韓国・釜山国際映画祭で“今年の俳優賞”および韓国映画監督組合プラスM賞をダブル受賞し、ソウル独立映画祭、釜山独立映画祭など主要映画祭を席巻した話題作『ただ、やるべきことを』(英題:Work to Do)。このたび、予告編と場面写真が解禁され、主演のチャン・ソンボムと本作が長編デビュー作となるパク・ホンジュン監督から、日本の観客へ向けたメッセージも到着した。

――厳しい選択を迫られたとき、僕たちは――。2016年、韓国・朴槿恵政権の退陣を求める「ろうそくデモ」が広がる中、造船業界は不況により大量のリストラに直面していた。リストラを実行する人事チームの社員たちは、それぞれの立場で苦悩しながら、自らの「やるべきこと」と向き合う――。
本作は、『JSA』『建築学概論』などを手がけた制作会社ミョンフィルムが設立した“ミョンフィルムラボ”の第6期から誕生した注目作。自身も造船会社の人事で働いた経験を持つパク・ホンジュン監督が、職務上の義務と人間としての感情の狭間で葛藤する労働者の姿をリアルに描き出す。主演のチャン・ソンボムは釜山国際映画祭で「今年の俳優賞」を受賞し、リアリティ溢れる演技が高く評価された。これまでの労働映画が“解雇される側”を描いてきたのに対し、本作は“解雇を実行する側”の視点から、労働と倫理、理想と現実の間で揺れる現代人の姿を鋭く描く。
予告編では、リストラの現場に立つ人事チームの葛藤と苦悩が静かに、しかし確かな緊張感をもって描かれる。組織の一員として「やるべきこと」と、一人の人間として「やるべきこと」。その狭間で揺れ動く登場人物たちの姿が、現代の働く人々の心情と重なり合う。場面写真には、冷たい工場の空気の中で決断を迫られる人々のリアルな表情が収められており、ドキュメンタリーのような質感が印象的だ。
【主演 チャン・ソンボム コメント】
「『ただ、やるべきことを』が日本でも公開されることになり、大変光栄に存じます。私たちの映画がどのように受け止めてもらえるのかとても楽しみです。寒さに震えながら釜山で撮影をしていたことを今でも鮮明に覚えています。映画が終わった後に残る考えや感情は、完全に皆さんだけのものですので、自由に楽しんでいただければと思います。」
【監督 パク・ホンジュン コメント】
「私の映画を日本の観客の皆様にご紹介できることを大変嬉しく思うと同時に、強い責任を感じています。この作品は、私が韓国の造船所の人事チームで働きながら直接経験した話を基に製作しました。労働問題を扱う物語の多くは、リストラの被害者が会社と戦う姿を描きますが、本作では“リストラを実行する側”に焦点を当てました。現代社会に生きる労働者の姿を通して、私たちの時代の労働環境の本質を観客と共有したいと思っています。」
▼予告編



■作品情報
『ただ、やるべきことを』
監督・脚本:パク・ホンジュン
出演:チャン・ソンボム、ソ・ソッキュ、キム・ドヨン、キム・ヨンウン、チャン・リウ、イ・ノア、カン・ジュサン、キム・ナムヒ
製作:映画会社ナルン/ミョンフィルムラボ
原題:해야 할 일
日本語字幕:田中三紗子
配給・宣伝:太秦
2023年/韓国/101分/アメリカンビスタ/5.1ch/DCP
2025年1月17日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
© Nareun Cinema / Myung Films Lab.

