東出昌大と濱口竜介監督がタッグを組み、芥川賞作家の柴崎友香による同名恋愛小説を映画化した『寝ても覚めても』が9月1日より公開中。このほど、11月17日にパルテノン多摩 大ホールにて第10回TAMA映画賞受賞式が行われ、本作で最優秀新進女優賞を受賞した伊藤沙莉、エグゼクティブ・プロデューサーの福嶋更一郎が登壇し、11月18日に行われた表彰式とトークショーに、本作で最優秀男優賞を受賞した東出昌大が登壇した。
17日に行われた授賞式では、本作が作品賞、最優秀男優賞(東出昌大)、最優秀新進女優賞(伊藤沙莉)の3部門に輝いた。会場に来ることが出来なかった濱口監督からは「僕の過去作も上映して頂いている、お付き合いのとても長い映画賞。そんなTAMA映画賞で作品賞ということで、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。東出さん、伊藤さん、おめでとうございます!」とビデオメッセージが寄せられた。そして、監督に代わって授賞式に出席した本作のエグゼクティブ・プロデューサーの福嶋更一郎からも感謝の言葉が述べられた。最優秀新進女優賞を受賞した伊藤も再び登場し、現場ではどんな演出がなされたのかと聞かれると「いらないものを排除するような棒読みの演出が新鮮でした。あと関西弁は難しかったです。私、周りからも言われるんですけど、関西っぽいみたいなんです。でも千葉出身でなんの方言もないんですよね」と会場の笑いを誘った。
18日には、最優秀男優賞を受賞した東出昌大の表彰式と記念のトークイベントが行われた。東出は自身の主演舞台のため、授賞式への参加は叶わなかったが、この日の会場は東出のために集まった観客で満席。当日に補助席を追加で売り出すほどの人気ぶりだった。壇上に現れた東出を盛大な拍手で出迎えた観客に、東出も笑顔に。TAMA映画賞受賞の理由である、静から動まで役柄を幅広く演じたことについて、「濱口竜介監督の独特の演出法によって、役者の芝居っぽさを排することを準備期間に行っていました。日常と地続きの部分にリアリティがある、そういう何気無い部分を大事にされている監督です」と東出。オーバーなリアクションが多くない演技について「お芝居しすぎないことがリアルなことだと立ち返りました。僕の好きな作品はそういうものが多いです」と当時を振り返った。また、亮平と麦のどちらが演じやすかったかと問われると、「亮平は春代と出会う場面で、春代に気を遣っているようで、実は朝子にも気を遣っている、周りに気を遣う人なんです。亮平は優しいなぁ、と演じながら思っていたので、麦の遠慮のなさ、周りに気を遣わない感じはある意味で演じやすいかもと思います」と回答した。
イベントの後半には、客席より生の声を聞き質問を受けた。本作で思い入れのあるシーンについて聞かれると「最後のワンカット。初めて監督に『レンズを見てください』と言われたんです。どうしてレンズを見てと言ったのか、後から監督に聞いたら『あの時の二人の顔を観客に見せたかったんです』と言われて、映画を映画的に撮る方だなと思いました」としみじみ。さらに、演技を通して伝えたいことは何かと問われると、「これと言うのはないですが、観てよかったと言ってもらえることが力になります。観てくれる人がいなかったら役者じゃないし、お客さんが一人でも全力で観てくれれば活力になる、観てくださる方の活力になれば」と笑顔で答えた。表彰式では「今トークを聞いていただいたばかりなので、授賞スピーチも何もないんですが」と笑いを誘いつつも、今後の活躍を観客の前で固く誓った。
『寝ても覚めても』
9月1日(土)より公開中
監督:濱口竜介
原作:柴崎友香「寝ても覚めても」(河出書房新社刊)
音楽:tofubeats
主題歌:tofubeats「River」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 渡辺大知 仲本工事 田中美佐子
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス
【ストーリー】 東京。カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先の会社で亮平と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に戸惑いながらも朝子は惹かれていき、ふたりは仲を深めていく。しかし、朝子には亮平には告げていない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦(バク)に顔がそっくりだったのだー。
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