フォーチュン誌によって、世界で初めての億万長者に認定された石油王ジャン・ポール・ゲティ。1973年に発生し、1700万ドルの身代金を要求された彼の孫の誘拐事件を、『オデッセイ』、『グラディエーター』、『エイリアン』の巨匠リドリー・スコット監督が映画化した『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』(原題)が初夏に公開となる。このほど、本作の演技で第90回アカデミー賞助演男優賞にノミネートを果たしたクリストファー・プラマーの新場面写真が公開された。
世界中のすべての金を手にした”と言われた大富豪ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の愛する17歳の孫ポールが誘拐され、1700万ドル(約47億円※)という破格の身代金を要求されたゲティは、こともあろうかその支払いを拒否する。彼は大富豪であると同時に、稀代の守銭奴だったのだ。離婚によりゲティ家から離れ中流家庭の人間となっていたポールの母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は、息子のために誘拐犯のみならず世界一の大富豪とも戦うことに。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫るが、事件は思いもよらぬ展開へと発展していく。本作は、アカデミー賞の前哨戦の一つとも言われる第75回ゴールデン・グローブ賞にて、主演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)、助演男優賞(クリストファー・プラマー)、そして監督賞(リドリー・スコット)の3部門にノミネートされた。(※事件が発生した1973年11月当時の為替レート1ドル=278.263円で算出)
本作は、ハリウッドの大プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインへのセクハラ告発に端を発した一連の騒動から派生し、当初ジャン・ポール・ゲティ役として出演するはずだった名優ケヴィン・スペイシーが、昨年10月末にセクハラ疑惑が発覚。その後、リドリー・スコット監督は再撮影することを決意し、11月13日には代役にクリストファー・プラマーを起用することを発表。再撮影は11月20日からスタートし、11月28日に終了するという、わずか9日間という短い期間で行われ、クリストファーは1日18時間、22シーンをロンドンとローマで撮影した。12月上旬には作品が完成し、当初の全米公開に間に合わせ、第75回ゴールデン・グローブ賞、第71回英国アカデミー賞、第90回アカデミー賞ノミネートという大逆転劇を成し遂げ、クリストファーの名演が作品を救った結果となった。また、この短期間で作品に参加しアカデミー賞にノミネートというのは史上最短記録となる。
監督のリドリー・スコットは「クリストファーにはあえてケヴィン版の本編を見せなかった。クリストファー自身が思い描くゲティ像にしたかったからだ。ケヴィンの演技はもちろん素晴らしいものだったが、二人のゲティはまるで違う。ケヴィンのゲティは冷徹なのに対し、クリストファーのゲティは人間的な深みが強調されている」と語っている。
クリストファーは本作のノミネートで3度目のアカデミー賞助演男優賞ノミネートとなり、88歳でのノミネートは『タイタニック』(1997年)のグロリア・スチュアート(当時87歳)を抜き、“史上最高齢でのノミネート”となる。さらに、2012年開催の第84回アカデミー賞において、『人生はビギナーズ』(2010年)で助演男優賞を受賞した際の自身が持つ、“史上最高齢での受賞”記録の更新に期待がかかる。アカデミー賞ノミネートについて、クリストファーは「アカデミー賞のノミネーションを受け、感激しております。全く予想外のことでしたが、非常に喜ばしく思います。すべての出来事があまりにも短期間で起こりましたので、少々唖然としつつも興奮を覚えております」とコメントを寄せており、百戦錬磨の名優もこの短いスパンでの撮影スケジュールに驚いた様子を覗かせている。
公開された新たな場面写真は、クリストファー演じるジャン・ポール・ゲティが孫の誘拐事件について初めてメディアの前に姿を現し、身代金は支払わないと語りに行くシーン。クリストファーの貫禄ある演技とジャン・ポール・ゲティの冷酷な一面が見事に合致し、息を呑む場面となっている。代役とは思えないほどの怪演をみせるクリストファー・プラマーと、新たに作り上げられた本作がアカデミー賞で大逆転劇を成し遂げるか注目だ。アカデミー賞授賞式は、現地時間3月4日(日)、日本時間3月5日(月)の発表となる。
『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド』(原題)
2018年初夏 公開
監督:リドリー・スコット
出演:ミシェル・ウィリアムズ クリストファー・プラマー ロマン・デュリス チャーリー・プラマー マーク・ウォールバーグ
配給:KADOKAWA
【ストーリー】 “世界中のすべての金を手にした”と言われた大富豪ジャン・ポール・ゲティ。愛する17歳の孫ポールが誘拐され1700万ドル(当時のレートで約47億円)という破格の身代金を要求されたゲティは、こともあろうかその支払いを拒否。彼は大富豪であると同時に、稀代の守銭奴だったのだ。離婚によりゲティ家から離れ中流家庭の人間となっていたポールの母ゲイルは、息子のために誘拐犯のみならず世界一の大富豪とも戦うことに。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫る。しかし、事件は思いもよらぬ展開へと発展していく。
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