【全文掲載】綾野剛、念願だった杉咲花との共演に「良い経験、またすぐ共演したい」

MC:どうもありがとうございました!それでは最後にもうひとつ伺ってみたいと思います。これから作品を観ていただく上で、ここは注目して欲しいポイントを、ぜひ教えていただければと思います。綾野さん、いかがですか?

綾野:うーん。今、吉田修一さんはいるんですかね? さっきいましたよね? …いないんですね(笑)。どこかにいますよね(笑)。隠れてるだけですよね(笑)。いや、修一さんに聞くのが一番良いような気がしたんですよね。そうですねえ。僕たちはどうしても、ある事件をモチーフにしてこの原作は出来上がって、さらにその原作を映画にしているわけです。その中で、絶対に消せない過去に真摯に向き合っていかなければいけないと。なので映画的なポイントは具体的にこのシーンのどこどこと言ってしまうと、皆さんを誘導してしまうことになりかねないと思うので、ひとつだけ。この作品の中で生きている人たちの表情を大切に紡いでいただけたら嬉しいです。表情にその瞬間の全てが映り込んでいて、瞳の奥に皆さんが感じるものを投影していただけたら幸いだなって思っています。

MC:ありがとうございました。杉咲さんは、どんなところでしょうか。

杉咲:そうですね…。

綾野:俺がこんなこと言っちゃったら言えないか(笑)。

杉咲:(笑)。でも、私が映画を観て、すごいなと撮影しているときも思ったんですけど、火が出てくるシーンはものすごく迫力があるので、私ももう一度大きいスクリーンで観たいと思いますね。

MC:お祭りのシーンもすごいですもんね。ありがとうございます。佐藤さんはいかがでしょうか?

佐藤:掛け違いたボタンというのは本来、もう一度かけ直すことができるんですよね。でもそれができずに突き進んでしまう人間たちがいるという。その愚かさを、痛い悲しみと思うか、愚かだなと思うか。それは観てくださる方々、お客様にお任せするとして。まったく関係ないことを言いますと、僕が昔子犬を拾うという回想シーンの中で出てくる子犬が、本当に名演技です。本当に、動物と子役には敵いません(笑)。それを実感させてくれるカットがあります(笑)。

MC:ありがとうございます(笑)。片岡さんはいかがでしょうか。

片岡:さっき子犬の話しがでたので、大きなワンちゃんもでてくるんですね。シェパードで、私は小さいときに噛まれたことがあるので、じつは腰が引けながらお芝居をしていたところがあるんですけど、佐藤さんが見事な手綱さばきで、わんちゃんとやり取りをしていたので、すごく私は安心してできました。犬つながりで、観てください(笑)。

MC:ありがとうございました(笑)。それでは最後に綾野剛さん、そして瀬々敬久監督から、ひとことずつメッセージをお願いいたします。

綾野:今まで映画に関わってきて、たくさんの方々に何かを伝えたり、何かを感じてもらえたらという思いで、作品を作って参りました。この楽園を初号で観たときに、新しい感情が初めて芽生えました。皆さんに託すということです。この映画は皆さんに託して、皆さんの中を通って初めて完成すると思いました。僕の中でも、出演はしていますが、自分の中で確かなものが映画から託されて自分の血を通って、自分が感じたことがやはりありました。こう観て欲しいではなく、皆さんにこの作品を託しますので、たくさんの感情や思いや寄り添いたいと思える人、ご家族だとか、たくさんの思いをこの作品に投影していただけたら本当に幸いです。今日は皆さんに会えてよかったです。心から感謝しています。また引き続き10月18日公開になりますが、またお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。

MC:ありがとうございます。最後に瀬々監督からお願いします。

瀬々:吉田修一さんの、「犯罪小説集」にすでにあったものなんですけど、限界集落での差別の問題とか、外国人差別の問題とかがこの映画の背景にあります。そんな中で犯罪が行われるんですが、一年前に撮影してました。今は国と国が敵対するような状況が蔓延しているような状況で、僕らが作っていた頃よりさらに悪いような状況になっているような気もどこかでしています。そんな中で、隣の人と手を繋ごうじゃないんですけど、そういう背景をぶち破るようなことはできないかと考えながら作ったところもあります。この映画を観て、自分の心の中の楽園というか、そういうものを感じてもらえれば、また新たな力になっていくのではないかと思っています。ぜひこの映画を感じてください。今日はどうもありがとうございました。

MC:ありがとうございました!

『楽園』
10月18日(金)全国公開
監督・脚本:瀬々敬久
原作:吉田修一「犯罪小説集」(KADOKAWA刊)
出演:綾野剛 杉咲花 村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明 佐藤浩市
配給:KADOKAWA

【ストーリー】 ある地方都市で起きた少女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士(綾野剛)と、失踪した少女の親友だった紡(杉咲花)。不幸な生い立ち、過去に受けた心の傷、それぞれの不遇に共感し合うふたり。だが、事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して、事態は急変する。一方、その場所にほど近い集落で暮らす善次郎(佐藤浩市)は、亡くした妻の忘れ形見である愛犬と穏やかな日々を過ごしていた。だが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり、孤立を深める。次第に正気は失われ、誰もが想像もつかなかった事件に発展する。2つの事件、3つの運命、その陰に隠される真実とは。“楽園”を求め、戻ることができない道を進んだ者の運命とは…。

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