【全起こし】高良健吾「多十郎が今の自分を作ってくれている」映画『多十郎殉愛記』完成記念プレミア上映会舞台挨拶レポート 全文掲載

MC:はい(笑)。画面でお楽しみください。多部さん、いかがでしたか?

多部:そうですね。本当にスタッフ、キャスト全員が“監督のために頑張る”っていう、別にそういうスローガンを立てているわけでもなく、誰かとそういう言葉を交わしているわけでもなく、自然と空気が“監督のために”という。私の撮影は十日間ぐらいだったんですけど、毎日心が震えるような、監督愛にあふれた現場というのはなかなか今後も経験することは少ないんじゃないかなと思うぐらい、毎日感動の連続でしたし、それだけ築き上げてきたものが監督にはあるんだろうなと、常に一人で感動するような現場だったと思いますし、皆んながそう思っているんじゃないかというぐらい、監督のために自分の役を全うしようと思ったんじゃないかなと思います。

MC:「皆んながそう思っていたんじゃないか」ということですが、木村さんはいかがですか?

木村:もちろん、そうです。最初はすごく嬉しかったんです。お話をいただいた時は、すごく嬉しかったと同時に、中島貞夫監督と聞いて、背筋が伸びたというか。身の引き締まる思いで、しかも初めて伝統ある京都の撮影所だったので、すごく緊張していたんですけど、でもすごいアットホームで、皆さんすごく優しくて、中島監督もどんな人なんだろうとドキドキしていたんですけど、お会いしてみるとニッコリ笑ってご挨拶してくださって。一番、驚いたのは中島監督が山で撮影させてもらったんですけど、誰よりも早く山を登って行くんですよ。そのバイタリティはすごいなって。すごい若いんですよ。さっきの高良君の殺陣の話もありましたけど、誰よりも動いていただんじゃないかなと思うぐらい、すごく元気で、それに僕たちも引っ張られて、多部さんもおっしゃっていましたけど、監督のために作品を作ろうという気持ちで一致団結していた感じですね。

MC:永瀬さんは、さまざまな現場をご経験だと思いますが、中島組の現場はいかがでしたでしょうか?

永瀬:中島監督の映画史というか、一部に少しでも関わらせていただけるというのは、とても光栄でしたし幸せな現場でしたけど、いつもニコニコなさっていて、殺陣の部分でもスッと立たれた時に、後ろ姿が誰よりも隙がないというか、一番剣豪なんじゃないかと思われる感じでしたね(笑)。高良君たちも、その前で殺陣をやらないといけないわけで、これは大変だなと思いながら身が引き締まってました。でも、皆さんがおっしゃるように、本当に愛でした。現場は愛でした。

MC:素敵ですね、寺島さん。

寺島:そうですね、愛はたくさんありましたね。自分の役者人生の原点は、殺陣なので。チャンバラの斬られ役から、この世界が始まりまして、ずっと殺陣の厳しさと言うか、難しさ、危険さ、怪我と紙一重なので、いろいろ訓練をしてきているんですけど。そういう斬られ役をやる中で、いろいろな監督とも出会いました。東映の三大映画監督の巨匠の山下耕作監督と、深作欣二監督とはご一緒できませんでした。でも、中島貞夫監督と、こうやってチャンバラを生かしていただける映画に出演させていただけて、本当に光栄ではありますし、松方弘樹さんに怒られないように現場で頑張りました。チャンバラ、チャンバラと言いますけど、最近バラエティ番組で若い役者たちがチャンバラやってますけど、あれ全部CGで嘘っぱちですからね。中島組のチャンバラは、昭和のアナログで、怪我をしながら、怪我をしたふりをしながらも、高良君といっしょに立ち回りのセッションをしながら監督の指示の下やりました。本当に立ち回りというのは、基礎技術も大事なんですけど、心なんだなと。心と愛が大事なんだというのは、改めて感じさせてもらいました。ありがとうございます。