MC：ありがとうございます。監督、2年半をこの映画に費やされていると伺っておりますが、撮影の中で得られたことはございましたか。

李：このひと月余りに取材を受ける中でも、「ご苦労されたこと、大変だったことは？」と聞かれることが多いんですけど、もちろん撮影は過酷ですしコロナで中断もあったので大変は大変なんですけど、大変さを伝えたいというよりかは、どうして大変でも一生懸命やるのかというか、そのそのことを言えるといいなと思っていたので、この場を借りて、どうして大変でもやるのかっていうと、良い映画を作りたいっていう、本当に皆それだけだと思うので、良い映画を作ってなかなか言葉にできない、いろんな思いを観る人に届けたいっていう。それだけなので、大変だったのかどうかはこの場に立つと忘れますね。

MC：その李組で再び主演で立つことになりました広瀬すずさん。前に「マグマを吐き出すように演じた」みたいなことをおっしゃってましたけど、改めて全国公開した今のお気持ちは？

広瀬：マグマというのもずっと監督から感情が出ていくシーンの時に、「マグマみたいに吐き出して」って必ず言ってもらってから本番に挑んでいたので、それが撮りきれて初日を迎えられるということは、みんなきっと個々の自分の中にあるものを吐き出しながら完成して皆さんに届くっていうのは、作ってる最中は必死すぎて、どういうふうにを伝わるのか、どう見えているのかというよりも、更紗として生きることのほうが必死だったので、どういふうに映画が届くのかなっていう、ここ最近の中でも特別に強くドキドキと楽しみと、ちょっとした緊張感みたいなものを感じます。

MC：松坂さんも、この撮影のために体重を落とされて、ニュースにもなって、でも言えなくて（笑）。

松坂：そうですね。情報解禁前だったので、言うに言えないというか（笑）。「激ヤセで、何かあったのか！？」みたいなことは言われてましたけど、まあ、そのうち分かるだろうぐらいな感覚でいました（笑）。

MC：広瀬すずさんと一緒に挑んだ李組はいかがでしたか？

松坂：僕自身、今までにないぐらい役との向き合い方、作品との向き合い方を、じっくりと時間をかけて初めてやらせてもらえた場所でもあって、もちろん“楽しい”っていうことではないんですけど、ここまでやれるのかっていう、でも終わりがないというか。ここまでやってもまだ終わりがない感じを初めて体験したというか。だから、この仕事を続けていくうえで、とても大切なことを教えてもらったなと思っています。

MC：そして横浜流星さん、今までにない横浜流星さんの横顔を見た気がしたんですけど、役に挑むにあたって御自分の中で考えていたことはありますか？

横浜：この作品を観る方は更紗と文の目線で見るので、亮はすごく嫌な奴に見えるかもしれないんですけど、自分がちゃんと亮のよき理解者で、一番の理解者で、亮を愛して生きていこうっていう風に思ってました。あとは、更紗をまっすぐ愛すること、役作りの中でも本当に贅沢な時間を設けてくださったので、そこは本当に感謝しています。そのおかげで更紗と亮の関係が作れたので。でも、もうそんな贅沢な現場なんてないので、この作品以降は自分でそこまで持っていかなければいけないので、本当に幸せな現場だったなあというのを感じています。自分の中でも変わったことっていうのは、正直まだ分かってないんですけど、この作品以降、より作品とか役への向き合い方は強くなりました。

MC：そして多部未華子さん、今回は李組が初めてで、何か苦労されたことはありますか？

多部：短い時間の中で、それだけキャラクターを出せるかなって、すごく悩みながら現場にいたことを覚えていて。あと監督から桃李くんを「触っていろ」っ言われて（笑）。撮影のセッティング中に、ずっと触らせていただいて。

松坂：すごいですね、「触らせていただいて」って（笑）。

多部：（笑）。本当に体重を減らして減らして臨んでいたので、ウエストがゾッとするくらい細くって、本当にその日に至るまでいろんな思いで今ここに立ってるんだなという気持ちも触りながら感じて（笑）、自分は邪魔しちゃいけないというか、頑張らないといけないというか、そういう気持ちに常に思わせてくれるお人柄と体型でした（笑）。

MC：二人はこれまでも共演されてますからね（笑）。

松坂：そうですね。何度か共演させていただいたことによって、そういう信頼関係プラス、今度は違う役柄同士での繋がりもあるので、今までやってきた積み重ねが助けになったのかなと思いますね。