MC:ありがとうございます。佐藤さんは、この映画、究極のラブストーリーの中にある苦しさ、儚さ、切なさというのは、どのように表現されたのでしょうか?
佐藤:剣心は人間じゃなかったんですよ。心を持っていなくて、人を斬ることを目標に突き進むことしか知らなかった剣心が、巴という人と出会って、幸せを知るんですけど、そこで初めて人間になっていくというか。そこが悲しく美しく映ればいいかなと思ってました。
MC:巴も瞳の中で感情を表現していたのではないかと思うのですが、巴という役はどうやって作っていったのでしょうか?
有村:まず準備段階から、衣装、メイク一つにしても、皆様が練りに練って考えてくださったビジュアルがあって、その時間を共に過ごしていく準備段階の中で、監督やプロデューサーの方からいただいた言葉だったり、漫画原作、アニメの情報を自分の中で咀嚼して、準備をしていきました。現場に入ってから一つ一つのシーンを撮影するときに、監督と確かめ合いながら感情を紡いでいって。一番大きかったのは健さんが演じられた剣心がそばにいた事が、紡いでいく中で十分に自分の中で積み重ねていったという感じです。
MC:健さん、いかがですか?
佐藤:いやあ…ねえ?(笑)。本当に儚くも温かい日々でしたよ。すっごい地味な生活を送ってたんですよ。野菜を育てて。でもその生活がいかに幸せかということを教えてくれました。
MC:村上さん、北村さんは幕府側のために戦う侍を演じられました。これまでの時代劇とは侍をどのように表現されたんでしょうか。
村上:漫画だと沖田総司はそんなに出てこなくて、実写化でボリュームアップしていただいたんですけど。衣装合わせに行ったときに、原作の沖田の髪型とは違くて、これは10年間紡がれてきた『るろうに剣心』シリーズの中でも圧倒的に違う方向性のものを作るんだなと。もちろん明治という時代がファンタジーということではないんですけど、実在した人物を演じるということで、幕末が下手なキャラクター感みたいなものを許してくれないんだなと、心に刻まれて。原作とは雰囲気が違うのかなと思うんですけど、それはやっぱり実写ならではなのだと思います。
MC:北村さん、いかがでしょうか?
北村:戦いの中で勝てば官軍というか、それぞれの正義があって。僕は幕府側なんですけども、その正義を貫くという姿勢自体がかっこいいんじゃないかなと思います。
MC:江口さんはいかがでしたか?
江口:正義が時代のルールによって変わっていくという様が出ていて。新撰組というのは悲劇のヒロインというか、日本の美学といいますか、そう描かれてきたと思うんですけど、今回のこういうのは、他にないですよね? 実際に10代の農民だった男を集めて「明日から侍になっていいよ」と、「尊皇攘夷の元、国のために」ということなんだけど、刃物を持ってますからね。それが正義なのかという部分の複雑な表現はあるんですけど、そこが今までの時代劇にない表現ですかね。