中国の現代美術家で、民主化・公民運動の旗手でもあるアイ・ウェイウェイ(艾未未)の監督最新作『ヒューマン・フロー 大地漂流』が、2019年1月12日より公開となる。このほど、監督のアイ・ウェイウェイが、難民を題材にドキュメンタリーを製作した経緯や思いを語ったインタビュー映像がお披露目となった。併せて、女優のアンジェリーナ・ジョリーとメリル・ストリープより本作を絶賛するコメントが寄せられた。
本作は、2017年ベネチア国際映画祭5部門受賞の難民ドキュメンタリー。社会運動家としても精力的に活動するアイ・ウェイウェイが、自らギリシャのレスボス島を中心に23カ国を超える40箇所もの難民キャンプを訪れ、インタビューを敢行。貧困・戦争・気候変動など、様々な理由で増加し続ける難民を何年にもわたって取材し、世界問題となっている難民危機の現状を追う。
インタビュー映像にて、アイ・ウェイウェイは本作を製作したきっかけについて、「欧州で暮らし始めて、この地における難民の状況を理解したいと思うようになった。だからギリシャのレスボス島へ行った」と述べ、そこで初めて、話す言語も着ている服もそれぞれ違う、世界に知られていない難民たちの真の姿を見て、「一体どんな人々なのか、彼らを理解したいと思ったんだ。誰も自分たちを理解しない未知の土地へ、命懸けで渡る理由を知りたいと思った」と製作への思いを語った。
また、芸術を通じて様々な問題を提起するアイ・ウェイウェイは、難民問題を取り上げた理由について、「難民危機は私の危機でもある。難民船から降りてくる人々は私の子供たちや両親兄弟だったかもしれない。私と彼らには何の違いもない」とコメント。アイ・ウェイウェイ自身も、生まれて間もない頃に反共産党として家族全員が国から強制追放され、人間に対する最悪の仕打ち、差別、虐待を見て育った過去を持っている。続けて、「彼らが凍えるような寒さにおびえていることや、雨に打たれたり飢えることを恐れていること、安心感を求めていることが私には理解できる。彼らは手を差し伸べられるのを待っている。難民の子供たちの笑顔はまるで天使のようだよ。どの難民も皆美しい人々なんだ」と力強く語った。
そんなアイ・ウェイウェイの考えに強く刺激を受けた、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)親善大使で難民支援に尽力しているハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーは、「アイ・ウェイウェイ監督は、レンズを通して純粋に難民たちを見つめている。難民たちの表情や声を撮り、彼らの多様性や、苦しみ、立ち直ろうとする強さを、映画を通して私たちに届けている。これは、今まさに私たちが直面している問題なのです」とコメント。
▲アンジェリーナ・ジョリー(左)とアイ・ウェイウェイ(右) Ai Weiwei with Angelina Jolie at the special screening of HUMAN FLOW
同じくハリウッド女優のメリル・ストリープは、「この映画はとても素晴らしいです。アイ・ウェイウェイ自身が23か国、40か所の大規模な難民キャンプの旅に我々を連れて行ってくれるのです。この映画自体が難民のようなもので、あなたの目、心、知性を通して体中を巡り、やがてあなた自身へと吸収される映画なのです」と本作を絶賛している。
▲メリル・ストリープ(右)とアイ・ウェイウェイ(左) Ai Weiwei with Meryl Streep at the special screening of HUMAN FLOW
『ヒューマン・フロー 大地漂流』
2019年1月12日(土)より、シアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開
監督・製作:アイ・ウェイウェイ
配給:キノフィルムズ
©2017 Human Flow UG. All Rights Reserved.