毎熊克哉&北香那が弾き語り裏話を披露!伴明監督の“時代おくれ”秘話に会場もほっこり『「桐島です」』公開記念舞台挨拶レポート

指名手配犯・桐島聡を描いた衝撃作『「桐島です」』の公開を記念した舞台挨拶が、7月5日(土)、新宿武蔵野館で開催され、主演の毎熊克哉、北香那、海空、甲本雅裕、高橋伴明監督が登壇。制作の裏話や印象深いシーンについて語り、観客の熱い注目を集めた。

舞台挨拶の冒頭では、伴明監督が「公開初日に、当時の学生運動の先輩たちから“OKサイン”をもらった」と報告。続けて、「私はイデオロギーに縛られた活動家ではなく、妙な正義感で動いていた。桐島も、イデオロギーを持たなかったからこそ50年も逃げ切れたのかもしれない」と自身との共通点を交えて語った。

本作では、毎熊と北がギターの弾き語りに挑戦。毎熊は「コードを弾きながら歌うのは初めて」と明かし、北も「楽譜を覚えるのが大変でした。毎熊さんが本格的なギターを持っていたので、普段から弾いてるのかと思った」と笑顔を見せると、毎熊は「実は借りパクしたギター」と冗談交じりに告白し、会場を沸かせた。

劇中で北が演じるキーナが歌う「時代おくれ」の弾き語りに毎熊が感動する場面について、「北さんの歌う姿と目が印象的で、自分との対比にグッときた」と語った。北も「毎熊さんが演じる桐島は、知りたくなる魅力を持っている」と感謝を述べた。

「時代おくれ」という楽曲にまつわるエピソードでは、伴監督が「昔、学生運動中に警察に捕まった際、彼女に“時代遅れだ”と言われた。それが強烈に残っていて、それを孫の海空に言わせた」と振り返った。

海空は、本作で俳優デビュー。「祖父(伴監督)から出演を何度も誘われたが、“事務所にも入ってないし…”と断っていた。最終的に“俺はいつまで生きてるかわからない”と脅されて出演を決意した」と笑いながら舞台裏を語り、初舞台挨拶とは思えぬ堂々とした姿で観客を魅了した。

また、甲本雅裕は桐島の隣人役として「スパイスとして、甘いのか辛いのかわからない人物像を意識した」と語り、台本と異なるリアクションを撮影中に見せたエピソードを披露。「とてつもなくつまらないジョークで世界が沈黙した」と笑いを誘った。

最後に主演の毎熊は、「この映画には優しさや怒り、さまざまな感情が込められている。それを通して“優しさとは何か”“なぜ怒るのか”を考え、語り合ってほしい」と観客に向けてメッセージを送った。

■映画『「桐島です」』作品情報

出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、原田喧太、甲本雅裕、海空、高橋惠子 ほか
監督・脚本:高橋伴明
脚本:梶原阿貴
製作総指揮:長尾和宏
製作:北の丸プロダクション
配給:渋谷プロダクション
2025年|日本|105分|5.1ch|アメリカンビスタ

2024年1月、死の直前に身元が判明し、半世紀にわたる逃亡生活に幕を下ろした指名手配犯・桐島聡。彼の人生と人間性に迫る本作は、『夜明けまでバス停で』で高く評価された脚本家・梶原阿貴と高橋伴明監督のコンビが再び手がけた社会派ドラマ。主演は『ケンとカズ』で注目された毎熊克哉。桐島の20代から最期までを演じ切る。共演に奥野瑛太、北香那、高橋惠子ら実力派が揃い、河島英五の名曲「時代おくれ」のカバー演奏も見どころの一つとなっている。

©北の丸プロダクション