四国の果てで交錯する、ふたりの“孤独”と“再生”『椰子の高さ』公開決定

2026年2月6日(金)より、映画『椰子の高さ』がアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開される。『唐人街探偵』シリーズなど数多くのヒット作を支えてきた中国映画界随一の撮影監督ドゥ・ジエが、監督・脚本・撮影・美術・編集のすべてを担い、日本を舞台に描く長編監督デビュー作だ。本作は2024年の釜山国際映画祭ニューカレンツ部門で初上映され、東京フィルメックス、New Directors/New Films(MoMA共催)にも選出された、国際的評価の高い一本である。

物語の舞台は四国最南端・足摺岬。美しい自然と荒々しい断崖が広がるこの地は“自殺の名所”としても知られる。そこで偶然出会うのが、恋人との“別れ”に傷ついた女性・菅元(大場みなみ)と、かつて恋人を自死で失い、喪失を抱えたまま宿を営む持田(田中爽一郎)。

新婚旅行直前に恋人との関係が破局し、その痛みから逃れるようにふたりの旅先だった足摺岬へ向かった菅元。彼女は“足摺七不思議”のひとつ「地獄の穴」に、結婚の約束の象徴であった指輪を落としてしまう。失意の旅の途中で立ち寄った宿で、彼女は店主の持田と出会う。彼は恋人だった写真家・凛を自殺で失い、その面影を抱えながら生き続けていた。

ひとつの指輪が結びつけた、ふたりの痛み。語られない過去、埋まらない喪失感、それでも確かに流れ続ける時間。ゆるやかに心が触れ合い、止まっていた世界が動き出す——。

ドゥ・ジエ監督が日本での生活で体験した“小さな出来事”をもとに描いた物語は、典型的なドラマ構造から離れ、観客が“欠けたピースを埋めながら完成させる”映画体験を提示する。豊かな映像美と静かな情緒が、観る者を四国の孤絶した風景の中へと誘導していく。

主人公・菅元を演じるのは、インディーズ映画シーンで存在感を放つ大場みなみ。近年出演作が国内外の映画祭で高い評価を獲得し、さらなる活躍が期待される俳優だ。そして、恋人を失った宿の店主・持田役には『Cloud クラウド』『ラストホール』などで注目度を高める田中爽一郎。

監督を務めるのは中国出身の杜杰(ドゥ・ジエ)。アメリカ撮影監督協会(ASC)所属のトップクラスの撮影監督であり、2020年から日本に在住。自身の実体験と感覚を投影し、日本の“風景と心”を独自の視点で切り取っている。

■作品情報
タイトル: 『椰子の高さ』
公開: 2026年2月6日(金) アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
出演:
大場みなみ 田中爽一郎 小島梨里杏 渋谷盛太
千賀健史 田口敬太 烏森まど 崔凱晨 澤真希 小島ゆうな
酒瀬川純一 庄野広樹 吉田拓央 浜口宏樹
監督・脚本・撮影・美術・編集: 杜 杰(ドゥ・ジエ)
プロデューサー: 杜 杰 福井一夫
配給・宣伝: ギークピクチュアズ
2024 / 日本 / カラー / デジタル / 日本語 / 2.00:1 / Dolby Digital 5.1 / 99分

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