今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』が6月8日に公開された。本作は、公開後7日間での興行収入が10億円を突破し、2018年公開の実写邦画としては最速を記録。さらに、6月14日に観客動員数が100万人を突破した。このほど、6月14日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて大ヒット御礼舞台挨拶が行われ、キャストのリリー・フランキー、高良健吾、山田裕貴、城桧吏、佐々木みゆ、是枝裕和監督が登壇した。
本作の大ヒットを受け、リリーは「是枝監督がパルムドールをいただくことは意外じゃなかったんですけど、大ヒットのほうが意外(笑)。嬉しい限りです」、是枝監督も「(作品が)突然大きく成長してしまうとは思っていなかったので、嬉しいやら、ちょっと戸惑っているのやら、不思議な気持ちです」と挨拶した。
是枝監督とは10年ほど前に井浦新の紹介で知り合ったという高良は、本作のパルムドール受賞について、「自分が参加できたことも嬉しかったけど、この映画が評価されたことも嬉しい」と喜びつつ、「どこか自分の中で悔しさがあって。それがまた嬉しかったし、おもしろかった」と是枝組を経験した気持ちを語った。
パルムドール受賞はSNSで知ったという山田。「本当に嬉しいんですけど、もうちょっと是枝さんの元でやらせてもらっていたら、素直にイェイ!とできたのかな(笑)」と高良と同様、悔しさを表した。そんな山田について、是枝監督は「信頼しているスタッフから『山田くんはいい』『山田くんを使ってください』と何人にも言われて。作品に向き合う姿勢がどんな役をやっていても感じられるってこういうことだったんだなと」と山田を絶賛し、「これをご縁に」と次回作以降への出演を約束した。
6月17日の父の日が近いということで、本作で父親役を演じたリリーと高良と山田について話が及ぶと、是枝監督は「みんなそれぞれ違う父性と向き合いながらカメラの前にいて、それがうまくいっている人もいるし、うまくいっていない人もいる。高良さんは、(リリー演じる)治とは違う理想的な父性を持って祥汰の前に現れる。治はダメな父親だけど、父親になりたいと思っている。そんな三者三様な父親を描いています」と、それぞれに持たせた父親としての役割について語った。
父親役のリリーの印象について、城は「カメラを回している時はダメダメなお父さん。でも、カメラを回していない時は優しくておもしろかったです」とコメント。それを受け、リリーは子役の二人について、「子供がいることの喜びと煩わしさをストレートにぶつけてきてくれるので、一緒にいる時はお芝居をやらせてもらっているという感じ。この子たちに助けてもらったことがいっぱいある」と撮影を振り返った。
イベントの終盤には、城から父親役のリリーへ手紙のプレゼントがあり、「リリーさんのようなおしゃれで優しくておもしろくて、演技が上手な俳優さんになることが夢です。これからもよろしくお願いします。リリーお父さん、大好きです」とメッセージを贈った。さらに、佐々木からは“万引き家族”の似顔絵がプレゼントされた。
最後に、是枝監督が「何度もスタッフとキャストが集まれる機会をいただけて嬉しいです。感謝しております。また何度も集まりたいので、気に入っていただけたらまた劇場に来てください」と挨拶し、リリーと二人の子役との仲のよさも感じられるやりとりもあり、舞台挨拶が終了した。
『万引き家族』
6月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ
【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。
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