笑)。だから変わらないなと思うんですけども(笑)。すみません、こんなつまんない話で(笑)。あと原田組が初めてだったので、私は准一くんとしか絡まなかったんですけども、でも監督さんの集中の仕方っていうか、それは凄い久々に映画の現場にいるんだなあっていうのを感じさせられて。それがとても幸せでした。最初は分からないから、「監督さんって怖いの?」って、いつも岡田くんに聞いて「大丈夫。全然やさしいよ」って言って。時々、怖くはなるんですけど、スタッフさんとかに。でもそれは全部細かく作るっていうのがひしひし伝わって、それが心地よかったです。

MC:岡田さんも久々に大竹さんとの共演はいかがでしたか?