パレスチナや福島など、社会の現場を個人の視点から描き続けてきたジャーナリスト・土井敏邦監督の最新作、『在日ミャンマー人 ―わたしたちの自由―』の予告編と、各界著名人による応援コメントが解禁された。

本作は、文化庁映画賞文化記録映画優秀賞を受賞した『異国に生きる-日本の中のビルマ人-』(2013)の続編的作品。2021年2月1日に起きたミャンマー軍事クーデターから5年が経過した現在、日本で暮らす在日ミャンマー人の若者たちが、祖国の民主化と「自由」を求めて声を上げ続ける姿を、長年にわたる取材映像とともに描き出す。
解禁された予告編では、街頭での訴え、仕事や学業と両立しながら続けられる活動、そして「私は難民ではない、革命家だ」と語る言葉などが映し出され、彼らの切実な思いが胸に迫る内容となっている。また、日本政府や企業とミャンマー軍事政権の関係にも踏み込み、私たち日本人自身の立ち位置を問いかける構成となっている。
あわせて到着した応援コメントには、いとうせいこう、金平茂紀、久保田徹、沢知恵、柴田昌平、田中千世子、根岸季衣、ピーター・バラカン、松原耕二、柳澤秀夫らが名を連ね、「彼らの自由を守ることが、私たち自身の自由につながっている」「知って、考え、行動に移すきっかけになる映画」といった強いメッセージが寄せられている。
本予告編は、街頭活動の様子や、在日ミャンマー人一人ひとりの言葉を通して、本作が投げかける問いが凝縮された映像となっている。
▼予告編
https://youtu.be/yHmsIhwo-d0
【オピニオンコメント(50音順・敬称略)】
■いとうせいこう(作家・クリエーター)
私も小さい運動ながら、ミャンマー軍事政権の人民弾圧に抵抗してメッセージTシャツを売ったり、様々なステージでポエトリーリーディングをしてきましたが、その折にふっと現われてはミャンマー国内に秘密で伝えるコメントを撮る人たちがいるのに毎回驚いていました。どんなところでも活動を止めない、諦めない彼らの姿が、この映像で克明に心に残り、民主主義への切実な思いが私たち日本人に欠けていることを教えてもくれます。
■金平 茂紀(ジャーナリスト)
土井さんが映画で紹介してくれた在日ミャンマー人らが口にしたある言葉について考え続けている。それは「祖国」という言葉。今この国で台頭する排外主義のなかで、「国民国家」は、僕らにとって、自由を奪うものなのか、それとも自由の拠り所なのか。土井さんは僕に言った。「祖国」と「国民国家」は異なるのではないですか、と。国を平仮名で書く「くに」というものが本来、共有されていたのではなかったのですか、と。そんなことを真正面から問う映画です。
■久保田 徹(ドキュメンタリー映像作家)
彼らの背負っているものを想像する力が、私たちにあるだろうか。軍の弾圧を逃れ、自由を求めて日本へ来た在日ミャンマー人たちは、多くの喪失を抱えながら生きている。私たちと隣り合わせで生きる彼らの背後にある現実を、自らのこととして感じるのは容易ではない。しかし、この映画はその距離を静かに、そして確かに縮めてくれる。日本は彼らをどのように受け入れ、あるいは裏切ってきたのか。一世代を超えて積み重ねられてきた映像の記録は、日本とミャンマーの複雑な関係を紐解き、その過程で、日本がアジアでも数少ない政治的自由が保たれてきた場所であることを浮かび上がらせる。そして、彼らの自由を守ることが、私たち自身の自由につながっているのだと気づかせてくれる。
■沢 知恵(歌手)
この映画に出てくる子どもたち、若者たち、女性たちの涙から目をそらしてはなりません。愛する祖国の人たちのためにたたかう柔和で不屈の笑顔からも。ミャンマー軍事政権を実質的に支える日本の政財界に怒りがこみ上げると同時に、私にできることは何かを改めて問われました。
■柴田 昌平(映画監督)
「日本人はなんと冷たい国民になってしまったのか」という想いが映画を見ながら心に去来しつづけた。民主主義の「大義」というより、苦しむ同胞を助けたい「利他主義」。そんな彼らが都内で街頭活動をしていると、「うるさい、国に帰れば」と言われ、しかも軍事政権を経済的に支える側に、日本政府・企業がいる。「利他主義」、僕たち日本人はどうしたら取り戻せるのだろう。
■田中 千世子(映画評論家)
そうか、そういうことなのか。今、日本でミャンマーの民主化を熱く訴え、看護士資格をとり、ミャンマー人支援レストランを作り、あるいは仕事を掛け持ちしながら街頭活動を熱心に繰り広げる彼女や彼らは、クーデター前の民主化時代を経験していたからなのか。民政移管が軍のクーデターであえなく崩れたことを嘆くより、実現した時代の意味を強く受けとめたい。同時に今の日本の民主主義をしっかりきたえていこうと思う。この映画から勇気をもらったら勇気で答える自分を作ろう。
■根岸 季衣(俳優)
幾つものインタビューを静かに寄り添うように積み重ねる土井監督。拝見しながら『私に何が出来るんだろう…』そればかりで頭が一杯になり、せめてちょっとでも喧伝に力を貸せればと今この文を書いています。兎に角、多くの日本人にこの映画を観て欲しい。知って、考えて、少しでも行動に移せる契機になれば。僭越ながら私は、まずはこの映画を応援する事から始めます。
■ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
この映画から最も強く伝わってくるのは、日本政府の残念な姿勢です。アメリカやイギリスが兵器の供給でガザのジェノサイドを可能にしているのと同様に、日本がミャンマー国軍による市民の弾圧と虐殺をODAの力で手助けしている事実を多くの人に知って欲しいです。
■松原 耕二(「報道1930」編集長キャスター)
「一瞬の幸せより、一生の幸せ」、「私は難民ではない、革命家だ」。軍事政権に抗うミャンマー人たちの言葉が胸に迫る。私たち日本人は傍観者であるだけではなく、クーデターに加担する存在なのではないか。国軍と日本政府との深い関係をめぐる証言はそんな問いをも抱かせる。彼らの言葉が突きつけるのは私たち自身の姿なのだ。
■柳澤 秀夫(元NHK解説委員長・ジャーナリスト)
日本で暮らすミャンマーの人たちのこと。彼らの祖国でいま起きていること。そしてその背景に横たわるミャンマー軍事政権と日本の政財界ののっぴきならない関係。こうしたことを我々はいったどれだけ知っているのだろうか?あるいは知ろうとしているのだろうか?この作品は静かに、しかし鋭く問いかけてくる。街頭で民主化への支援を懸命に呼びかけるミャンマーの人たち。我々はその姿を見ないふり、その声が聞こえないふりをしてはいないだろうか?今、改めて自らに問い直す必要があるのでは?と、この作品は語りかけている。
■作品情報
作品名:在日ミャンマー人 ―わたしたちの自由―
監督/撮影/編集/製作:土井敏邦
編集協力:尾尻弘一
整音:川久保直貴
宣伝デザイン:野田雅也
配給:きろくびと
公開日:2026年1月30日(金)より順次公開
上映時間:171分
製作年/製作国:2025年/日本
上映形式:DCP
©土井敏邦

