心に孤独を抱えてしまった女性と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫との関係を描いた映画『猫は抱くもの』が6月23日に公開となる。このほど、本作が第21回上海国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決定した。
主演は、『ヘルタースケルター』以来6年ぶりの主演作となる沢尻エリカが務め、猫の良男の擬人化した姿を吉沢亮が演じる。さらに本作で銀幕デビューを飾る「水曜日のカンパネラ」のボーカルであるコムアイとロックバンド「銀杏BOYZ」でボーカルとギターを務める峯田和伸が出演。監督は、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『グーグーだって猫である』を手掛けた犬童一心が務める。
世界15大映画祭のひとつである本映画祭は、FIAPF(国際映画製作者連盟)が認定する国際映画祭。21回目を迎える今年は、世界108カ国から3400本以上のエントリー(内日本映画約200本)があり、アジア最大級の映画祭として注目を集めている。また、本作が出品されるコンペティション部門は、2007年に山田洋次監督の『武士の一分』が最優秀音楽賞(冨田勲)を受賞、2016年に阪本順治監督の『団地』が最優秀女優賞(藤山直美)を受賞した。本映画祭は6月16日から25日まで開催され、6月21日に行われる本作の上映には、犬童監督らが舞台挨拶に登壇する予定だ。
長編劇映画部門では日本映画で唯一のコンペティション部門への出品となり、犬童監督は「沢尻エリカの野蛮なパワーと吉沢亮のア然とするエレガントが中国の皆さんにどう刺さるか?楽しみです」、主演の沢尻は「『猫は抱くもの』がコンぺティション部門に選ばれ光栄に思います。海外でどのように評価して頂けるか、楽しみにしています」とコメントを寄せている。
日本映画として最優秀作品賞受賞作品(金爵奨)を受賞すれば、2005年の『村の写真集』(三原光尋監督)以来の快挙となる。注目の授賞式は、6月25日に現地にて行われる。
『猫は抱くもの』
6月23日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:犬童一心
脚本:高田亮
原作:『猫は抱くもの』(大山淳子著・キノブックス刊)
出演:沢尻エリカ 吉沢亮 峯田和伸 コムアイ(水曜日のカンパネラ) 岩松了 藤村忠寿 内田健司 久場雄太 今井久美子 小林涼子 林田岬優 木下愛華 蒔田彩珠 伊藤ゆみ 佐藤乃莉 末永百合恵 柿澤勇人
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 主人公の沙織(沢尻エリカ)は、とある地方都市のスーパーマーケットで働くアラサー女性。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた。今の自分を好きになれず、周囲ともうまく馴染めない彼女にとって、心を許せる唯一の存在は、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」(吉沢亮)。嬉しかったこと、哀しかったこと、腹が立ったこと…。すべてを受け止めてくれる「良男」に向かって、沙織は日々、妄想を交えながら語りかける。そして「良男」は、いつしか自分を人間だと信じ込み、恋人として沙織を守らねばと思い始める。そうやって過ごしてきた、こじらせた1人と1匹の日常にも、変化が訪れて…。
©2018 『猫は抱くもの』製作委員会