【全起こし】高良健吾「多十郎が今の自分を作ってくれている」映画『多十郎殉愛記』完成記念プレミア上映会舞台挨拶レポート 全文掲載

MC:ありがとうございました。中島監督は、そういう現場の雰囲気は心がけて作り出そうとしていらしたんでしょうか?

中島:高良くん、多部ちゃん、木村さん。私にとっては孫のような年齢なんです。だからおじいちゃんと、孫がコミュニケートできるのかなと、そういう心配もしておりました。しかし、入って間もなく、入る前ですね。クランクする前から皆が立ち回りの稽古をしてくれるし、そいう中で、この年齢差というのは何かなというのが次第に分かってきて。やっぱりある意味で、映画を愛している人たちで、映画のためだったらなんでもするよと、多分、この映画というのは映画を愛する人たちが結集して作ることができたチャンバラ映画じゃないかと思います。そういう意味で、チャンバラチャンバラ言ってますけど、チャンバラだけではない、この映画そのものを皆さんに観ていただけることに、とても興奮してますし、自分自身、この歳でこれができるということは、とても幸せなことだと思っています。皆さんの忌憚のないご批判、ご意見を伺えたらいいなと。くたばる前にまだまだやってみたいこともございます。そうした意味で、今日、封入りを前にして、こうしてご覧いただけるということは、この映画を見た気持ち、そういったものをぶつけていただければ私としては最高でございます。どうぞよろしくお願いします。

MC:ありがとうございました。監督は東映に入社して、すぐに京都撮影所に配属されたそうですが、ずいぶん経って京都撮影所の雰囲気というのは変わりましたでしょうか?

中島:京都の活動屋というのは、伝統的に活動屋でございます。今回、ここに来てくれた俳優さんや、立ち回りをする人もですね、カメラ、照明、美術、スタッフは皆んな20年ぶりとは思えないような雰囲気の中で、この映画を作ることができました。僕らが体験して身についているものを、あとの人たちに伝えることも、必要だとは思います。自分としてもできるだけのことはしたいと思いながら、同時に今の若い映画人たちがやはり昔とし少しも変わっていない。映画を作るためなら何でもしようという気概と、熱中する時の皆んなの目の色が少しも変わっていない。それがとっても嬉しくて、それが現場に立つ意味合いですね。できればもう一本ぐらいやりたいなという気持ちになってしまうわけです。これが活動屋の魂だと思います。今回の映画は、そういうものが結集していると、そう私は思っておりますし、皆さんにそれを観ていただけるということが、とても幸せだと思っております。どうぞ、よろしくお願いします。

MC:京都撮影所ならではの雰囲気があると思いますが、高良さんと多部さんも、京都撮影所の雰囲気はいかがでしたか?

高良:よく言われるのは、「京都の太秦のスタッフは怖い」と。それは昔から聞いていて、実際行って、確かに怖いです。味わったことのないような、雰囲気はありますね。だけど、それは自分たちがやってきたことだったり、太秦というところで時代劇を撮ってきた誇りがあるからですね。そこに生半可な気持ちで行くと、たしかに怖いですね。だけど、そこに学びの姿勢というか、教えてくださいという気持ちがあれば、とても温かく迎えてくれましたし、本当にいろいろなことを教えてくれる。しかも、教え方が言葉じゃなくて。それが、京都東映太秦の粋というか、ちゃんと自分で感じる心も育ててくれるというか、そういう場所だったと思いますね。本当に、楽しかったですね。

MC:はい、ありがとうございました。多部さんはいかがだったでしょうか。

多部:もちろん緊張する、撮影所ではあるんですけど、いつも優しく、温かく、迎えてくださるイメージですし、今回も久しぶりにこの撮影のために行った時も、「あ、おかえり〜」みたいな、本当に温かくて。私は今回、町娘という役だったので、町娘の着物の所作というものが分からなかったので、「分からないので教えてください」といつも一から教えていただくので、たしかに厳しく「やってごらん」「違う!」っていうのは結構言われるんですけど(笑)、怖いけど、愛があるから怖くないと言うか。厳しいけど、愛があるから厳しく感じない部分もあって、すごく自分にとっては毎日、刺激的でいられる場所っていう感じですね。

MC:ありがとうございました。現代の役者さんならではの感覚ですよね。さて、この作品のなかでは、多十郎が刀を抜く理由を見つけた、それは弟とおとよさんの命を守るためということなんですけど、皆さんにそれぞれ個人的に、自分が一番守りたいものはなにかということを色紙に書いていただきましたので、ご披露いただきたいと思います。ではお願いします。それではまず、高良健吾さん、お願いします。

高良:結構、真面目にちゃんと書いたんですけど。「睡眠時間」です。寝ないと嫌、無理ですね。だから、10代20代の頃って、睡眠時間を削ってでも遊びたいっていう人が多いじゃないですか。僕はないですね。遊びを削ってでも、睡眠時間をとるし、7時間は寝たいですね…。