2026年秋に日本公開が決定したドキュメンタリー映画『Mr. Nobody Against Putin(原題)』が、本年度アカデミー賞®長編ドキュメンタリー賞を受賞。ウクライナ侵攻後のロシアにおける教育現場の実態を、当事者の視点から克明に記録した衝撃作として世界的な注目を集めている。

本作の舞台は、ロシア・ウラル山脈の麓にある小さな町カラバシュ。主人公は、小学校で撮影担当教員として働くパヴェル・タランキン。子どもたちの成長をカメラに収め、時には“避難場所”として教室を開放しながら寄り添う彼は、“パシャ”の愛称で親しまれる存在だった。自由と民主主義を愛する彼にとって、教育は誇りそのものだった。
しかし2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことで状況は一変する。国家は子どもたちを〈未来の兵士〉として育てるため、戦争を正当化し参加を促す“愛国教育”を学校現場に導入。穏やかだった教室は、瞬く間に緊張感に包まれた“戦時の空間”へと変貌していく。
本作は、国家によるプロパガンダがどのように教育現場へ浸透し、人々の意識を変えていくのかを、内部からの視点で記録したもの。タランキンは、厳しい監視体制が敷かれるロシア国内にいながら、数百時間にも及ぶ映像を密かに国外へ送り続け、その全貌を告発する。身の危険と隣り合わせの状況で撮影と編集を並行し、約2年の歳月をかけて完成した、まさに“命がけ”のドキュメンタリーだ。
2025年のサンダンス映画祭でプレミア上映され審査員特別賞を受賞したほか、英国アカデミー賞でも最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。さらにRotten Tomatoesでは満足度100%(2026年3月時点)を記録するなど、世界中で絶賛の声が相次いでいる。
「国を愛するとは何か」「子どもたちに戦場へ向かうことを教えるのか」――。本作は、戦争と教育、そして国家と個人の関係を鋭く問いかける、現代社会に突き刺さる一作となっている。
■作品情報
作品名:『Mr. Nobody Against Putin(原題)』
公開:2026年秋(シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開)
監督:デヴィッド・ボレンスタイン、パヴェル・タランキン
製作:2025年/デンマーク、チェコ
言語:ロシア語/5.1ch
上映時間:90分(予定)
配給:トランスフォーマー
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